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歌舞伎町タワー

永山祐子によるホテル・シアター他の複合施設。

上層階
ファサード
前面の広場

歌舞伎町という立地にこれって有りか無しかと言われるとかなり微妙なビルというふうに映ってしまう。
30年くらい前にホテルからオフィスビルへと計画変更され実現したロジャースの歌舞伎町プロジェクトのそれのようにそこにあるべき姿に些かの理解のズレのようなものが引き起こす不協和に似ている。
そもそも歌舞伎町は今からちょっと昔の明治期ごろには“大村乃森”と呼ばれた広大な森の沼地であり、またその前の江戸期には幕府を守護する鉄砲隊屋敷街だった。戦前にはなんと閑静な高級住宅街だったなど想像すらできない状況だ。
空襲で焼け野原になった後に鈴木喜兵衛がつくり上げた復興計画“道義的繁華街”というのが今の“歌舞伎町”のはじまりになっていますが・・道徳的とは程遠い歌舞伎町は意図したことではないものの、最大級の歓楽街になったのは間違いない。
道徳的な繁華街って繁華街というのかという疑問もあるが、カオスであっていいしあらゆるモノゴトが交差する場所であれば良い。それを無理に、必要以上のクリーンにすることもないと思う。
そういったことを前提に考えるとこの場所に建つべき建物は今ある面白味のないどこにでもある高層ビル群を密集させることではなく、周囲の猥雑や魑魅魍魎など全てを自由に出し入れ出来るカオスな広場や区画を点在させるだけで十分だ。そのカオスを纏める装置としてのエンターテインメントがあって、それをポータブルな設備で補完すれば“今ある歌舞伎町のイメージ”にぴったりなあるべき姿が浮かび上がるのではないかと思う。

周囲の建物もどんどん整備されきれいに整うことは治安的な面だけを見れば確かに正しいとは思うがそれでは面白味のカケラもないのです。そんな“平たい都市”が望まれるあるべき姿なのでしょうかね??
安全の対岸に危険があって良いし理解不能な世界、狂った世界があるからこそのバランスというものもあるはずです・・

もっと歴史など含め熟慮された上で繊細に積み重ねられるべきです、都市計画や建築物の類は一度立ち上がってしまうと半世紀以上の間存在し続けてしまうのですから・・

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