宇野維正先生考察 第四弾 ぷらすと×アクトビラ #1367「ぷらすと的2019年ベスト映画」編
今回の宇野先生の考察はぷらすと×アクトビラ #1367 「ぷらすと的2019年ベスト映画」の発言から考察していきます。3回続けてPOP LFEでしたのでそろそろ違う所からと思って宇野先生の書籍からの考察を予定しておりましたがぷらすと的2019年ベスト映画の公開収録の模様がYOUTUBEにアップさTれたのでそちらから先に行います。基本的に2019年にベスト映画を西寺郷太氏をMCに松崎健夫氏、松崎まこと氏、宇野維正先生、中井圭氏、花くまゆうさく氏が語るという内容ですのでそれほど興味深い発言は多くない(2時間の間で六人が語るわけですし)ですが。
まず2019年の映画を三本選ぶ訳ですが宇野先生が選ぶ2019年の映画三本は
『JOKER』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『さらば愛しきアウトロー』
この三本が2019年というくくりだと象徴する三本だという事です。
内容が良いことはもちろんだが2019年を象徴するそうです。
ではこの公開収録で宇野先生がした発言を見ていきます。
『今年の日本映画はだめだったってことですね』(ベスト映画談義で日本映画があがらないことに対して)
『東宝の試写室は一年いかないと入れなくなる』
『2018年までのアカデミー賞の監督の半分が女性や性的マイノリティという流れは止まった』
『僕が選んだのは全部白人のおっさん、じいさん』
『運び屋とアドアストラとドクタースリープもいれても良かった』
『2018年までの白人のおっさんの居心地が悪い流れの中で今年はバッククラッシュが起きた』
『日本人にはアンチナチスが一定数いてユダヤ人頑張れ的な映画は常に需要があるので公開される』
『ジョーカーはスーパーハッピーエンド、超明るい映画』
『ロングショットは超いい映画』
『今の世の中スーパーヒーロー映画の時代』
『 ジョーカーは2018年ぐらいまでの映画の大きな流れの中でLGBTQなどが大きなテーマだったが全人類の共通のテーマであり問題が経済格差と気候変動が2019年になってそれまではとは違いテーマになってきた中での作品』
『白人の大物映画監督が自分の一人称の映画が作れなくなったと言っていた』
『ジョーカーは嫌いな言葉だけどインセルの映画だと言われる。日本語だと子供部屋おじさん。』
『ここ数年インセルと言われる彼らが女性嫌悪などで害悪を与えていると社会学として言われてきた』
『2019年に流行った映画はそれのある種の反動』
『ジョーカーはインセルを肯定的に描いたことでニューヨーカーとかガーディアンとかリベラル系のクソメディアから批判されている。それは馬鹿だと思う』
『それらのメディアME TOOをガンガンやってたところ』
『それが世界中で大ヒットして今年一番愉快なこと』
『だから2019年を象徴する』
『ジョーカーは年間2位で良いじゃないか?』
『ゲットアウトでジョーダンピールが黒人のアンデンティポリティックスの映画を作った人が同じような映画かと思ってたら実は経済格差を描いたのがアス 』
ちなみに収録中の宇野先生は
「レッドブルやたら飲む 」「人の話を聞いてる態度が悪い」
「字が丁寧ではない」
『韓国のバーニングとパラサイトを見ると比べると日本は貧しい人は描くけど金持ちは描けない』
『みんな貧しいから金持ちの生活は分からない』
『分かるのは北野武ぐらいでは?』
『映画が好きだからやってる衣装の人たちが映画の撮影環境が嫌で辞めた人もいる』
『メランコリックの監督には期待している』
『トッドフリップスみたいな才能ある監督は日本にはいない。せいぜい新聞記者ぐらいの映画しか作れない』
『日本には山崎貴みたいな監督しかいない』
『トランプは大統領公邸でジョーカーの上映会をやってる。』
『映画は危ういのが最高。』
『ジョーカーは日本にも一定数マーティンスコセッシュの引用の仕方も含めて批判してる層がいる』
『ワンハリはすべてのシーンに映画快楽がある、だから長く感じない。アイリッシュマンは長く感じた』
『ワンハリのマンソンファミリーの女性に対する必要以上の暴力にはタランティーノの様々なおもいが入っているように感じた』
『香港映画は観なかった世代』
『デヴィッド・ロウリーは我々の世代の最重要監督』
『ありがとうアメリカ映画 』
宇野先生が選ぶワイルドカード(選んだ3本以外に重要だと思う作品)はスパイダーマンスパイダーバース
『スーパーヒーロー映画は移り変わりが余りにも早い』
『左が左の映画を作って左の観客が観に行ってるのは面白くない、新聞記者とか』
『映画のクオリティの話ではあるが』
『ジョーカーみたいに左が右の映画を作って左も右の喜ぶ、価値観の撹乱のが素晴らしい』
『あえて言うんが左翼が左翼の映画作って来てる客も全員左翼ってどうなの?』
『主戦場も新聞記者も結局左が見て左が喜ぶ』
『右は最初から見ないから価値観が変わる人はいない』
『レイシストなどを集めて強制的に見せて価値観を変えるような作品を作らないと意味がないのではないか』
『そもそもドラックは悪いって話からしないと』
『大麻は本当に悪いのか?と言うところ』
『作品に罪にないって考え方は嫌い』
『じゃあ人に罪があるの?って思ってしまう』
『作品にも人にも罪はない。あるのは違法かどうか』
『違法行為と罪は違う』
『助成金は払うべきだし上映禁止するべきではないが』
『低予算の日本映画作品が多すぎて公開が遅くなる。もっと予算をかけた映画を絞るべきだがやれない業界』
『ジョン・ウィックは半年遅れて日本では全然話題にならなった』
『ランキングに入れることにこだわりはない』
『ネットフリックス映画の限定劇場公開は嫌い』
『アメリカにはアカデミー賞選出条件があるから仕方ない面もあるが日本ではただスコセッシはスクリーンで観たいよねってファンのためだけしかない』
『スコセッシュのアイリッシュマンは世界最低20カ国で劇場公開するという契約条件に入ってる』
『アメリカ人って離婚決めてるのにハグしたりキスしたりするよ』
『全部アメリカ映画、アメリカ映画最高じゃん。映画ってアメリカ映画のことだからね』
『エルトンジョンのロケットマンはまさかのキャリア3分一なのは違和感があって。パンフの解説にはそこで終わった理由を僕なりに書いたが。海外だとあれをワーストと言うひとも多い。 』
【総評】
大体、宇野先生の言ってることは他の媒体で言ってる事と同じ。山崎貴氏は一貫して批判してますね。
相変わらずのアメリカ礼賛。この辺り一貫してるのは流石ですね。興味深いのはデヴィッド・ロウリーは我々の世代の最重要監督発言。
デヴィッド・ロウリーは39歳。実績のある監督ではかなり若いです。宇野先生は49歳。同じ世代なのか?と言う違和感がある人は多いでしょうが宇野先生は自分は28歳だと思ってると言う発言もあります。若い世代のつもりがあるのでしょう。だから東京の女の子、どうした?発言の時に「おじさんが若い女の子を煽ってる」的に言われ方をしたのを宇野先生は不快に思ったのかもしれません。宇野先生の中では「おじさんばかりで僕と同世代の若い女の子は何故ジャネールモネイのライブに来ないの?」と思ったかも知れません。考えれば考えるほど難しい東京の女の子のどうした?です。
しかも、宇野先生は東京生まれ東京育ちのため東京への思い入れがあることも公言しております。帰属意識の問題でもあると思うと更に難しいです。
しかし、この配信の宇野先生ウォッチャーとしての1番の山場は松崎健夫氏との論争だと思います。
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