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休眠預金草の根支援助成2019 活動紹介         孤独を生み出さないための居場所づくりの整備 ~コミュニティシネマの活用~(長野県上田市)

中部圏地域創造ファンドは休眠預金草の根支援助成2019「NPOによる協働・連携構築事業」を通じて、3つのチーム(各チームはコーディネート団体、現場実行団体から成り、全12事業)を支援させていただきました。その活動の1つ「孤独を生み出さないための居場所づくりの整備 ~コミュニティシネマの活用~(長野県上田市)」について紹介します。

■コーディネート団体 NPO法人アイダオ
■課題実行団体 NPO法人侍学園スクオーラ・今人
        NPO法人上田映劇


背景

長野県でいち早く子ども・若者の自立支援が始まった東信地域。しかし、制度化された相談機関や中間教室に足を運ばないケースも少なくありません。長野県内の若者の平均自殺死亡率は全国を上回り、若年無業者は6,374人、ひきこもりは7,900人、不登校児童生徒が3,235人と、子ども・若者を取り巻く現状は深刻なものがあります。

出典:休眠預金 草の根活動助成2019 事業レポート
上映会会場となる上田映劇

活動内容

本事業のねらいは、「映画を媒介に、生きづらさや困難を有する子ども・若者の居場所をつくる」こと。映画上映会とコミュニティカフェ (上田映劇で毎月同時開催) を軸に、学校に行きづらい子ども・若者の居場所をつくり、社会とつながる環境整備に取り組みます。孤立状態が長いほど社会とのつながりづくりは難しくなるため、この事業では、なるべく早期の段階=不登校の時から子どもたちの状況を把握し、映画館という場所で、正解も不正解もない多様な価値観を学ぶ場を提供していきます。NPOだからこそできる、従来の支援のスタンスと異なるユニークな取り組みが、分野の異なる3つのNPOでスタートしました。築100年を超える映画館を拠点に、教育、芸術文化、地域社会といった多様なセクターとの連携が広がりつつあります。

◆子ども・家族向けのシネマ上映、 上映後のアクティビティの実施
◆主体的な学びの場としての「カタリバ」「放課後シネマクラブ」 等の
 活動
◆上映会と連動したコミュニティカフェの運営、 相談対応
◆困難や生きづらさを抱えた子どもや家族に寄りそう人材の育成
◆生活支援団体、文化芸術施設、大学研究者、保護者団体等との
 協議・相互協力
◆市民、自治会など地域社会への課題の周知

【活動地域】長野県上田市
【助成期間】2020年4月~2023年3月
【助成額】25,750,034円(3年間)

出典:休眠預金 草の根活動助成2019 事業レポート
上映会と同時開催されるカフェの様子
上映会ではワークショップで学びの場も提供
登録メンバーにはシネマクラブ手帖を発行

活動の成果

◆シネマクラブに参加した子ども・家族の数  
         ー 上映会1,023人/59回  カフェ 863回 /延べ数 ー
学校を通した案内の他、スクールソーシャルワーカーの方々にお声がけもいただきながら参加を促しました。登録した子どもは187名となり、カフェでお手伝いやワークショップを行う子も出てきました。

◆子ども・若者の支援に関わる個人・組織との連携体制の構築
                        ー 30の連携機関 ー
教育行政、中間教室、民間の居場所づくり等の活動、大学研究者、特色ある取り組みがある学校法人等、こどもの孤立防止に関わる関係者との連携が生まれました。関係者MAPも作成しました。

◆シネマクラブへの参加=出席認定とする学校の誕生
                     ー 東信地域の4中学校 ー
シネマクラブへの理解が進み、「教育機会確保法」の具体的な形として、不登校の子どもが学ぶ機会として、「映画館登校」が全国に先駆けて認められました。

◆マスコミ等で紹介された回数
           ー 新聞14回・TV3回・WEBマガジン6誌他 ー
信濃毎日新聞・朝日新聞をはじめ、ラジオ、東信教育事務所「事務所便り」、長野県文化芸術情報発信サイト特集記事で多数紹介され、課題の認知が地域で広がりました。

*事後評価報告書から抜粋・編集

出典:休眠預金 草の根活動助成2019 事業レポート
新たに始まった出張カフェで焚火を囲む

今後の展開

◆コミュニティシネマを活用した包括的支援体制により、家にこもりがちな子どもたちや家族が社会とつながり、孤立しない環境が整えられている

◆映画館をはじめ地域にある様々なセクターが、生きづらさを解消するセーフティネットとして連携し、機能する地域社会になる

◆映画館という場、映画など文化芸術活動が生きづらさを解消し、主体的に学ぶ機会が得られる場として機能している

シネマやカフェに来てくれる子どもたちの状況変化を見守り、社会とのつながりをつくるプロセスを記録し、居場所資源として情報を蓄積したりネットワークをつくって、活用しやすい状況にしていきます。
また、芸術文化が子どもたちの成長に与える効果を検証し、既存の相談機関と異なるセーフティネットの価値を提案したいと思っています。

出典:休眠預金 草の根活動助成2019 事業レポート
オンラインを使ったトークイベント

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