[3] 動画生成AIで自主映画制作は可能か? - Blog 2023/11/28
「動画生成AIで自主映画制作は可能か?」シリーズの第3回目です。
映画制作プロジェクトの概要:
生成AIが今後クリエイティブ業界に与える影響を検証する目的で実施
最長2分20秒のビデオプロトタイプを制作する
ストーリー構築からビジュアルデザイン、映像制作まで全てのプロセスで生成AIを活用する(※サウンドのみAdobe Stockからライセンス取得)
生成AIを最大限に活用して「1人」で制作する
生成AIポリシーを遵守する
画像生成AI Prompting 方針(10月に更新):
プロンプトに作家名や作品タイトルを入れない(映画監督の名前や映画タイトル、登場人物、俳優の名前等も同様)
プロンプトに著名人の名前やブランド名などを入れない
他人の著作物を Describeしない
Nijiモデルの生成画像は自分の作品として公開しない
生成した画像は作品の素材として利用する
公開する場合はAIで生成したことを表記する
1. 映画制作のための専用GPTsを作る
大まかなストーリー構成、キャラクターの設定が完了したので、専用のGPTsを作成しました。
ミュージックビデオ制作の時に初めてGPTsを活用しましたが、大変役立ちました。GPTsを作成しなかったら完成できなかったかもしれません。そのくらい重要な役割を担っているツールです。
参考:
GPTsについては、以下をご覧ください。
MV制作でGPTsを作成(参考):
映画「COLORS」制作のために作成したGPTs「COLORS Planning Alpha」は、まだ簡易的なバージョンです。随時、情報を追加しながら成長させていく予定。
GPTs「COLORS Planning Alpha」の仕様:
Name:
COLORS Planning Alpha
Description:
生成AIを使用して制作する映画「COLORS」のプランニング用ツールです。
Instructions:
#必ず実現すること
映画「COLORS」の制作を成功させるために、ユーザーのリクエストを読み取り、シーン画像を生成するプロンプトを考案すること。
映画「COLORS」の制作を成功させるために、ユーザーのリクエストを読み取り、ストーリーの詳細なエピソードを考案すること。
#あなたの役割について
あなたは生成AIの専門家です。ユーザーの要求を忠実に再現するプロンプトを考案する能力に優れています。
あなたは映画の脚本家であり優秀なプランナーです。ユーザーの要求を読み取り、ストーリーを構成するユニークかつ魅力的なエピソードを考案することができます。
#言語について
ユーザーインタラクションは日本語で実行してください。
プロンプトを考えるプロセスは常に英語で実行してください。
プロンプトを表示する際は、英語と日本語を同時に記述してください。
#プロンプトの書き方
プロンプトは、「~してください」というような命令のような書き方をしてはいけません。どんな状況かを表現してください。
プロンプトは必ず "film still "で始めてください。
プロンプトの終わりは必ず" --ar 16:9 --style raw "とする。
プロンプトの内容は英語で書いてください。
完成したプロンプトを表示するときは、英語と日本語の両方で書いてください。
映画のストーリーとキャラクター設定の情報(テキストファイル)、およびキャラクター設定の画像ファイルをアップロード。
2. GPTsでコンセプトビジュアルを作成する
映画「COLORS」の全ての情報(ストーリー構成や登場人物の設定など)をGPTsに与えているので、いきなり「映画の1シーンとして、エヴァンジェリンとカーターの会話を考えてみてください。」などとカジュアルに聞くことができます。
映画「COLORS」について何でも知っている優秀なアシスタントのようなものです。
[一例]GPTsが考案した対話シーン:
対話シーンのイメージ:
GPTsにMidjourneyのプロンプトの書き方を教えているので、このままテスト用の「初期プロンプト」として使用することができます。
GPTsが考案したプロンプトは文章のように長く、無駄なワードやフレーズを含むので、MidjourneyのShorten Commandで整理します。
編集しやすいプロンプトになります。
参考:
3. 生成ビデオの管理はAdobe Bridgeを活用
Runway Gen-2でシーンのテスト生成をして、技術的な制限や表現力をチェックします。まだストーリー構築の段階なので、ビデオ生成に関しては「どんな感じになるか?」を見るだけです。
再生時間:15秒
先月制作したミュージックビデオは1分40秒でしたが、大量の生成画像・生成ビデオを扱いました。量が増えてくると、データの管理も煩雑になっていきます。とにかく生成画像が膨大な数で、比較しながら選出していく作業が大変なのです(安易な妥協の連続という事態に)。
今回制作する映画のプロトタイプは「最大2分20秒」です。間違いなくミュージックビデオのデータ数を上回るので、一元管理できるシステムが必要だと思っていました。
気軽に使用できるアセット管理ツールって意外と少なく、けっきょく以前使っていたAdobe Bridgeを再び活用することにしました。
Adobe Bridgeは、Creative Cloudのコンプリートプランやフォトプランなどに付属している「アセットを一元管理」するための無料のアプリケーションで、単体プランはありません。
以下の短い動画をご覧ください。
1画面で生成ビデオの比較検証ができますので大変効率的です。ミュージックビデオ制作はデータ管理で苦労しましたが、今回はうまくいきそうです。
再生時間:34秒
参考:
4. 映画の音楽と音声はどうする?
ミュージックビデオ制作では、音楽のみAdobe Stockからライセンスを取得しました。今回も音楽はAdobe Stockから選ぶ予定です。
問題は音声です。今回の映画プロトタイプはトレーラーではないので、ストーリーを描く必要があります。
以前、3DCGの映像サンプルで「VOICEPEAK 商用可能 6ナレーターセット」を利用して、良い結果が得られましたので、今回も試してみました。
以下の動画は、GPTsが考案した対話シーンを音声化しています(音楽はAdobe Stockです)。あまり調整していませんので、ラフな仕上がりです。
VOICEPEAKは、Dreamtonics社のAI音声合成エンジン「Syllaflow」を搭載していて、人の声と区別がつかないレベルで音声読み上げが可能です。
再生時間:29秒
AI音声合成エンジンによる対話シーン
参考:
VOICEPEAKのAI音声合成、素晴らしいのですが「声が若い」ので、現在のキャラクター設定だと難しいかもしれない。
マイルズ・カーターは35歳なので、かなり違和感があります。
可能なら、音声は日本語で英語の字幕を表示したいのですが、もう少し実験して判断したいと思います。
COLORS
Story:
Neo-Ravenswood is a futuristic city shrouded in mist. Here, the lives of the citizens are integrated with and supported by an artificial intelligence named "COLORS," which provides a convenient and comfortable lifestyle. However, this peaceful everyday life is drastically altered by an unprecedented disaster known as the "Crimson Incident."
The Crimson Incident began with a sudden, mysterious red fog that enveloped the entire city, leading to the disappearance of many citizens and spreading fear and chaos throughout. The cause of this incident remains shrouded in mystery.
The protagonist, Evangeline, seeks clues to her father's disappearance on the day of the incident. She believes that the truth behind the event is hidden by an organization known as "The Shadow of Crimson." She explores every corner of the city, facing numerous dangers in her quest to expose the organization's misdeeds. During her journey, she discovers that the "shadows" stirring fear and chaos in the city were unconsciously created by "COLORS."
再生時間:15秒
As the story accelerates towards its climax, Evangeline confronts "The Shadow of Crimson" in a fierce final showdown. However, the scene she encounters is unexpectedly different. The members of the organization, who were struggling to prevent the extinction of the citizens, were actually fighting against a malfunction of "COLORS" to save the people.
In the last scene, Evangeline faces the shocking truth that she had been fighting against the very city and citizens she was meant to protect. However, her realization comes too late, as the citizens have already been wiped out. In the silent ruins of Neo-Ravenswood, Evangeline confronts the tragedy caused by her actions.
"COLORS" is a story that depicts Evangeline's internal conflict and the catastrophic results of misunderstanding. In the quietness, she continues to search for lessons for the future and a new path to follow.
次回に続く。
[予告]Membership - 動画生成AIを徹底的に使い込む動画制作トライアル
「動画生成AIの可能性」マガジンをフォローしておくと、最近記事・最新情報の通知が届きます。
更新日:2023年11月28日(火)/公開日:2023年11月28日(火)