クレイジータンク通信vol.220 『ネットワーク思考とロジカルシンキングの共栄をデザインできるか』
クレイジータンク通信 vol.220
昨日は東京で最高気温29度もあり、暑い1日となりましたが、本日は気温が急降下して20度以下になるとのこと…。体調管理が非常に難しい気候です。気をつけてお過ごしくださいね。
さて、今週の通信では…
情報が大量に溢れる時代に生まれ育ってきた今の20代前後の方々は「ネットワーク思考」という思考法をとっているのではないか、とクレイジータンク内で議論しました。さらに、そこから今後は、このネットワーク思考の方々がどう会社の中で活躍するのか、が、会社として成長発展する上で必要だと考えた内容について書いてみたいと思います。
ぜひご一読ください。
【ネットワーク思考とロジカルシンキングの共栄をデザインできるか】
いつの時代でも社会のさまざま至る場所から「最近の若い人は…」という言葉が聞こえてくることがあります。
子ども時代の社会的環境が、私たちの考え方に大きく影響を与えるものであることは理の当然です。時代の大きな変化に影響され、考え方の「土台」が異なる世代同士が社会の中でともに働き生活をするものですから、「(自分にとっては)理解不能」と思われる言動、行動が目についてしまうのは致し方ないのかもしれません。
さて、タイトルにも記載しました「ネットワーク思考」ですが、これは現在20代前後の方々にとっては、自然と行っている思考法なのではないか?と、クレイジータンク内で直近議論になりました。
クレイジータンクが定義するネットワーク思考とは、大量の情報がネットワークのように繋がっている状態(3D空間のようなイメージ)で、その中から自分が「これだ」と思う答えを掴むような思考法のことです。
一方、ロジカルシンキングという言葉は、一般的にも「論理的思考」と定義され、皆さんにも馴染みある言葉かと思います。クレイジータンクでは、情報を順序立てながら、深め、組み立てながら答えを導き出していく思考法だと解釈しています。
ロジカルシンキングを「論理的」と定義するならば、比較するに、ネットワーク思考は「直感的」と分類されることがあるかもしれません。
しかしネットワーク思考は「(その瞬時の)感情」という一本の線で答えにつながるような思考ではなく、先に記載の通り、3D空間の中に大量の情報がフワフワと浮いて存在するような状態でそれらが繋がりあっている状態なので、一本線ではなく、無数の線が存在する中で思考がおこなわれています。
ロジカルシンキング法にて、感度の良い方や理解の早い方はよく「1を言うと10理解する」と言われることがあります。
しかしネットワーク思考法の方は、「1を言うと、5や10やAやγやほうれん草にもつながる」という考えを展開する、という違いがあり、これは決して論点を故意にずらしたり、理解していないのではなく、頭の中に無数の情報があり、それらが繋がっているという状態にあるのです。
先ほど20代前後の方々はこういったネットワーク思考法を自然と行っているのではないか、と書きましたが、20代前後の方々は、生まれた時からデバイス製品に囲まれ、自然と大量の情報が周りに溢れる中で成長を遂げてきたという社会的状況があります。
よく若いお子さんを持つ親御さんと会話になりますが、
「一つのデバイスで何かの映像を見ながら、手元では他のことをやったり、
その横のスマートフォンで友だちと連絡を取ったり、ということを器用に行っている」
といった状態が若い人たちの間では日常になってきています。
そのため意識的にも無意識的にも蓄積している大量の情報が無数に頭の中に存在し、そこから瞬発的に答えを掴み出すというネットワーク思考が自然と確立されていてもおかしくはないのです。
ところで、これまでの社会、会社の仕組み上は、ロジカルシンキング法が当然ながら重要視されてきました。なぜなら、組織で動きながら、なにか課題や問題があった時に「立ち返られる」思考法であるからです。誰もが等しく、どのように思考されたのかを確認することができ、この段階に課題があったとわかれば、そこから修正を加え、改善し、より良くしていくことができます。
一方で、ネットワーク思考の場合は、順序立てて積み上げているわけではないため、振り返るポイントの設定が難しい、という特徴があります。
しかし、それが今後の社会や会社という組織で難点になるのかは、少し疑問が残ります。
なぜなら、今後はより大量の情報を高速に取得しながら、判断スピードを上げて、どんどん挑戦していくことが求められる、いやむしろそうでないと生き残っていけない時代なのだと、私たちは予測をしているからです。
そういった時代において、ネットワーク思考を持った若手人材はとても自然にその環境にフィットしていく可能性が高いと考えています。しかし「会社という仕組み」の中では、ルールがあり、手順があり、ともに働く周りの人たちの「理解や納得」が必要で、そこにはロジカルシンキング法が未だなお有効であるのも事実です。
今後、このネットワーク思考を持つ人材は、そのスピード感を活かしながら、ロジカルシンキングの思考法も学び取り入れつつ、会社という組織の中での努力が必要になるでしょう。
加えて、現在マネジメント側にいる年齢層の方々は、ネットワーク思考を持つ若手の発言を「ズレている」と呆れ流すのではなく、「どうしてそう考えるのか?」「ビジネスのシーンに載せるとその考えはどう展開できるか?」などといったロジカルシンキング法で手助けしながら掬い上げる力が必要になるでしょう。
さらに会社や経営者は、社員の努力に任せるのではなく、先駆けて、このネットワーク思考とロジカルシンキングの違いを理解し、それらの特徴を生かし、両者が力を発揮できるよう、組織や人事、仕事のあり方をデザインしていけるかどうか、が、今後の時代を生き抜いていく大きな優位性になるだろうと考えています。