いいね!と小豆島の旅。#3
海、客船、色とりどりの地ビールと。
飛び込んだまめまめビールさんの内装はこじんまりとした雰囲気のバーのようだった。
木製のカウンターを電球色の照明が優しく照らし、横には同じく木製のテーブル席があった。
いらっしゃいませ、と優しい雰囲気のご夫婦が迎えてくれた。
自分とあまり年齢の変わらない感じだが、2人とも小麦色に日焼けして健康的に見える。
さっそく、お目当ての地ビールを注文する。
メニューには3種と5種の飲み比べセットがあり、すかさず5種の飲み比べセットで!とお願いした。
「テラス席もあるのでよかったら、どうぞ」
と、テーブル席の奥に案内された。
案内された場所は、秘密の裏庭と表現したくなるほど、静かで、傾斜地を拓いたような庭と畑が入り交じるような場所であった。
ウッドデッキが敷かれ、白いパラソルの下で、5種の飲み比べセットを待った。
「お待たせしました」
と、運ばれてきたのは、色鮮やかな5種の地ビールであった。
赤まめまめ
黒まめまめ
白まめまめ
金まめまめ
マスカット流星群
この5種の飲み比べセットである。
最後の「マスカット流星群」は季節によって仕込む果物などが違うので自分が行った時(6月後半)はマスカット流星群が飲めたが、季節が違うと、違う地ビールが飲めるらしい。
赤まめまめは柑橘とホップで後味がフルーティ。
黒まめまめは醤油のもろみを使っているので、普通の黒ビールよりもパンチがあるが、口当たりは柔らかい。
白まめまめはコリアンダーシードを使った、キレのある、スッキリとした飲み口の1杯。コクのある黒を飲んだ後に飲むと違いがハッキリ分かる。
金まめまめは米麹と地元産のお米を使ったビール。
まろやかな口当たりと風味は日本酒のそれを思い起こさせる。
マスカット流星群は、口に含んだ瞬間にはマスカットを感じられる1杯。ビールの苦味よりもマスカットのフレッシュさが感じられる、おかわりしたかった1杯。
マスカット流星群を飲み干した時点で、割と酔っていた。
腹の中のカツカレーはすでに、3箇所の札所探訪と40分近くのバス移動で、完全に消化されていた。
改めて、庭を見渡してみる。
正面、遠くには瀬戸内海寄りの太平洋と点々と海に取り残されたような小さい島々が、その太平洋を高速フェリーが坂手の港へ戻る様子が竹林と古民家の合間から見えた。
左手には奥には大きなイチョウの木、その太い枝にはハンドメイドのブランコが揺れていた。
手前には小さな扇風機、鳥籠、圧搾機がオブジェとして並んでいる。
この景色を独り占めしている、幸せ、優越感。
アラサー男のひとり旅は何となく、哀愁やら暗い影やらがつきまとう、ワケありな雰囲気を醸しがちだが、この旅は、ここに来ることで、その陰鬱な雰囲気を消してくれたのである。
飲み終えた空のグラスを戻し、お土産用に3種類をチョイスして(マスカット流星群はもちろん入れた)、まめまめビールさんを後にした。
そして、この後、いいね!のお礼参りに向かうのである。