patoからはじまった不思議なご縁
2時間かけて会いに来てくれるお客様
patoのお客様で関西方面に住んでいる70代の方がいる。旅館や飲食店を経営されており、今は生きがいがないからと、わざわざ2時間以上車を走らせて会いに来て下さった。
Sクラスのベンツに乗り、とても70代には見えない威勢のいいおじちゃん。あまりにも笑顔が素敵すぎて、絶対にいい人やん!と。私たちはすぐに仲良くなった。
おじちゃんから「おいしいものを食べさせてくれ!」と言われて、
私は「海鮮でもいい?海行きたいから、1時間くらい運転してもらってもいい?」と。
おじちゃんは、「よし、わかった!楽しみやな!」といいながら、うれしそうに車を走らせてくれた。
ちなみに、私は一人patoをしているので、レストランで待ち合わせてご飯を食べて終わり、ということ以外にも、要望があれば食事をするために日帰りで遠出をすることもある。
一番高い懐石料理
目的地に到着し、普段であれば2時間ほど待つはずの人気店。運良く私たちは、すぐに店内に入ることができた。
おじちゃんは一番高い懐石料理を頼んでくれた。蟹、焼き魚、お刺身、天ぷら、などなど、量が半端じゃない。
「〇〇ちゃんは本当においしそうに食べるな〜」と、おじちゃんは満足そうな表情を浮かべながら私を眺めていた。(自慢ではないが、私はご飯を食べている時によく人から褒められる。笑)
身の上話をしながら涙するおじちゃん
そして、ご飯を食べ終えた後は、近くのカフェに行った。
ここでおじちゃんの身の上話を聞くことになる。奥さんが数年前に亡くなったこと。経営がうまくいかなかった時のこと。自分を頼ってくる人が多く、それに応えるのがしんどくなりつつあること。引退して自由に旅行をしたいこと。など。
おじちゃんの話を聞きながら、どれだけ恵まれた環境であっても、人それぞれの悩みや葛藤はあるんだな〜と思った。
「今この瞬間、私はこの人にどんなことができるんだろう?」そんなことを考えながら、おじちゃんの話をじっくりと聞いていた。
途中涙をみせる場面もあったが、話終わってスッキリしたのか、おじちゃんの表情はすっかり明るくなっており、私は心の中で、よかったね、と思いながらお店を後にした。
一度しか会ってないご縁
あれから数年が経った。
仕事が忙しくなり、私たちは一度しか会ってない。にも関わらず、おじちゃんは毎年年末になると蟹やら岩牡蠣を大量に送ってくださる。一度のご縁で、細く永く続いている関係性。
なぜだか、ふとおじちゃんのことを思い出すことがあり、「元気してる〜?」と一言LINEすることもある。
そんなおじちゃんが半年前に癌になり、闘病生活を送ることになる。「〇〇ちゃんに会うためにがんばるよ」と言ってくれたときは、こんな私でも人の役に立ってるんだなとうれしくなった。
誰かの生きがいになる
お正月、久しぶりにおじちゃんに連絡をしてみた。
おじちゃんはすでに退院をおり、まだ身体に痺れはあるものの仕事に復帰していた。私は自分ごとのようにとてもうれしかった。4月になったら仕事がひと段落するようで、会いに来てくれることも約束してくれた。
おじちゃんとおいしいご飯を食べれる日が1日でも早く来てほしい。おじちゃんに笑顔になってもらうために、今度はどこに行こうかな。