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2011~13年のJRA G1レースCMとウマ娘
2011年から2013年にかけてJRAが放送した、G1レースを制した過去の名馬を取り上げたレースCMは、滅法格好いいと評判がいい伝説のCMシリーズだ。
ウマ娘のキャラクター付けにも大きく影響しているところである。ので、その辺を紹介したりする。
2011年 20th Century Boy
シリーズ名がまだ付いてない奴。名前の通り、20世紀(もっと言えば90年代)のレースに限定されており、第二次競馬ブームのファン層を取り戻したい意図が垣間見える。
この年のCMに選ばれた馬が全員ウマ娘になっている上に、育成実装もされている辺り、ウマ娘がこのCMが狙ったのと同じ層をターゲットにしていることがよく分かる。
……と言いたいのだが、実はお蔵入りになった桜花賞CMもあって、そこで93年の覇者であるベガが取り上げられているので、「全員ウマ娘になっている」は話半分の結果論。ハープアルファちゃんはいるんだけどなあ。
ミホノブルボン
92年、皐月賞。
そのモンスターの名はミホノブルボン。
常識は、敵だ。
ゲームでは☆3で実装。
メインストーリー第2章でライスの前に立ちはだかる。ゲームを始めた当初は、とても勝てるとは思えなかったよ……。(2着でいいのでゲーム的には問題ないのだが)
アニメでは主に2期で登場。ブルライはいいぞ。
当該レースはアニメ2期4話でさらっと描かれた。
ウマ娘では「サイボーグ」「精密機械」というイメージでキャラクター付けをしているが、ひたすらに鍛え上げた肉体から「モンスター」とも。
「常識は、敵だ」は、自身の短距離向きの適性を無視して三冠達成を目指す育成シナリオの通奏低音である。
メジロマックイーン
91年、天皇賞(春)。
メジロマックイーン、父子三代制覇。
絶対の強さは、時に人を退屈させる。
ゲームでは☆3で初期実装。
メインストーリー第1章の主役で、全編通してヒロイン。
アニメでもメインで登場。2期のヒロイン。いつもヒロインやってるなこのターフの名優。「主演作12本」なのに。
当該レースは2期では描かれていない。1話が91年のダービーなので、開始時点でマックイーンはもう1回目の春天を取っている。この辺は背景でちらっと描かれているが。
父子三代については「メジロ家の貴顕の使命」という形になっている。テイオーやエアグルーヴの憧れ/ライバルが具体的な人物(会長や母)として描かれているのとは対照的。
「絶対の強さは、時に人を退屈させる」は、グッドエンドの「『退屈』なる私たち」の元ネタ。
トウカイテイオー
91年、日本ダービー。
七冠の父のプレッシャーに勝ったトウカイテイオー。
天才はいる。悔しいが。
ゲームでは☆3で初期実装。
アニメでもメインで登場。2期の主人公。
2期1話で、会長のダービーをと重ねる形で描かれた。二冠馬の二つ目のタイトルから描くのはかなり大胆なスタートだが、テイオーの物語を苦難と不屈の物語と考えれば、ここがスタート地点とも言える。
「天才はいる。悔しいが」は、アニメでもモブの兄ちゃんたち(みなみとますお)が言ってましたね。
そこで言ってたもう一つの台詞「帝王は、皇帝を超えたか」もしれない、はヒーロー列伝から。
タイキシャトル
98年、安田記念。
大雨のなかの無敵、タイキシャトル。
可能性は人を熱くする。
ゲームでは☆3で初期実装。
ゲームで安田記念に出走すると必ず雨になるのは、このレースの再現のため。大雨じゃなくても無敵、というのは思っていても禁句。
アニメではちょこっと登場。
時期的にはちょうど1期の5~6話あたりにこのレースを走っているのだが、触れられず。どうしても短距離路線だと本筋と関係なくなっちゃうので。
ここでいう「可能性」とは、実況の「夢は世界へ飛び立つか!」を踏まえたもので、海外遠征⇒海外G1勝利を示唆しているが、ウマ娘では海外レースがないので遠征しない。
なので、短距離路線初の年度代表馬(ウマ娘)という、タイキシャトルが切り拓いたもうひとつの「可能性」をストーリーの基調にしているのだろう。多分。
サイレンススズカ
98年、宝塚記念。
最速の機能美、サイレンススズカ。
速さは、自由か孤独か。
ゲームでは☆3で初期実装。
メインストーリー第5章の主人公。ただし、焦点が当たっているのは天皇賞(秋)に臨むまでの話なので、触れ方はサラっと。
アニメではメインで登場。1期のヒロイン。
1期6話でこのレースが描かれているのだが、その後の毎日王冠の方がメイン扱い。主役はスペちゃんなので、エルちゃんやグラスちゃんと対決するこっちの方が大事だよな、となる。
「速さは、自由か孤独か」は逃げ馬の魅力を端的にあらわす名キャッチコピー。キャラクターソング『Sient Star』の歌詞に「縛るものなど何もない心は自由だから」「時に人は人の群れの中で孤独に耐える」という歌詞にこっそりと潜んでいたりする。
スズカさんのスレンダーな体つきを「最速の機能美」と言うネタが。下ネタはほどほどにしましょう。
ナリタブライアン
94年、菊花賞。
ナリタブライアン、七馬身差の衝撃。
群れに答えなどない。
ゲームでは☆3で実装。
メインストーリー第4章の主人公。三冠達成はさらっと流して、その後の苦闘に焦点があたっているため、該当レースへの言及は控えめ。
アニメでも出番はあったが、レース場面は控えめ。
漫画『スターブロッサム』でメイン級の扱いを受ける模様。主人公ローレルが同期だが、ローレルが三強の一角を形成する頃には……。
孤高のヒーローのキャラクター付けは「群れに答えなどない」からか。
スペシャルウィーク
99年、天皇賞(秋)。
スペシャルウィーク、逆襲のラン。
本当の敵は、諦めだ。
ゲームでは☆3で初期実装。我らが主人公。
メインストーリー最終章の主人公。
メインストーリーでは、前走の京都大賞典にスポットが当たっており、秋天勝利はそこでの葛藤を超えたことであっさりと。この辺はアニメとの兼ね合いや、スズカさんの辿った経緯の違いが理由か。
アニメでもメインで登場。1期の主人公。
1期10話でこのレースが描かれた。スズカさんの描写は「サイレンススズカが背中を押してくれた」という武さんの言葉のウマ娘的表現であり、そもそもスペスズという組み合わせ自体がこの辺のエピソードありきの原作接点皆無寄りなカップリングだったりする。
[10-4-2-1]でG1も4つ勝ってる文句なしの優等生なのに「逆襲のラン」扱いになっちゃうの、ファンの印象や巡り合わせもあるのだろうが、その凸凹感が、一見スペシャルウィーク号の擬人化っぽくない、スペちゃんのキャラクターを作ったんだなあと思う。
エルコンドルパサー
98年、ジャパンカップ。
エルコンドルパサー、激戦のライバルたち。
僕らは、ひとりでは強くなれない。
ゲームでは☆2で初期実装。
メインストーリー最終章でも大活躍。
実はゲーム内で最初に開催されたレジェンドレースが、このレースをモチーフにしている。おかげで史実で2着だったエアグルーヴが強いのなんの。その後は、元ネタを意識せず「得意距離のG1を走るウマ娘を倒してピースを貰う」イベントになったが。
アニメでは特に1期で大活躍。
レース自体は、1期8話であっさりと語られることに。
「僕らは、ひとりでは強くなれない」は、3歳でNHKマイルとJCを制して、そのまま渡航⇒武者修行⇒凱旋門賞という経歴から「お前はひとりで強くなっただろ」とツッコまれがち。黄金世代筆頭という意味で「激戦のライバルたち」からの流れなのだろうけれども。
ただ、ウマ娘においては、史実通りの強者ぶりをみせる「マスクをかぶった最速、最高、世界最強のエルコンドルパサー」と、CMのキャラ付けに近い「マスクの奥の繊細で仲間思いなエルちゃん」の二面性をもって、現実と空想をうまく紐づけてる、と言える。多分。
オグリキャップ
90年、有馬記念。
オグリキャップ復活、ラストラン。
神はいる。そう思った。
ゲームでは☆3で初期実装。
別衣装の実装された21年のクリスマスイベントは、オグリキャップ復活前夜の物語だった。つまり、ゲーム世界で「90年の有馬記念」に相当するレースはクリスマス衣装で走った、のだろうか。
メインストーリーは、チーム〈シリウス〉のエースとしてオグリが引退レースを走るところから始まる。つまり、90年有馬記念だ。前言をひっくり返すが、こちらでは普通に本来の勝負服。
観客に左手を上げて答える一枚絵に、競馬ファンは「右手を上げたオグリキャップ」とネタにする。(実況が左手を上げた武騎手をうっかり「右手を上げた武豊」と言ってしまった、というネタ)
アニメではひたすら背景で大量の飯を食っていた。
漫画『シンデレラグレイ』で満を持して主役抜擢。「プリティじゃない方」などと言われつつ奮闘中。こっちかてプリティやろがい!
こちらではまだまだ該当レースは先の話。というか、ラストランなんだからこれやってたら完結寸前ですよ。
「神はいる」。レースの内容とか馬の特徴とかではなく。競走馬の血の歴史とか、ホースマンの努力とか、そういう偉大なものを超越した何かによって生まれてきたとしか思えない、オグリキャップという存在そのものを端的に示した言葉。筆舌に尽くしがたいとは、正にこのこと。
2012年 The WINNER
世代が少し広くなり、CM本数も滅法増えた。
ウマ娘になっていない競走馬が4頭いるが、うち2頭は匿名(マイルの皇帝)と偽名(ディクタストライカ)で登場していて、さらに1頭は名前がどうなるか不明だが登場はほぼ確定とあって、なかなかの合致率。
ウマ娘において☆の数は元の馬の強さの差を意味しないが、それはそれとして11年はエルちゃん以外みんな☆3で、12年は☆1や☆2の子が多い辺りに何か(ファンへの希求度的な差)を感じ取ったりもする。
キングヘイロー
2000年、高松宮記念。
その馬は、10度の敗北を超えて血統を証明した。
敗れても、敗れても、敗れても、絶対に首を下げなかった。
緑のメンコ。不屈の塊。その馬の名は――
ゲームでは☆1で実装。
アニメでは主に1期で活躍。活躍? でも、1期10話で格好いい台詞言ったその週に福永さんが念願のダービー取ったのは最高に格好良かったと思う。まさしく「血統を証明した」わけですね。
該当レースはスペシャルウィーク引退後の話。なので、当然アニメでは出てきません。
実のところ、元の馬は我がままなお坊ちゃまで、不屈だったのはこの血を残さんと奮闘した陣営の話とも。とはいえ、馬、騎手、調教師に馬主、全部含めて「ウマ娘」の話になるのがこの作品でもある。
お願いだから首は下げて。
メジロラモーヌ
86年、桜花賞。
その美しき黒い流線形。
嫉妬すら追いつかない。憧れすら届かない。
その馬が史上初の三冠牝馬になることを、まだ誰も知らなかった。
魔性の青鹿毛。その馬の名は――
先日、ウマ娘としてのビジュアルが発表された。
ゲームには登場していない……わけではないのだが、姿が出ていない。アルダンと言葉を交わしている場面や、ドーベルに励ましの言葉を伝えている場面はあるのだが。サポートカードすら存在しない。
アニメ放送時点では影も形もなかったので、当然出ていない。
まさに「魔性の青鹿毛」。いや、実際デザインのハードル高いよなあ。
アグネスタキオン
2001年、皐月賞。
その馬は、わずか4度の戦いで神話になった。
異次元から現れ、瞬く間に駆け抜けて行った。
ライバル達を絶望させ、見る者の眼を眩ませる、超光速の粒子。
その馬の名は――
ゲームでは☆1で初期実装。
メインストーリー第5章で時代を超えて登場。「スピードの向こう側」的な概念に触れるストーリーにおいて、「超光速の粒子」たるタキオンは、まあ、便利なのだ。
アニメではOVAで登場。
「瞬く間に駆け抜けて行った」史実を覆すのが、モルモットたる我々の仕事である。
ライスシャワー
93年、天皇賞(春)。
極限まで削ぎ落とした体に、鬼が宿る。
王者メジロマックイーンの3連覇を阻んだ、漆黒のステイヤー。
悪役(ヒール)か、英雄(ヒーロー)か。悪夢か、奇跡か。
その馬の名は――
ゲームでは☆3で初期実装。
メインストーリー第2章の主人公。ついてく、ついてく。
ゲーム内でもこのレースに触れられた。ウィニングライブがあるウマ娘の世界では、それはもう酷い惨状に。
アニメでも2期で大活躍。特殊EDに特殊OPも貰うスポットぶり。
2期8話でこのレースが描かれることに。OPの演出をはじめ、全編にあたってこのCMを意識した演出が見られた。
「ヒールか、ヒーローか」は、ライスというキャラクターの根幹を形成する問いかけだ。
エアグルーヴ
96年、オークス。
5頭がもつれた世紀の大激戦の末にうまれた女王・ダイナカール。
その娘が再びレースを支配する。
額の流星は宿命か。
オークス親子制覇。その馬の名は――
ゲームでは☆2で初期実装。
育成シナリオ中に「エアグルーヴの母」が登場する。設定が設定なので、彼女を「ダイナカールさん」と呼ぶプレイヤーも少なくないが、彼女はあくまで「エアグルーヴの母」である。まあ、実際、5人のウマ娘がもつれた世紀の大激戦オークスを制したのだろうけれど。
アニメでも多数登場。1期は強豪ウマ娘の一角として、OVAや2期では生徒会副会長として。
父子の関係は先輩後輩に還元されるが、母子の関係はそのまま親子関係になるのが、結構独特。G1牝馬がG1牝馬を産むことが滅多にないので。
ところで、前髪に「宿命」の流星が見当たらないのですが……。
ウイニングチケット
93年、日本ダービー。
瞬きさえ許さない、3つのプライドの激突。
熱狂の2分25秒。
最後の直線を制した、その馬の名は――
ゲームでは☆1で初期実装。
メインストーリー3章の主役。
当然、ストーリーのラストで走るダービーが、このレース。「3つのプライド」とは、つまりBNWのことだ。
「瞬きさえ許さない、3つのプライドの激突」は、メインストーリー3章で解放される『涙ひかって明日になれ』の歌詞「まばたきもできない一瞬が来たんだよ」の元ネタ。
アニメではOVAおよび2期に登場。
2期9話で触れられているが、「新世代台頭」ぐらいのニュアンス。
なんかおっぱいちっちゃくなってる。キャラ的には確かにその方が「っぽい」んだけど。
※ニホンピロウイナー
85年、安田記念。
それは、革命だった。
マイル戦のために進化を遂げたその足が、名馬の条件を塗り替えた。
何者も寄せ付けない、「マイルの皇帝」。その馬の名は――
ウマ娘にはなっていない。
産駒であるヤマニンゼファーがウマ娘化し、その育成シナリオに彼女の憧れの存在として「マイルの皇帝」と呼ばれたウマ娘が登場している。どう見てもニホンピロウイナーです、ありがとうございました。
許可的な部分を抜きにしても、ウマ娘化するか(レースを走ることを視野に入れたキャラクター化をするか)は微妙な年代。会長がウマ娘になってるのに? とも思うが、会長がかなりギリギリなので。
グラスワンダー
99年、宝塚記念。
標的はただ一頭、同期のダービー馬だった。
今行くか。いや、まだか。いや、今か。
一瞬の判断で未来を変えた未知なる栗毛。その馬の名は――
ゲームでは☆2で初期実装。
メインストーリー最終章でも活躍。青いオーラを撒き散らしながら、宝塚と有馬で「同期のダービー馬」スペちゃんを完膚なきまでに打ち倒してくる。別名「的場オーラ」。
アニメでは主に1期に登場。
該当レースはアニメ1期8話で再現。BGM「心臓破りの坂」をバックに、青いオーラをまとって追ってくるさまは、まごうことなきヒットマン。実況をはじめといて、史実再現度の滅法高いレースであった。
サクラバクシンオー
94年、スプリンターズステークス。
絶頂を極めた者に、もはや勝つべき戦いは残っていないのか。
レコードを叩き出したラストラン。
最後に勝つ者が勝者だ。その馬の名は――
「圧倒せよ」
ゲームでは☆1で初期実装。
アニメではちょこちょこ登場。短距離路線の哀しみか、やっぱり出番には恵まれない。
「もはや勝つべき戦いは残っていないのか」。スプリントという限られた世界で、しかし圧倒的な力を見せたバクシンオーの辿り着いた絶頂をこれ以上なく表した言葉。
その結果として短距離路線は整備が進み、かくして2021年。委員長は豊富な「勝つべき戦い」から走るレースを選びながら、スプリンター路線を突き進むことができるようになったのである。いやまあ短距離路線のファン数確保はウマ娘でも課題なんだけれども。
ミスターシービー
83年、菊花賞。
その馬はタブーを犯した。
最後方から上りで一気に先頭に出る。
そうか、タブーは人が作るものにすぎない。
その馬の名は――
「才能はいつも非常識だ」
ウマ娘化されているものの、現在サポートカードのみ。
アニメ1期からビジュアルだけは出ていたが、なかなか正式に発表されなかった経緯があった。
非常識でタブーを恐れない性格は、このCMに規定されるものだろう。
該当レースは83年の菊花賞だが、このCMがコマーシャルしている12年の菊花賞は、ゴールドシップ号がまさに「タブーを犯した」走りで制している。当時から「CM見て面白そうだから再現したんだろう」なんて冗談があったのだとか。
そういう経緯から、シービー(ウマ娘)の菊花賞のCMをゴルシちゃんが不敵な笑みを浮かべながら見ている、という二次創作が(複数)描かれている。
タマモクロス
88年、天皇賞(秋)。
「葦毛の馬は走らない」
この2頭が現れるまで、人はそう言っていた。
葦毛と葦毛の一騎打ち。宿敵が強さをくれる。
風か光か。その馬の名は――
「激突せよ」
ゲームでは☆3で実装。
アニメでは1期、OVAにちょこちょこと登場。
『シンデレラグレイ』では第三章「白い稲妻」編で最大最強の好敵手として主人公オグリの前に立ちはだかった。
この88年の秋天もしっかり登場。「この2頭」とは言わずもがな、タマモクロスとオグリキャップのことである。葦毛対決の第一章として高い熱量でもって描かれた。
「風か光か」はヒーロー列伝でも使われたフレーズ。『シンデレラグレイ』の秋天決着回の雑誌掲載時のアオリも「風か光か」だった。
※サッカーボーイ
88年、マイルチャンピオンシップ。
走ることに安心なんて求めるな。
危険と呼ぶか、冒険とよぶか。
見るものすべての心をかき乱す、その末脚を人は愛した。その馬の名は――
「無難を笑え」
ウマ娘にはなっていない。
産駒であるナリタトップロードがウマ娘化している。
『シンデレラグレイ』ではディクタストライカという、サッカーボーイっぽいウマ娘が登場。表紙になったりと、メイン級の活躍をしている。
作中ではちらっと触れられたものの、レース描写としてはなし。久住先生のクローンが完成した暁には、外伝を描いてもらいましょう。
ゲームだと再現しにくそうな制服+パーカーでヤンチャそうなデザインも格好いいし、ディクタス+ストライカー=ディクタストライカといういかにも競走馬っぽい名前の捻り方も最高。
※ホーリックス
89年、ジャパンカップ。
躍り出ろ。お前の知らない者たちの、隙をついて躍り出ろ。
世界を変えるのに3分もいらない。
ワールドレコード2:22:02という事件。その馬の名は――
「世界がくる」
ウマ娘にはなっていない。
外国産馬だしウマ娘化は難しいと思われていたが、モンジューという前例が出てきたのでにわかに期待が高まっている。
『シンデレラグレイ』では88年ジャパンカップ後に、それらしきウマ娘の後ろ姿が映っており、登場時の名前がどうなるか注目が集まっている。(今の連載が89年の秋天です)
※テンポイント
77年、有馬記念。
その直線で過去も未来も消え去った。
ただ、今と今とがぶつかり合う、伝説のデットヒート。
戯れにも見えた、死闘にも見えた。
その勝者の名は――
「競馬のすべてがここにある」
ウマ娘にはなっていない。
CM中にもある「伝説のデッドヒート」を繰り広げた好敵手・トウショウボーイは、イベント「晩秋、囃子響きたる」で「天駆けるウマ娘」として匂わせがあったのだが、こちらはとくにそういう言及もない。
トウショウボーイ⇒シービーのような、ウマ娘化されている競走馬との縁がないというのもあるし、その馬生から軽々に触れ難い面もあるのだろう。(それ自体が後世との縁の無さの理由でもある)
同世代が「過去の伝説的なウマ娘」として言及されているので、歴史上の存在として言及される可能性の方が高そうだ。「貴公子」というキーワードで語られるウマ娘が出てきたら、それはテンポイントのことかもしれない。
2013年 The Legend
世代がぐっと広がり、ウマ娘になってない率もちょっと増えた。単純な数で言えば5頭だからそれほどでもないのだが、縁の深いキャラがウマ娘化してる、とかもない、マジに縁のない馬なのが、よりターゲットを広範囲に広げてきた(元々のターゲット層への希求は限界までやったと判断した)感じがする。
とはいえ、2013年にディープインパクトやウオッカでCM打つのは、コンセプト的にどうかなあ(早すぎる、間を空けろ)と思いますよ。手段が目的化して「格好いいCM打てる馬は?」が判断基準になってないかしら、と。いや、CMの批評みたいなことする記事ではないんだよ。
※メイセイオペラ
99年、フェブラリーステークス。
英雄は東北から来た。
日本競馬史上ただ1頭、地方から中央を制した馬。
メイセイオペラ、栗毛の来訪者。
時代は外から変わっていく。
ウマ娘にはなっていない。縁のあるウマ娘になっている馬も。
地方出身馬が中央に移籍後、勝利する事例は少数とはいえ存在する(それこそオグリキャップとか)が、地方所属のまま制覇した、というのが唯一無二の記録なのである。
で。ウマ娘になったとして、地方所属のまま中央を制するというのを、どう表現されるのか。中央トレセン学園にいないことになっちゃうので。メディアミックス限定の前提で、地方ウマ娘主役の漫画とかならありなのか?
※デスコガビー
75年、桜花賞。
「後ろからは何にも来ない」とアナウンサーは3度叫んだ。
10馬身でも収まらない、歴史的大差のゴール。
テスコガビー、スピードの美学。
美しさはいつも他を置き去りにする。
ウマ娘にはなっていない。
先のテンポイントでも言及したが、この辺まで古くなると、伝説のウマ娘になっちゃう方が可能性は高そうである。特殊実況で「後ろからは何にも来ない」×3とか、同期がカブラヤオーとか、色々面白くなるんだろうけどなあ。かなしみ。
※ディープインパクト
2006年、天皇賞(春)
こんな馬が存在していいのか。
敗北など考えられない戦いに、人はどこまでも夢をみた。
「奇跡にもっとも近い馬」ディープインパクト。
競馬は時々、競馬を越える。
ウマ娘にはなっていない。
初報でイラストが発表されたり初期PVでかなり大々的に扱われている「黒髪パッツンの子」がディープインパクトを想定していた、という噂もあるが、存在が抹消されているので真偽は確かめようがない。
子供や子孫がめっちゃ走っている大種牡馬だが、時代が時代なのでウマ娘になっている産駒はダイヤちゃんぐらい。
シュヴァルグランが来たから、その姉妹が来れば増えるか。
ウオッカ
2007年、日本ダービー。
オークスを選ばずに、あえてダービーを選んだ牝馬。
勝てるのか、本当に勝てるのか。
64年ぶりに牝馬のダービー制覇、ウオッカ。
誰も行かない道を行け、いばらの中に答えはある。
ゲームでは☆2で初期実装。
牡馬、牝馬の区別がないウマ娘では説明しにくい「オークスを選ばずに」「あえてダービーを選んだ」を、「ライバルのスカーレットと戦うよりも」「あえて昔からの夢を選んだ」と個人のこだわりの形として表現したのは、上手いやり口であるなあと思った。
じゃあ、ティアラ路線(牝馬三冠)って何? という話はまた別のウマ娘でやることなので。分かったらスイープを引くのです。
アニメではメインで登場。3期の主役だったらいいなあ。
「誰も行かない道を行け、いばらの中に答えはある」は、育成シナリオ中のイベント「星屑のスターロード」、ひいては育成シナリオ全体の基調になったのではないかと思われる。
ビワハヤヒデ
94年、宝塚記念。
ファン投票で集まった、14万8768の期待。
その馬にとっては、重圧でなく自信だった。
愛されるから強いのか、あるいはその逆か。
5馬身差の余裕、ビワハヤヒデ。
真の強さはスリルすら拒む。
ゲームでは☆3で実装。
メインストーリー第3章ではBNWの一角としてチケゾーと競い合った。
メインストーリー第4章ではブライアンの再起を待ち続ける姉として存在感を発揮した。
アニメでもOVAではメインで活躍。
「5馬身差の余裕」は、ナリタブライアンの菊花賞CMにある「7馬身差の衝撃」との対比か。
ちなみにソロ曲「手綱と絆」は、ブライアンのソロ曲「シャドーロールの誓い」とイントロが同じだったりする。勝ちポーズが左右逆なだけで同じ感じだったりとか、姉妹で仲いいね。
※フラワーパーク
96年、スプリンターズステークス。
「もしも」が禁句とされる勝負の世界で、それでも「もしも」の誘惑にかられる瞬間がある。
「その馬の鼻があと1センチ高かったら――」
ハナ差1センチの決着。わずかな差か、絶望の距離か。
勝者、フラワーパーク。
勝者は必ず敗者をつくる。
ウマ娘にはなっていない。
ニホンピロウイナー産駒ということで、もしウマ娘になればヤマニンゼファーと仲がいい辺りなのだろうか。
「ハナ差1センチの決着」で下したエイシンワシントンのほうは、エイシンフラッシュがウマ娘化していることを考えれば登場の機会はあるのかもしれない。期待したい。
スーパークリーク
88年、菊花賞。
もしも、その馬がその男に出会わなかったら。
もしも、その男がその馬に出会わなかったら。
天才を天才にした馬、スーパークリーク。
――本当の出会いなど一生に何度あるだろう。
ゲームでは☆2で初期実装。
アニメではオグリに絡むかたちで、1期やOVAでちょこちょこと登場。
『シンデレラグレイ』では永世三強の一角として存在感を発揮している。
この菊花賞はヤエノムテキ視点寄りに描かれ、その強さを存分にアピールした。シングレのクリーク、シングレ特有の厳つい顔しないから逆に怖いんだよなあ。
CMで触れられている「その男」「天才」は、言わずと知れた我らがプロモーター、武豊。ヒーロー列伝の「逆指名」もそうだけど、クリークを語る時に武さんは欠かせない。
「本当の出会いなど一生に何度あるだろう」はグッドエンドのシーン名や台詞の元ネタ。
バブルガムフェロー
96年、天皇賞(秋)。
挫折が教えてくれる道がある。
全治6ヶ月の悔しさはエネルギーへと化けた。
世代の壁を破壊した馬、バブルガムフェロー。
わずか3才で天皇賞を勝つなんて。
ウマ娘にはなっていない。
【2024/09/01追記】なりました。しかも「四天王」への言及もあり。
レース的には『スターブロッサム』のメインキャラ三強が勢揃いしたレースなので、そちらで(あるいは偽名で)描かれるかもしれない。
3歳馬の天皇賞(秋)勝利は実際ハードルの高い偉業のはずなのだが、ゲームがサービス開始した21年、22年と連続で3歳馬(エフフォーリア、イクイノックス)が勝っている。バブルの偉業が霞む事態なのか、バブルがのちの王道を切り拓いた偉大な先駆者だったということなのか。
シンボリルドルフ
85年、ジャパンカップ。
ある男が言った。
「競馬に絶対はないが、その馬には絶対がある」
勝利よりたった3度の敗北を語りたくなる馬、シンボリルドルフ。
永遠なる皇帝。
その秋、日本は世界に届いていた。
ゲームでは☆3で初期実装。
基本的に「既に実績を残した大先輩」の位置で扱われ、該当レースは育成シナリオでも通過点扱い。
アニメでは多数出演。基本は「トレセン学園会長」としての出演だが、2期ではテイオーを応援する先輩(父)の顔を覗かせた。
漫画『シンデレラグレイ』での役回りも、基本的に「トレセン学園会長」としてのもの。
ただし『シンデレラグレイ』のジャパンカップの導入で「皇帝シンボリルドルフが勝って以降、日本の勝ち星はゼロ!!」と触れられている。その勝ち星がこの85年のジャパンカップである。
「競馬に絶対はないが、その馬には絶対がある」は、アニメ1期でダービー前のエルちゃんに「絶対を見せろ」と言ってのけたり、2期でテイオーが「絶対はボクだ!」と言ったりと、色々引用されている。
テイエムオペラオー
2000年、有馬記念。
勝ち続けると、全ての馬が敵になる。
その馬は完全に包囲された。
道は消えたはずだった。
テイエムオペラオー、お前はなぜ走れたのか。
「年間全勝のレジェンド」
その戦いに人は夢をみる。
さあ、夢をみよう――
ゲームでは☆3で実装。
固有スキルの演出で、周りを取り囲む靄を打ち払うさまは、このCMの周囲を囲む馬が影になって視界を覆い尽くす感じをちょっと思わせる部分がある。
アニメでは1期やOVAでちょこちょこ登場。覇王になるのは翌年から。
99年クラシックをモチーフにしたアニメ『Road to the Top』でメインキャラになる模様。でも、99年のクラシックだから2000年はやらないと思う。
『シンデレラグレイ』でも、同時代の競走馬でないにも関わらず、オグリの変えたルールによって切り拓かれる未来の「夢」の象徴として後ろ姿が登場した。いやまあ、やっぱりそっちも皐月賞の話なんだけど。
キャラクターソングの『帝笑歌劇〜讃えよ永久に〜』の「ほらね囲まれた人気者は辛い」の歌詞は、(恐らく)この有馬記念の包囲網が元ネタ。人気者は辛い、で済ませていいレベルではない。