最高峰の左官職人とのひと時
久住章、とても懐かしい。
98年か99年に淡路島の久住さんのゲストハウスを訪ねた。(同じ大学の1-3年生の連中が10人弱居た記憶がある・・まあこの連中とはその後四半世紀近く再開することもないが)
当時、安藤忠雄と進行中だった淡路夢舞台の話やその他の像設計集団との仕事、アーヘン工科大学のことなどについて、酒を交わしながら5-6時間、話を聞いた。
特に淡路夢舞台で塗り壁の依頼は“壁一面(だったか平米単価だったか記憶は曖昧だ)当たり200万円もらってる”って衝撃的なことをさらっと笑いながら言ってたのが印象的だった。
ずっと笑顔で楽しそうに酒を飲みながら話をしていて、こんな仕事の仕方って本当にいいだろうなって若かりし自分でも羨ましく思えるほどであったから、いや当人は裏側でいろんな苦労も勿論あると思うからそれを表に出していないだけなのだろうとも思いつつも、聞き入ったものだ。
ゲストハウス自体も久住さんの左官仕事満載で、丁寧に案内してくれ、また左官の実演もしてくれた。これが左官職人の中でもトップランナーの手捌きかと感動したものだ。
確か京都に宿をとって連中と雑魚寝部屋だったが、そこは息子が手掛けたものだったかと思う。(六本木のbricolage bread & co.や十日町市民交流センターが久住さんの息子、有生の手仕事によるものだったと最近知った・・)
ただ、当時話の終盤に目が悪くなってきていて、この仕事もそう長く続けられないみたいなことを言って、少し寂しそうな顔をしていたのもまた印象的で、左官とは技術も去ることながら視力が落ちると出来なくなるものなのかと知った瞬間だった。
いずれにせよ、かなり深い夜まで滞在した記憶があり、宿に戻ったのは深夜だった気がする・・四半世紀近く前の昔話。
千夜千冊を眺めながら、懐かしんでみた。
いや、本当に懐かしい。久住さん、元気かな?
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