クリエイティブにおいてデザインが先か?コピーが先か?事例で考えてみる。
グラフィックにしろWebにしろ「デザイン・コピーどっちが先か?」というのはよくある話かなと思ったので、自分なりの考えをまとめてみました!
「ぶれない軸」さえあれば、デザイン、コピーはどちらが先でもOK!
クリエイティブにおいてまず一番最初にあるべきなのは「しっかりしたコンセプト」だと考えています。ブランディングに直結するものですね。
これは自分の経験に基づく話なのですが、「しっかりしたコンセプト」がないと、どれだけコピーをブラッシュアップしてもマイルドなものになってしまいますし、デザインはただただ感性にもとづく「あしらい」のような扱いになってしまいます。
「しっかりしたコンセプト」があれば、コピーライター出身の人の場合はコンセプトをもとにキャッチコピーをつくり、「ここにコピーを置いて、ここには写真を置いて、デザインのトーンはこんな感じで!」みたいにサムネイルを作っていく流れになると思います。
逆にデザイナー出身の人は、コンセプトを元にラフデザインから取り掛かって、「ココにこういうコピーがほしい!」みたいなデザインカンプを作る流れになるんじゃないでしょうか?
これはその案件を主体になって進める人がコピー寄りかデザイン寄りかで進め方が変わるだけで、正直どちらの進め方でもそれなりに良いものができると思います。
ただし、もちろんデメリットはありますよね。
コピー先orデザイン先。それぞれのデメリット
<コピー先の場合のデメリット>
サムネイルを提示されるとどうしてもデザイン的な制約ができてしまうため、デザイナーはサムネイルに沿って「要素をはめていく」感じになってしまうと思います。「うーん、きれいにはできてるけど、デザイン的にはコンセプトが表れてないよなぁ」みたいな状態ですね。
<デザイン先の場合のデメリット>
デザインカンプがある場合、コピーライターはある程度文字数も意識してコピーを書くことになりますよね。「キャッチが10文字かぁ。20文字だったらもっと良いコピー書けるんだけどなぁ。」みたいな状態ですね。
このデメリット、経験したことがある方も多いのではないでしょうか?特に若いうちは上下関係で言うと下に位置することが多いので、なかなか先輩に意見しにくかったり。
でもこれって、意見をぶつけ合ったほうが良いものができあがるんですよね!コピーライターはデザインのプロではないですし、デザイナーもコピーのプロではないので。だから、特に若いクリエイターの方々は制約を感じずに、どんどん先輩たちに意見を言うほうが良いと私は思っています。
「キャッチ、10文字じゃなくて20文字になってもいいですか?」って先輩に聞けば、だいたいのディレクターやデザイナーは「うん、全然大丈夫!」もしくは「そしたら10文字バージョン、20文字バージョンの2つ作ってみよっか」って言うはずです。
この意見交換、アイデアのぶつけ合いこそが、クリエイティブの質を最も高めていく秘策だと思いますね。
【事例つき】コピー・デザイン、同時進行が一番面白いかも?
以前、クライアントさんの新卒採用向けのリーフレットを作成した際、こんな事例がありました。
先方の課題は「うちの会社は主力製品に依存しすぎている。もう1つ柱になるような製品を開発できる、自ら主体的に動いてアイデアが出せる技術者がほしい」というものでした。
「今の会社の技術を維持するだけでなく、その技術を超えていくような開発ができる能動的な人材にフックするように」という意味を込めて、コンセプトは「超える」にしました。
当時、私はディレクター兼コピーライターをしていました。そして、デザイナーさんは若くて独自の感性を持っている人でした。クライアントへの初回ヒアリングの段階からデザイナーさんにも同席してもらっていました。
このデザイナーさんの強みを活かす場合、「サムネイルで制約を作るのはもったいないなぁ」と思いました。かといってデザイン先になると、ちょっと方向性がブレてしまいそうな気もしていました。
そこで、コンセプトを元に以下の流れで進めることにしました。
自分はコンセプトとクライアントの強みに絞って、コピーだけを書く
デザイナーさんには要素の制約を設けず、まず自由にデザインしてもらう
それをお互いに持ち寄って、がっちゃんこしてみる
このやり方、めちゃくちゃハマりました!「超える」というコンセプトに基づいたデザインが上がってきて、そこに自分が書いたコピーを反映してみると、ばっちりハマったんです。めちゃくちゃ感動しましたね。
実はまだ受注前だったのですがかなりテンションが上がったので、クライアントの予想をはるかに上回るクオリティのデザインカンプを提案することができました。
結果、クライアントからも「すごいなぁ、すごいなぁ。プロが考えるとこういう物ができるんだ」と20回ぐらい言われて、私もデザイナーさんも顔が真っ赤になるぐらいテンションがあがりましたね。いい思い出です。
このやり方、ハマらなければ手間と労力がかかってしまうので時間的な余裕がある時しかできないかもですが、ハマれば予想以上に面白いものができるので個人的にはオススメです!
今日はこのあたりで、失礼いたします。