FGO:聖杯戦線感想

 イベントシナリオの感想(プトレマイオス惚れた。テセウスとアステリオスも愛おしい。太公望は相変わらずヤベーな)じゃなくて、今バージョンの『聖杯戦線』というゲームルールおよび戦闘のデザインの話。
 大雑把にまとめれば「めっちゃ良くなってたし、楽しかった」。このデザインで邪竜百年戦争とか絶対魔獣戦線とかの聖杯戦線版とかも遊びたいなあと思う内容だった。

クラス毎の特殊能力

 前回、アサシンの攻撃コストや、ライダーの移動コストが他クラスより軽く設定されて、クラスに相性以外の役割が与えられた。今回もその方向で追加の変更があるかと予想していたがここは変更なし。
 ただし、マップに「城壁」が追加されて、これを壊すコストが設定された。これはバーサーカーが特に得意とする行動で、バーサーカーの役割が増えることに。

 『聖杯戦線』が実装されて以来、「陣地作成して防衛戦をするキャスター」とか「遠距離から敵を狙撃するアーチャー」というのは、是非とも見たいと思っているのだが、これらはゲームを破壊する要素でもある。(自陣に引き籠るプレイを推奨する要素はバッドデザインだし、『聖杯戦線』の機動力で射程延長は強過ぎる)
 しかし、これらが「霊脈にキャスターを置くと地形効果倍増」とか「高台にアーチャーを置くと2マス先でもパーティに入れられる」という方向性なら、結構イケるんじゃなかろうか、なんてことを城壁×バーサーカーの組み合わせに夢見たりしてしまう。

パーティ効果

 『FGO』の戦闘はパーティの数が減るほど攻撃面では有利になる。英雄をユニットとして扱う超人的戦闘のゲームとしてはよいデザインだ。(数が減って不利になるほど逆転の目が出てくるというのも良い)
 だが、仲間と連携を取るべき『聖杯戦線』でも「ブレイブチェインが不確定な3人パーティ」より「バスターブレイブチェインが確定する単騎」の方が強い、ということになりがちだった。

 それを解消する要素として、仲間と隣接して戦闘すると攻撃できるターン数が増える(これはスキルのCTを進めるのにも使える)とか、パーティが複数人の時にボーナスが得られる「パーティ効果」がある。
 パーティ効果は前回の『聖杯戦線』で実装されていたが、前回と比べて「ステージ固有の2騎以上いる時の効果」がとても強くなっている(昼:スター発生率+100%、夜:防御力+15%、HP回復量+50%)。単騎戦闘に長けたサーヴァント以外は、間違いなくパーティを組んだ方がいい。
 この変更によって、味方全体に効果のあるスキル・宝具を持つサーヴァントの価値も上がった。HPの減った仲間を敵に隣接させて戦闘→全体回復スキルで仲間を回復→「パーティ効果」で強化された攻撃で敵を倒す、という立ち回りができると非常に気持ちいい。

 今回のパーティ効果の差は恐らくプトレマイオスの指揮効果だと思われるので、今後はシナリオに依存しないパーティ効果=指揮効果の選択要素なんかもあったりすると嬉しいところ。レオニダス選んだら防御UPとか、イスカンダル選んだら宝具威力UPとか。

(余談)聖杯戦線における編成の天地人

  • 【天の時】単騎編制:常に任意のブレイブチェインができる攻撃的編成。バスター3枚編成のサーヴァントにおススメ。特に戦闘続行、心眼などの防衛手段を併せ持っていれば間違いない。

  • 【地の利】2騎編成:パーティ効果(攻+20%、ステージ固有効果)を受けつつ、どちらかのサーヴァントによるブレイブチェインも確定するバランスのいい編成。

  • 【人の和】3騎編成:パーティ効果(攻+40%)で攻撃面の不安定さをフォローしつつ、味方全体に効果のあるスキル・宝具で支援効果を最大化する「溜め」の編成。クリティカルスター配りなんかもできる。

ゲージなしの敵

 『聖杯戦線』のサーヴァントは「ゲージ」を持っていて、一度まで戦闘不能から復活できる。
 この敵のゲージが非常に面倒だった。『聖杯戦線』は(アサシン以外は)1ターンに1騎1回しか攻撃できないので、普通に攻撃で倒したら返しのターンで殴り返されてしまう。そのリスクを避ける(1ターンで2回倒せる状況を作る)ための仕込みでジリジリとした睨み合いになってしまうのだ。
 こうしたゲームの膠着は、SLGではしばしば発生するものではあるが、どの敵・どの局面に対しても発生するのは、メリハリに欠ける。

 今回、敵の多くは「ゲージ」を持たないように設定された。攻撃したターンで倒せればこちらの損害は無し、ということで攻撃的に進められるようになった。計算違いで倒し損ねれば痛い目を見るし、敵の数はむしろ増えているので、決して楽になったわけでもない。
 この辺りはトラオムで基本7クラス分の「名もなきサーヴァント」を作ったのも大きな要因なのかなという気もする。(ワイバーンやローマ兵をエネミーにしてもいいのだから、これは考えすぎかもしれない)

 強敵にはしっかりゲージが設定されているので、要所要所ではこれまでのような「仕込み」を求められる場面もあるが、敵の強力なユニットを相手取っての膠着は良い駆け引きと言えると思う。

敵増援マス

 前述の通り、敵のゲージが無くなった分、手数が増えた。
 手数について言えば、敵の増援マスの存在は重要だ。増援がなければ消耗戦で雑に勝利できてしまう。マップデザインとして一番大きい変更は増援マスの概念が出てきたことだと思う。(この辺は敵のゲージ無しの登場したからこそ有効な施策だと思う)
 増援マスは、大きく2つの役割を果たしている。

 ひとつは「プレイヤー側に能動的な采配を取らせる」役割。増援マスにこちらのサーヴァント(あるいはマスター)を配置して蓋をしないと、いつまでも敵の攻めが途切れない。必然、攻め上がらざるを得なくなる。
 脆いけど殴られると痛い敵を尽きることなく出す、というのはプレイヤー側の強さを感じさせるいい方法だ。STGとも無双系とも言う。
 その上で、増援マスとは別にイベントで増援を出して、伏兵や悪あがきを演出することもできる。増援マスという概念があるからこそ、マス以外から増援が来ることは発想の死角となった面もあるだろう。太公望許すまじ。

 もうひとつは「こちらの実戦力を削ぐ」役割だ。増援マスにこちらのサーヴァントを配置すれば、その分だけ攻め上がるサーヴァントの数は減る。6~7騎出せても、増援マス3つをサーヴァント3騎に抑えさせたら攻めに行けるのは3~4騎だ。
 『聖杯戦線』のデザイン的には、攻め上がるサーヴァントは3騎もいれば十分なので、戦力を削ぐというよりは「所定の場所からサーヴァントを動かさないことに正当性を与える」意味合いが大きいかもしれない。
 戦闘に参加できないマスター、宝箱回収を終えた低レアライダー、剣ボス+護衛槍の敵陣営に対して護衛退治を終えたセイバーが、戦闘に参加できずに棒立ちのままでも役割を果たせるというのは良いことだ。

聖杯戦線特攻

 特攻+15%/+30%というのは、決して弱くはないがゲームの勝利を決定づけるようなものでもない、という微妙な塩梅。
 個人的には難易度調整の一環として「礼装付けれてば猿でも勝てる」「腕に自信があれば礼装無しでチャレンジ」ぐらいのバランスでもよかったんじゃないかと思うのだが、その辺は一概に言えるものでもないか。
 あと、性質的に、サーヴァントの火力が上がっても「クリアできないプレイヤー」の問題はあんまり解決しないという気がしないでもない。ゲージが増えるとか、HPが2倍になるとかの方がいいのか?

 あと、イベント特攻サーヴァントの補正が大きくて、礼装と合わせてプトレマイオスがエグい火力してた。

マップ上での会話

 FGOの通常戦闘の難点のひとつは、戦闘中の台詞がスキル使用時と同じ感じで自動で流れてしまうことだ。ドラマを盛り上げる一環としての戦闘なのに、そこで出てくる台詞が「うっかり瞬きしたら見逃してしまう形式」というのはよろしくない。
 『聖杯戦線』では「状況に合わせて、マップ上で台詞欄が出て喋ってくれる」というのが良い。戦闘前会話、初戦闘時、退場時はもちろん、戦況に変化を与えるイベント(ドレットノート撃破、太公望の策、城壁の破壊、テセウスとアステリオスの絆など)にもしっかりを台詞がある。

 あと、ラストバトルの大仕掛けのひとつであるマップ兵器ブレスも、マップ上で会話するという仕掛けがあればこそ、分かりやすく危機感を盛り上げてくれたという面もあると思う。あれがダヴィンチちゃんのアオリなしで表示されても、多分普通に厳しいなあってだけになったと思う。

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