宇野維正先生考察第十四段 POP LIFE THE PODCAST 三原勇希さんプロデュース第二弾回 リモート出演編
今回の宇野先生考察はPOPLIFEの三原勇希さんプロデュース第二弾回にリモート出演したシリーズからです。最近、宇野先生がらしさを出す二大プログラムのうち一つのぷらすとが終了するが発表されてしまいました。POP LIFEとぷらすと以外に出るときはかなり余所行きな宇野先生なので正直、パブリックイメージ的な宇野先生はこの二番組だけなので残念な限りです。
唯一になってしまったPOP LIFEには頑張ってほしいところです。
では宇野先生の発言をピックアップしていきます。
#070 令和GALS! 三原勇希とソウルメイト二人 Guests: あっこゴリラ、長井優希乃&宇野維正
三原さん「心強いアベンジャーズのこの方に来て頂いております」
『えっ、あっ、はいはい』(突然ふられて驚く宇野先生)
三原さん「ちょっとぉ…」
『映画画音楽ジャーナリストの宇野維正です。』
『僕はどんな時があってもスタジオに駆けつけると言う約束を交わしているのにお前はリモートで良いと言われてしまったのでリモートで参加します。』
三原さん「なかなか繋がらなくておこですけど」
『いえいえ全然』
『今日、タナソーさんも僕もリモート声だから必要なところだけシュッ入る感じでスタジオの三人で盛り上がって貰えればと思います』
タナソー「ご意見番の宇野維正さんに査定して頂こうと」
『いやいやいやいや…』
タナソー「宇野先生に厳しく査定して…」
『いやいやいやそういうつもりでは全くなかったんですけど』
『人が好きな物を否定するのって一番無粋なので。そういうスタンスは全くないですよ。最初に言っておくと。』
『世の中で例えば映画館がようやく開き始めて新作公開されてないからさ。旧作がプログラムに入ってるじゃないですか地方の映画館とかで。その中で前に言ったかも知れないけどショーシャンクの空へとかがかかるわけじゃない。それ?とかさ。そういう何か世の中の評価が確立した物に対する茶々は入れるけれどそれと個人の好きな物は全然別な物なので。』
『(ショーシャンクの空へは)どうでも良いです』
『それとこれとは厳然違うって事ですよ。ようするに。』
『あと栗本慎一郎って言うが人が百万部クラスのベストセラーを出したりしてポピュラー化をはかり中澤伸一さんが宗教学の人なんだけど繋がりがありチベットのモーツァルトとか高校生の頃、夢中になって難しくて良く分からないけど読んでて。ただオウム真理教のタイミングで文化人類学と宗教学は違うんだけど近い所にあってやっぱりその辺の学者さんたちが山口正雄さんとどうだったか覚えてないけどオウムに対して警鐘を鳴らさなかったという事でなんて言うんですか今で言うプロップスが落ちていくんですね。坂本龍一さんとかともその辺の。いわゆるニューアカですよ。その代表的な学問が文化人類学でブームになったんだけどオウムで以降はカルチャーとの繋がりは途絶えた感じはありますよね。』
『あと、まあ当時と違って臨床心理学がどんどんどんどん発達していってそういう他者性みたいなものがどんどんなんて言うの心理学とか精神医療とかに関わって名前がどんどんついていってしまう事で必要に以上に整理されてしまったって事はありますよね。』
『だから良くわからないのを全部引き受けてた文化人類学みたいな物が色んな学問に別れていった感じはしますけどね。個人的にはね。専門性が高まっていくことによってなんか。例えばアメリカとかでは自分に不安を感じる人の経済的に余裕のある人のセラピーに通ってる率とか異常にあるじゃないですか。病名が与えられたりセラピストによって言葉が与えられる事である種のまやかしの安定みたいな物が社会がシステム化していったみたいな流れがあるんじゃないですか?』
『何でもそうで話が下世話な話になるけど僕とかが高校生の時はストーカーって言葉が一般的じゃなかったから熱烈な片思いだったんですよ。ストーカー的行為が。それが何時ごろからかストーカーという言葉がつくによって犯罪として白い目で見られるようになって他者への執着が良い所と悪いところどっちもあると思うけど悪い事ばかりフォーカスされるようになったのはこの言葉が使われるようになった。それって色んなところであると思いますけどね。』
スタジオの三人「宇野さんが勧めてくれたハーフオブイット超良かった!」
『ハーフオブイット観てくれたの?みんな』
三原さん「宇野さん微笑んでる笑」
『ハーフオブイットとジエディは僕がハマったネットフリックス作品なんだけど前になぎらさんが出た時にデイミアンチャゼルの話になったじゃん。僕本当にビックリしちゃったんだけどデイミアンチャゼルがダメだという前提で話してて。それが前提で話してる事の愚かさに呆れかえって。』
『そこは同じ番組の枠組み何でちゃんと言っておかないとなと。』
『彼のジャズへのアプローチとか音楽に対する凄く捻れた思いとかは色んな評価があって然るべきだし僕も全面的にはそこは肯定しえない所だけど映画としてデイミアンチャゼルを貶す事はよっぽど覚悟いる事ですからね。』
『(デイミアンチャゼルのジャズの使い方のおかしさ)そこは納得する所あるんだけどジャズの使い方がおかしいからといって映画としてダメなのか?っていうのは全然別の話なんで。あの人映画監督としてはとんでもない人なんで。まあそんな話をしたかったんですがそれはおいおいね。』
『またお前音楽全然好きじゃないだろ感が凄い。あんであの人の音楽が苦しい物になるんだ!って。まあそれも面白いですけどね。』
『デイミアンチャゼルは一番はゴリゴリのシネフィルです。若手の監督シネフィルじゃないともう相手にもされない状況になっててそういう意味では必然ではあるんですけど。今回のジエディも簡単に言えばパリでカサベデスをやりたかったって作品なんですけどその志たるや。』
『ジョンカサベデスって言うアメリカの役者出身のインディー監督がいるんですけど超アップばっかりでこれまでの映画が描かなかった人間の日常と言うか生活に密着するような、あとそれこそ精神的な闇な部分、ドロドロの部分も含めてもうこれまでとカメラと被写体の距離が物理的にも作劇的にも全然違う映画を撮ったパイオニア的な監督ですけど、それをパリでやろうと思った事もそれをやれる訳じゃないですかララランドとかファーストマンとか結果を出してきてるので。そのポジションにいる数少ない監督。芸術家って志とパワーじゃないですか。志はあってもパワーがないと志だけの芸術家なんで。そのバランスをとって彼は一つ一つ階段を登ってる数少ない芸術家の一人なんですよ。彼の作家的なシグニチャーで言うなら毎回更新してますね。彼は元々脚本家で出てきてべらぼうに脚本が書ける人なんですけどファーストマン、ジエディと脚本書いてないんですよ。これ何でかと言うと脚本はもう書けるので。セッションとかララランドのひっくり返し方も含めて彼は心得ているので演出家としての色んな可能性を探ってる段階なので色々更新してはいますよね。』
『ただジエディは話が全然面白くない。』
『そこにあえて踏み込んでるって感じ。ネットフリックスって作品を作ってしまえばそこまで興行収入とかは問われないじゃないですか。一話、二話しか監督はしてないんだけど。ネットフリックスでやるんならこういうことができるという非常に利己的な芸術家ですよね。そういう意味では。毎回毎回当てようと思ってるよりは自分のやりたい事をどれだけやるか。今回16ミリで撮ってるんですよ。普通テレビドラマで16ミリで撮るなんて普通ありえないんですよ。三話目からは普通にデジタルで撮ってるんですよ。そういう無茶苦茶なことをやってるのでスリリングですよ。』
【寸評】
絶対スタジオに良くと言い続けていたのにリモートになったことに少し不満そうな宇野先生です。よく人が好きな物を批判しまくってますが本人はそういう意図はないそうです。相変わらずチャゼル好きな宇野先生ですが好きすぎて批判する奴らは愚かだと言ってます。全世界のチャゼル嫌いのみなさんは宇野先生曰く愚からしいです。
#071 マラウイの貧困、フランス型?男性社会 Guests: あっこゴリラ、長井優希乃&宇野維正
『レペゼン杉並でやってますこっちは」
三原さん「杉並区っぽーい。宇野さん杉並区男子っぽいですね。」
『マジか?子供が入って来ないように気を付けながらやってます。』
アフリカ南東部の小国マラウイ共和国での実話をベースにした映画『風をつかまえた少年』が雑談テーマ
『いま作品名だけで流れていったけどキウェテル・イジョフォーって言う一番みなさんが観てる可能性があるのがドクターストレイジでドクターストレイジの兄弟子みたいな最後別れていってしまう役の人。ドクターストレイジ2では結構重要な役になると言われているモルドーを演じている元々ナイジェリア系のイギリス出身の俳優。名優ですよね。彼が初監督をしたことで話題の作品が』
『役者として名前をあげたことで撮りたい作品を撮ることが出来たのがこれ。実はこれ日本以外ではネットフリックス映画なんですよ。ほとんどの国で。日本はロングライドって配給が買っちゃって。世界的にはネットフリックスで結構観られてるんだけど悲しいかな日本ではあんまり観られてないんだよね。こういう作品ってこのあと話すハーフオブイットもそうだけど良いって言ったらバーっと観れるじゃん。ネットフリックスって。その本当にでっかい作品は別として中規模だと作品にとって幸せなのはネットフリックスかも知れないなと言う一つの例。日本では取り上げられる機会がほとんどなくて僕自身観てなかったのでそういう意味では良い機会を頂きましたってら感じです。ではタナソーさんにパスしまーす。』
『監督のキウェテル・イジョフォーはナイジェリア系だけどナイジェリアとかってそれこそブラックパンサーのワタンダじゃないですけど実際凄い高層ビルが立っててるし我々が昔知ってたアフリカと全然違うじゃないですか。GDPが20番以内、人口も二億人とかになってる。気が付けばナイジェリアなんか日本いつか抜かれてもおかしくない。我々は雑にアフリカと呼んでいるけど全然アフリカの中でも大きな格差が生まれていてだからこそナイジェリア系のイギリス人であるキウェテル・イジョフォーはあの舞台でこういった映画を描きたかったんだろうなと思う。映画って地理的にも歴史的にも知らないことを知るという映画のもっともプリミティブな役割ってあってこの映画はその役割はあるしその比率は高いっちゃって高い映画ではあるよね。別にその賞を狙って作ってる訳でもないし芸術的な挑戦をしてるためでもないけど作り手がそれを目指している訳ではなくこの物語を語りたいという作り手のやろうとしていることは成功してるそんな映画だなと思いますね。』
『これは話半分で聞いて欲しいんですけど僕は映画って五分で分っちゃうのでそれでも15分は凄い集中してみるようにしている』
『それは昔ゴダールが俺は映画は最初の15分と最後の15分だけ観ればあとは観ない言って。』
『ようは彼は恋人と映画に行くと15分経つと席を外して一時間ぐらい待ち合い室でたばこ吸ってるんですよ。それで最後に席に戻って最後の15分だけ観る。ふざけた映画の見方ではあるけど映画の芸術的な評価はそれでわかっちゃう。』
『良くも悪くも職業病です。職業病なんでそれ以上は言いませんが。』
『マラウイって最近できた国じゃないんだって知った。』
『最近コロナでWHOのテドロスさん。あの人も毀誉褒貶ある人では色々文句言ってる人も多いけどちょっと気になって調べるとさ。壮絶だよね。幼少期に自分の住んでる地域がマラリアが発生して医学の道を目指してみたいなさ。彼はエリトリア出身の田舎の人だけどあそこまで来たキャリアの人なんて想像を絶するのでそれだけで僕なんか敬意を表すと言うか尊敬してしまうので。コネとか関係なくアフリカから出て来る人たちのリアル偉人ぶりが凄いなと。重ねながら見てた所はありますけどね。テドロスに文句言ってる人は一回Wikipedia見て知ってから。』
あっこゴリラのリコメンド作品『軽い男じゃないのよ』
『話の構造としてはダニーボイルのイエスタディと同じですよね。』
『ジャーナリストとして解説を加えると軽い男じゃないのよはフランスのネットフリックスのローカルプロダクションでネットフリックスが他のストリーミングサービスと違うのは各国のローカルプロダクションを重視してるんですよね。日本だと全裸監督とか有りますがそれのフランス版。それがネットフリックス映画として世界中で観られている。ネットフリックス映画。
僕の感想はなかなか描写がドギツイですよね。シャルリーエブドの国の映画だなと風刺が効きすぎていて。フランス人は風刺が好きだけど時に効きすぎて大変なことになる』
『描写は男からすると耳が痛いのばかりですよ。』
『タナソーさん良く反転に言いますよね。やりすぎによって馬鹿にしてるんじゃないか?って。でも、この作品はそこはないと思う』
『ゴールデングローブにせよ、エミー賞にドラマ部門とコメディ部門は別れてるんですよ。それを一緒に評価するアカデミー賞もあるけどドラマとコメディは別のものという考え方に乗っとるのなら別にコメディには映画的な基準というのは僕は別の見方をします。もちろんコメディなんだけど映画として優れた作品がある以上映画的な批評軸をコメディに適応するのは間違いではないけどそれを外した上でコメディを評価するという態度はあり得る態度であり僕はそこは変えてみてる』
『最近見たやつだとセスローゲンのグッドタイムズ。面白いけど映画としてはなんともなくてそういうものを評価していくと言うのが映画の正義をコメディに振りかざすのはマナーとして正しくないかなと僕は思いますけどね
コメディってそういうので良いと思いますよ。女性が見て溜飲を下げたり男性が見て気付きを得たりとか。そういうのが作り手側の目的であったりするので。それは間違ってはいないと思う』
【寸評】
俺は映画は五分見たらわかる。達人の域でゴダールと同じ域だと言う宇野先生。宇野先生ぐらい自信満々に生きていきたいものですね。あと世間がWHOのテロドスを批判すると流石の宇野先生は逆張りしてきます。このあたりのぶれなさは流石です。
#072 自由と平等を獲得しようとする過程で Guests: あっこゴリラ、長井優希乃&宇野維正
『宇野維正フロム杉並です』
『僕とタナソーさんは絶対お菓子の話なんてしないですからね。』
タナソー「ほぼほぼお金と仕事の話しかしない」
三人「えー」
『あそこのギャラは高いとか』
タナソー「冗談ですからね」
『フィメールポップと言う言葉でしか表せない概念もあるから必要な言葉だとは思う』
『何を思ってるかとソーシャルメディア何を発信するかは全然別のことですからね』
『オピニオンを出す出さないは全然別の話。フェミニズムに限らずどんなことでも。僕は喋ったり書いたりって立場だから何を喋ったり何を書いたりするかは一緒である必要はない』
『スキャンダルは女性同士の連帯の難しさを描いている。それが良かった』
『フランスの風刺文化って乱暴さじゃないですか。あればフランスっぽいなとは思いましたよ。仏文科としては。』
『シャルリーエブドっぽいうと言ったのはシャルリーエブドが問題を起こしたときにみんな表現の自由だと擁護したじゃない。僕は全然乗れなかった。フランスの人たちは自由中毒だから。』
『フェミニズムとソーシャルメディアの掛け合わせは割と例外なく害悪だと思っている。その二つが掛け合わさったときは割とろくなことが起きてない。』
理由は?
『僕は具体的に被害にあってるから。言葉狩りみたいに。全く自分に非がないとは言わないがその時の盛り上がりで。その醜さたるや。なんかすんごい思うよね。』
『田島ハルコさんと言うラッパーとのリアクションから始まって彼女とのやりとりはすぐ終わったけどそっからひたすら燃えて行ったことがあって当事者とするとこりゃたまらんなと。最近でも似たような事はあるしそういう風に何を言ってはいけないかは割と知ってるんですよ。知った上でトラップとまでは言わないけどあえて意図的に炭鉱のカナリアじゃないですけど表現をしてる立場としてはあえてやるってことがたまにあるのにあえて言うって言うのは難しいんだけど、そういう時にルールとマナーも知らないとソーシャルメディアだと思われてしまう。情報が少なかったり抜き書きされるからだから。フェミニズムとソーシャルメディアの掛け合わせが害悪だと感じるのは凄く個人的な思いではあるかも知れない。』
『フェミニズムに限らないけど過激化してるトライブの一つではあるのは間違いと思う』
『例えばラストタンゴインパリの撮影で女性が酷い目にあったがそれをどう思うかと、表明するかは別の問題。』
『たとえば例が悪いかも知れないが最近、岡村隆史さんの例があったがあったじゃないですか。あれは発言酷いとは思うけど、彼がああいう事を考える事はまああり得るよなとは思うけど彼の罪はそれをラジオに載っけたことだと思う。ただあれの反応に関してはキャンセルに近いことが起こった。載っけてしまった以上は責められる事は当然だが反応の中には彼を教育し直そうと言う声があるがあれは時計仕掛けのオレンジで不良少年を強制すること行為は変わらない。我々がまず最初の段階でコンセンサスを得るのは公表しないのが第一段階。腐った考えだと思うけどお前の腐った考えを強制してやるっていうのは全然別の段階なのに同時に駆動している。先鋭化とはそういうこと。もちろんそういう意見があっても良いけど流石にあなたに輪っかつけてお前の考え方変えてやる!と言うのは… 人種差別でもそう。僕は人種差別大反対だけど頭の中の差別意識は自分の親とかおじいさんの代とかあったりする。それはしょうがない。それを口出してはいけないことを切り離してそこから替えていかないと時計仕掛けのオレンジと同じことだよとは思ってしまう。』
『僕が思うのは建前しっかりしようぜってこと。アメリカとかは建前はもう出来たわけ。建前踏み外す奴は意図的に踏み外すし。でも日本の場合余りにも無邪気なのみんなが。僕もたまに無邪気だと誤解されるわけ。僕は建前はある前提で話すことが建前はないと思われてる事が一つの理由だと自己分析はしてるんですが。だから、その自分のためにも建前はしっかりしようぜとは凄く思う。岡村さんの件で言うと建前完全に外してるんで責められて然るべきなんだけど。』
『声の上げ方がまず建前をしっかりしようぜと言う感じでやっていかないと去年いくつかあったその芸人のネタに対するさあ。それは人種問題だったりするんだけどやってる本人たちには罪はないって言う擁護の仕方もおかしくて。無邪気で無知なんだよ。無邪気と無知は潰す必要はあるけど日本では建前はないからこの辺で建前を作るのは凄く重要だと思う。』
『準備としては本音は能動的にしか変わらない訳だから建前のある社会が出来上がった次の段階で。そういう意味では日本はめちゃくちゃ遅れてるんだけど。そういう考え方を矯正しようというような事を他者が言ってるのは流石にゾッとするとは思うんだよな。』
『そういう意味ではタナソーさんがボコボコに言ってる軽い男じゃないのよも建前がどこのにあるのかを気付かせるのには意味がある作品だと思いましたよ』
タナソー「あれ観て痛い気分になる奴相当イタいけどね」
『じゃあ僕が痛いんだー』
【寸評】
この回での宇野先生のソーシャルメディアとの向き合い方は宇野先生を考察するうえで非常に重要だと思います。基本的に炎上するのは「言葉狩り」で自分に非はないとは言わないがそこまで悪くないのに炎上すると思ってるようです。
しかも、あえて炎上するかも知れないような事は言って反応を炭鉱のカナリアのつもりでやっているそうです。ある種、宇野先生は炎上商法をしていると白状してるのでしょうか?
#073 これぞ2020年度ベスト映画(so far)! Guests: あっこゴリラ、長井優希乃&宇野維正
アリス・ウーのNetflixオリジナル映画『ハーフ・オブ・イット』について
ゲスト二人に流されて 『イェイェイェ宇野維正です』
『ネットフリックスって秋口に割と良いえいがをかためるんですよ。それはアカデミー賞にノミネートされるのが一番の宣伝なんですよねネットフリックスにとっては。どれどけお金掛けるよりアカデミー賞のノミネートされる宣伝効果が一番大きくて。そういう意味ではこんな四月にこんな作品が来るのは珍しいですね。もしかしたら今年はこのあとパンデミックによって一年だけ特例で劇場で公開されなくてもアカデミー賞ノミネートOKになってるのでこの作品に関してはそういうのに関わって来る可能性も高いんじゃないですかね。』
『僕ちょうど監督が同じ歳なんですけど1970年生まれのアリスウーって監督なんですけどこれが15年ぶりの映画なんですよね。二作目。』
『思いもしない所からやってきた傑作って感じですね。脚本も書いてて彼女自身もレズビアンで彼女自身の実体験を反映した作品であると。』
『舞台は架空の街なんだけどカトリックの強い田舎街。』
『人の本音を強制する危険性を前回のエピソードでも言いましたがこういう土地ではゲイの男性、女性を強制するって言うプログラムが当たり前のようにあって実際行われている訳です。アメリカの田舎の街では。目的はどうあれそういう事は絶対いけないことだというのが前回と繋がる僕の目的意識。親が自分の子供がそうであると気付いたらセラピーとかに入れるのが普通なんですよ。』
『だからこそ主人公の女の子は自分自身が気づいているいないじゃなくてそれを表に出せないみたいな環境なんですよ。いまでもそういう状況。』
『だから我々ってアメリカはロサンゼルスやニューヨークのイメージで日本より進んでると思ってるけど下手したらこんな日本より遅れてる部分があるというレンジがアメリカで。強固な保守的な考えがある街というのがこの映画のベース。』
『アメリカはLBGTQに対しての偏見も中絶の問題に関しても保守キリスト教と言うのがあの国の中核を実は占めていてだからこそ教会であのクライマックスシーンは上手いよね』
『カズオイシグロとサルトルだよね。ベンダーズの引用とかいちいち気が利いてる。不安だったのがタイトルのハーフオブイットのアニメーションを見た時にふわふわした話なのかな?と思ったけど途中のオスカーワイルドとかサルトルとかの引用がビシビシ決まっていって最後絵文字になるのがうまっ!みたいなこのうまさにころっと言ってしまう』
『タイトルはハーフオブイットだけどそれを全否定していく。タイトルと出だしに引っ張られる反転させられる』
『エリーとアスターの温泉での一連シーンが一番好き。痺れた。』
『なんで15年間映画撮ってなかったの?ってぐらいセンスの塊』
『田中邦衛と宮沢えり(?宮沢りえでは?)が北の国からで仲良くなるシーンっぽいよね。』
『岩井俊二っぽいとおもわせて実は倉本聡レベルにいってる。駅ステーションみたいな。』
『日本でも話題に既になってるけどマジ日本人好きよねって言うのはあるよ。このまま日本を舞台にしても成り立つし。』
『岩井俊二っぽいかな?と思ったら倉本聡だった』
『ラストシーンは北の国からでしょ』
『これめちゃくちゃアリスウーのパーソナルな映画なんだと思います。こんなに上手いのになんで15年と映画撮ってなかったんだとさっき言いましたがそれだけパーソナルな作品だからこそこれだけ間隔が空いたしこれだ!って作品が産まれたんだと思います』
『アスターはもちろんだけど僕はジョクス野郎トリックも好きだったけどね。クソみたいな産業ロックを発表会でやって彼は迷いがないのって言ってあのキャラをただの悪役にしないうまさとかも。』
『ああいう環境に適応して迷いのない人間もいるしそれを否定もしてないじゃないですか。』
『変化って自発的な物じゃないと意味がないんですね。それを促す事はもちろん必要でそれは社会のシステムであったり法律であったりとか社会の制度を替えるのは意味があるけどそっから先は人間はその中で自発に代わっていくしかないんじゃないでしょうかと言うことだよね。』
『例えばさあ、医大の点数が女性のが低くされたりとか外国人の面接の点数はゼロにされてたりとかああいうのが一番最悪でどんどん声を上げていくべきだと思うし場合によってはソーシャルメディアも使って替えていくべきだ思う。個人の領域はまた別だと思う』
『アリスウー監督はマイクロソフトでソフトウェア開発をしていたバキバキのエリートらしいですかね』
【寸評】
終始ハーフオブイットを褒めてるだけの回なんで特に面白い発言もないですがやたらアリスウーは倉本聰説を終始唱えてます。
【総評】
このシリーズのポイントは宇野先生が自らのソーシャルメディアとの向き合い方について話していることでしょう。基本的には炎上は言葉狩りが原因でたまに観測気球的に何を言ってはいけないのか分かっているけどあえていけないことを言ってるそうです。言葉狩りとあえてやってる事に多少不思議な矛盾を感じるので宇野先生には詳しく話を聞きたい所ですね。
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