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株式投資における『成長の罠』とは?投資初心者が知るべきポイントを解説

今回のnoteでは、ジェレミー・シーゲル教授が著書『株式投資の未来」(2005年11月.日経BP)にて提唱した、「成長の罠」について解説していきます。

この記事を書いている2025年2月現在、AIや量子コンピュータなど主にハイテク分野で様々な技術開発が進行しています。

自然と、その関連銘柄に投資をする人が増えているのですが、特に長期の資産運用の観点で見た時、その行動はどうなのか?

「成長の罠」はその疑問について大いに参考になると思います。

1.ジェレミー・シーゲル教授とは?

本題に入る前に、ジェレミー・シーゲル教授の経歴についてです。

ジェレミー・シーゲル教授はペンシルべニア大ウォートンスクールの金融論の教授です。

またウィズダム・ツリー・インベストメンツ上級投資戦略アドバイザーでもあります。

主に長期投資について研究をされており、今回取り上げる成長の罠という考え方を紹介した「株式投資の未来」をはじめ、数々の書籍や論文を執筆しています。

そのため、長期投資の権威として知られています。

2.「成長の罠」とは?

成長の罠とは、高い成長率を示す企業や産業への投資が、予想に反して低いリターンしか生まない現象を指します。

一般的に、企業の成長率が高ければ株価も上昇すると考えるものではないでしょうか?

しかし多くの場合、そうした銘柄は高成長への期待がすでに株価に織り込まれているため、実際の成長がその期待に追いつかないというのです。

そのため、シーゲル教授は実体経済における企業の成長率(業績の伸長)と、マネー経済における株価の上昇率には、必ずしも直接的な相関関係がないという研究結果を発表しています。

3.具体例:IBMとスタンダードオイル

シーゲル教授は、著書の中でこの現象を説明するために下記の具体例を挙げています。

1950年から2003年までの期間での、IBMとスタンダード・オイル(現在のエクソンモービル)の比較です。

当時は、米国はITバブルの真っ最中で、IBM等の大手IT系企業が業績をどんどん拡大していました。

半面、スタンダードオイルなどの石油業界はイノベーションはほとんど起こらず、安定した産業というイメージでした。

当時の参考数値は下記です。

  • IBM:売上高の年平均成長率は12.19%

  • スタンダード・オイル:売上高の年平均成長率は8.04%

業績では、明らかにIBMの方が高い成長を遂げています。
しかし、実際の投資リターンを見てみると結果は以下の通りでした。

  • IBM:年平均リターン13.83%

  • スタンダード・オイル:年平均リターン14.42%

業績から見れば成長性の低いスタンダードオイルの方が、IBMより株式投資のリターンとしては上回っていたのです。

なぜこうなったのかと言うと、理由は前述した通りIBMの株価には投資家の期待値が既に強く織り込まれていたため、実際の株価がその期待を上回る事が出来なかったためです。

そのため、相対的に期待の薄いスタンダードオイルの方が、株式投資のリターンとしては上回りました。

4.投資初心者が気をつけるべきポイント

それでは、特に投資初心者にとって気を付けるポイントや教訓は何なのか、以下に記載していきます。

・割安銘柄に注目
株式投資にはPERやPBRなどのその銘柄が割高か割安かを判断する参考指標があります。

こうした指標を参考に、現在購入しようとしている株式はどの程度割高 / 割安かを見極める。

もしくは、他の業種・業界と比較してもっと良い銘柄はないかなど比較してみると良いかと思います。

・高配当セクターの重要性
株式のリターンには、値上がり益もあれば配当による収益もあります。

特に伝統産業では、企業の成長が見込みにくいため配当等の還元に積極的な企業が多いものです。

こうした配当収益を再投資していく事により、複利でリターンを得られるようになります。

・長期保有の重要性

短期的な変動に惑わされず、長期的な視点で投資を行う事で、資産運用のゴールを常に意識する事が重要です。

・分散投資
成長の罠にはまるリスクを分散させるため、分散を意識していきましょう。

インデックス投資信託など、商品として分散されたものを積み立てるのも良い方法です。

5.まとめ

今回は、ジェレミー・シーゲル教授の「成長の罠」について書きました。

この記事を書こうと思った理由の一つが、事例として取り上げたIBMとスタンダードオイルについて、現在の状況と似ている部分があると感じたためです。

現在も、冒頭で触れた通りAIや量子コンピュータなど主にハイテク分野が注目されており、そうした銘柄へ集中的に投資する投信やETFが多く出回っています。

それが長期で見た場合、本当に皆さんのリターンに寄与するのか。
冷静に見極める時期に来ているのかもしれません。

6.さいごに

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