小鹿田焼「小袋窯」探訪記(後編)成形そして登り窯での焼成
複数の土を混ぜて焼成時に割れにくくする窯元が多いなか、小鹿田では1種類の土だけで陶土を作っています。柔すぎず固すぎずの状態でろくろ場へ運ぶそうです。
陶土を成形する前に100~200回ほど手捏ねして空気を抜き、硬さを均一にします。道明さんによると、陶器によって陶土の固さを調整しており、傘立てや大皿を作る時は土を固くしているそうです。
陶土の成形は、電動ろくろではなく足で回す蹴ろくろを使って行います。小鹿田焼は焼成した時に2~3割ほど縮むため、それを計算したうえで成形しているそうです。成形用のヘラやコテなどの道具は使い手ごとに工夫されています。成形が終わった陶器は皿板に乗せて天日干しします。
天日干しが終わった後は装飾の工程に移ります。小鹿田焼の伝統的な装飾技法として飛び鉋、刷毛目、指描きなどがあります。手作業ならではの素朴な味わいが小鹿田焼の特徴です。道明さんは「飛び鉋の入れ方などによって表情が変わるため、作り手の特徴が出ます」と話します。
登り窯による焼成は全体が焼き上がるまでに40~50時間を要し、窯内は1200~1250℃に達するそうです。この間は仮眠を取りつつ24時間体制で対応しています。小袋窯では5年前に登り窯を新しくし、現在は窯を育てている状態とのこと。道明さんは「同じ窯で焼成しても仕上がりが異なるため、工業製品のように同じものは作れない」と話します。
焼成後は数日間徐冷し、窯から陶器を取り出して陶器の状態を確認します。小袋窯では年に4~5回窯出しを行っているそうです。訪問した日はちょうど窯出しの日で、出来上がったばかりの陶器をたくさん見ることができました。
小袋窯では工房内に物販コーナーを設けており、どなたでも購入することができます。小鹿田を訪れた際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか?お気に入りの陶器が見つかるはずです。
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