宇野維正先生考察第七十七段 FM COCOLO Whole Earth RADIO ポップカルチャー2022 音楽編の宇野先生編
今回の宇野先生考察は11/27に出演したFM COCOLO Whole Earth RADIOのポップカルチャー2022 音楽編からの宇野先生の発言をピックアップしていきます。
半年に一度の恒例のタナソーと宇野先生のM COCOLO Whole Earth RADIOのポップカルチャー対談。今回も音楽編と映画編の二部構成。まずは音楽編からです。では、ピックアップしていきます。
『映画音楽ジャーナリストの宇野維正です』
『毎回、大阪に来たら収録してるこのポップカルチャーを語るシリーズの最新回です』
『僕ら相変わらず北米のラップをエキサイティングして聴いてるんですけど、だからといってこの間のドレイクと21savageのアルバムの曲をこういう場で掛けたいかと言うかなんかそういうモードではなくなった。数年前からアフロが来てるってタナソーさんが言ってたけどタナソーさん正しかったなって』
『来日公演も復活して盛り上がってはいるけど、ビリーアイリッシュとかブルーノマーズとか来年来ますけどハリースタイルズとかその辺のメンツは変わってないなと。僕はドレイクとかトラヴィススコットみたいなラップスーパースターがちゃんと日本で興行を打てるようになれれば良いなとずっと思ってきたんだけど、最近の状況みてるとラップミュージックってもはや新しいスターってほぼほぼ北米でしか聴かれてないって感じじゃないですか。ある意味北米のラップミュージックが2020年代のカントリーミュージックみたいに立ち位置なって来ているとは認めざるえない』
『だけど俺は日本でカントリーミュージックとしてのラップミュージックファンではあるけど。日本は日本でラップシーンって大きくなってるじゃないですか。フェスとかも色んな形で行われて若いお客さんも集めている。3年ぐらいに描いていた理想図とは個人的に違うけど面白いなとは思う。』
『今年を象徴する曲として僕が選んだ曲を聴いてください。Wizkid のBad To Me』
『ウィズキットはドレイクと一緒にやったりとか、昨年だとテムズとやった曲に後からジャスティンビーバーがfeatで参加したりとか。あとクリスブラウンとかそういうグローバルのスター達と共演して名を上げてきた』
『今回アルバムはfeatも少なく自分の名前だけで、ウィズキットとして完全にスターになって来た。ナイジェリアのアーティストですから。象徴の一人だと思う』
『今年のUSラップ代表的な作品だとケンドリックラマーがありましたけど、あの作品も素晴らしい作品だけど、出た後重くて一か月ぐらい経ったら聴けなくなってしまった』
『個人的には、カニエウエストの問題発言がエスカレートし過ぎていたり、曲も追悼の意味でフーディーを着てますけどミーゴスのテイクオフの事件とかでどうしても北米ラップについて話すと重々しい気持ちになってしまうので、アフロビートに救いを求めてしまう』
『今年一番聴いたのはドレイクのあのアルバムです』
『エドシーランは中近東でガーシーと会ったりしてますけどね。』
『お前らいつの間にかどこまでアフロにかぶれてるんだって感じになっちゃうけど、2、3年後そう言えばあの頃、やつらはアフロばっかりかけてたなと思うと思いますよ』
『タナソー さんはね早すぎるんだよ』
『僕も正直言って今年のアルバム3枚選べとか言われたら自分が好きな物と批評家として選ぶべき物のせめぎ合いがあったけど、もはやせめぎ合わないです。ようするに好きな物、単純に言えば再生回数が多い物。3枚あげればドレイクのアルバム。そして、世界中で一番聴かれてると思われるUn Verano Sin Ti。君がいない夏ですね。なんかビーイングの曲名みたいだけど、バッドバニーの。そして猛追してるのがドレイクと21savageのハーロス。だから何じゃそりゃって感じですよね。けど、ドレイクはいらん事言ったりしてるからちょっと掛けたい気分にならなかった。』
『タナソー さんは3枚何ですか?』
タナソー「一枚はケンドリックラマーよりビヨンセなんですよ。ビヨンセはビートレコードなので。あと2枚は日本のアーティストです。佐野元春、七尾旅人のアルバムです」
『日本はオリンピックとかを境に色んな物が明らかになっていく』
『そんな時代に僕は元々ラテンアメリカ好きなんですよ。カルチャーとしてもね。サッカー好きだし。この間、ようやく外国人が入れるようになって来た。日本は残念ながら音楽のマーケットとしては世界からアテにされてないんけど、観光地としては相変わらず世界屈指のみんなが来たい街でジャスティンビーバーも来てたじゃないですか。その中の一人で日本ではまだそんなに知名度ないとは思いますけど、数年前にハワイという曲がとんでもないグローバルヒットになったマルーマと言うコロンビアのシンガーがいて、彼がスーパースターになってから日本に入国が普通に出来るようになったらまず日本に行きたいと行って日本に一週間ぐらい来てたんですよ。まあうちうちで日本にいるコロンビアの方とか、契約がソニーなんでソニーとかがスーパースターなんで日本でパーティーをしたいといったら色々お膳立てをする訳ですよ。それこそスカパラのメンバーとか色んな人がパーティーに来てたんですけど、そのパーティーに呼んで頂いて凄い楽しかったなあって話なんですけど』
『それで僕の曲はコロンビアのThe Rudeboyzって言うDJチームの曲にマルーマとマルーン5のアダムラヴィーンが参加したオハラって言う曲を聴いてください』
『相変わらずマルーン5と言えばケンドリックラマーと一緒にやったりとか鼻だけは効くじゃないですか。』
タナソー「最速の後乗り」
『そのアダムラヴィーンがやりたかったのはマルーマって事にですね』
『そのパーティーで来年に出るアルバムの曲も何曲かかけてくれてて、ここのラジオで言ってどれどけスペシャルな話か分からないですけど、コロンビアや海外に伝わったら大ニュースになると思いますけど、ほぼほぼアフロになってて、マルーマはコロンビアなんでレゲトンの中心地はプエルトリコなんですけど、コロンビアにもレゲトンスターは沢山いて、マルーマもレゲトンビートもたくさんやってるんだけあ、レゲトンとアフロがかなり手を組んでる作品になっている。バッドバニーのアルバムも結構そう言うテイストありましたけど。いよいよ音楽の中心が2020年代南半球だと言うね。元々バッドバニーは世界トップのアーティストですけど、レゲトンとアフロビーツが手を組んで世界の音楽の地図が塗り替わる。まさにブラックパンサーワカンダフォーエバーの世界ですよ。』
『ワカンダとタロカンは映画の中では争っていたけど音楽の中では手を組んでるんですよ。それで新しい世界がバンバン見えてきて、ちょうどマルーマはワールドカップが始まりますけどカタールのワールドカップのテーマ曲もやってる。中東で冬場にワールドカップやることにはサッカーファンとして思う所はありますけど、世界はラテンアメリカかアフリカと中東のロジックでポップカルチャーが動き出したぞとそういう認識が自分の中でもあるんですよね。もちろん東アジアには最近のポップカルチャーシーンを先取ってきた韓国もありますけど、いよいよアメリカ、ヨーロッパのポップカルチャー史観からその周辺になってきた。本当なら日本もそこに入るべきなんですけど。我々もその中の一員として英語以外の言語も学びながら頑張りと思いますよ』
『そりゃ北米のラップシーンがカントリーミュージック化するのもわかりますね』
『演歌やベビーメタルにも意味があるようにカントリーミュージックだって素晴らしい音楽もあるんですよ』
『マルーマかっこよくてさあ。本当にかっこいいんだよ。会うの重要とか思った』
『色んなビックアーティストの来日が決まってますけどもう少ししたら本当に新しいポップカルチャーの世界がよりクリアに日本にいても見えて来るんじゃないかなと思います』
タナソー「ビヨンセfeat テムズ、グレースジョーンズのMOVEです」
『まあ我々はね、こうして大阪のラジオ局で話してるのはトークイベントで大阪で伺う時に一緒にやらせて貰ってるんですけど、そのトークイベントの配信がまだ観れますからよろしくお願いします。こんなピースフルな感じではないですけど。また来年のゴールデンウィークにも予定してるのでよろしくお願いします。トークイベントでやれなかった事をこのラジオでやってる感じなので』
タナソー「来年はビヨンセの2作目に期待してますけど、リアーナの復活になりより期待してます。多分ツアーをやると思う」
『僕はやっぱりグローバルスターとしてのトラヴィススコットのアルバムとそろそろ日本でも大きな会場での来日公演をやって欲しい。来日すると日本のラップシーンも変わると思う』
タナソー「ケンドリックラマーの二回目のフジロックの後の変わったからね」
タナソー「来週は映画とテレビシリーズについて話します。」
『よろしくお願いします』
【総評】
最近の宇野先生のラテンミュージックへの愛がここでも語られてましたね。特にマルーマへの愛は最近、色んな所で語っていてその度にかっこよかった。本当に良い人だったと大絶賛をどこの媒体でもしてます。あと今年の三枚がバッドバニーとドレイク2作な事も他の媒体でも言っていましたね。次回の映像作品編も更新予定ですので宜しくお願い致します。