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クレイジータンク通信 vol.202 『かてい農園でほうれん草を循環栽培する意義』

クレイジータンク通信(通称:クレタン通信)は、2020年7月よりスタートし、現在まで毎週つづいている「クレタンの今」をお届けする2000-3000字程度の通信です。2021年10月までは、クレタン関係者やファンクラブの方、十数名の方に限定的にお送りしてきました。しかし購読者の皆さまからのフィードバックもあり、2021年10月下旬より、有料にてnote公開を行うことになりました。さらに、2023年10月からは、試験的に無料公開をスタートすることにいたしました。

毎週、クレタンが何をしているか、また、何を考え行動しているのかについてお伝えしていく場です。クレタンは常に未来に向かって自分たちが「挑戦をつづける当事者」になることを大切にしています。変化する社会を生きるみなさまにとって、挑戦へのきっかけや原動力となれば幸いです。気になったときにふと立ち寄ってみてください。

◆クレイジータンク通信 vol.202◆

6月に入りました。2024年ももうすぐ折り返しと考えると驚きを隠せません…

各地、梅雨入りする時期かと思いますが、ここ数年、夏にかけて急な雷雨やゲリラ豪雨がよくニュースになっていますので、皆さんどうぞお気をつけてお過ごしください。

さて今週の通信では、先週お届けした保けん野菜サービスの中で取り組む「かてい農園」プロジェクトより、最初に育てはじめた「ほうれん草」から種を取得→取得した種を植える、という「循環の経過」を皆様にお伝えしたいと思います。そしてなぜこのようなことに取り組んでいるのかという点にも触れ、AIとの共存時代を生き抜くために必要なこととして考えていることをお伝えできればと思います。

ぜひご一読ください。

【かてい農園でほうれん草を循環栽培する意義】

先週の通信でもご紹介した「かてい農園」プロジェクトですが、その後、試行錯誤しながらもどんどん色んなことに取り組んでみようと動いています。


単純に、「家庭で食べれる野菜を作る力を身につける」だけではなく、この取り組みを通じて、農家さんの日々の楽しさや苦悩を小さくとも追体験し、より生産者の気持ちを理解したり、地球環境問題をより身近に感じたりといったことにも繋がっていくと考えています。

そして先日、かてい農園プロジェクトをスタートしたときに一番初めに栽培したほうれん草から、次の種を採種することができました。

このほうれん草は、昨年の10月に市販されていた種を植え、12月には食べれる株へと成長しました。それらを収穫して、一部家庭で食べてみたり、ふだん野菜をお送りいただいている「のらくら農場」さんと「ないとう農園」さんへお裾分けしたりなどしました。


さらに残った一部のほうれん草については、そのまま収穫せずに育て続けてみたところ、どんどん背は高くなり、花が咲き、全体的に枯れ始めながら、種をつけました。

ほうれん草はこの状態になる前に収穫をして食べるのが一般的ですので、ご家庭で育てたことがある方でも、ほうれん草の種を採種するといった体験をされた方は多くはないのではないかと思います。

そして先日この採種した種を植えてみたのですが……数日経ち、その種からついに芽が出てきたのです!

昨年の10月から7か月かけて見続けてきた数々のほうれん草の変化の姿。それらをすべて目撃してきた過程があってこそ、「生物の循環」を目の当たりにしたときの感動を覚えました。


種や植物に詳しい方ならご存知かもしれませんが、市販のほうれん草のほとんどが「F1種」と呼ばれる「雑種第一代」の品種で、今回播いた種もこの「F1種」です。(保けん野菜のnoteでも種についての情報をより詳しく掲載していますのでご興味ある方はぜひご一読ください)

かつて生物の授業で誰もが一度は聞いたことがあるはず(笑)の「メンデルの法則」により、この雑種第一代は顕性(かつては優性と言っていたこともあります)の形質が子の世代に発現する、という特徴を活かし、F1種は味や形などの形質が良く、生育が良い品種です。

しかし、孫の代にはその性質が続かないと言われているため、F1種は、今回のように、家庭で栽培したほうれん草からまた種を採種して新たなほうれん草を育てるということは、あまりなされていません。

しかしクレタンでは常に、かてい農園プロジェクトに限らず、合理的なプロセスや結果のために動くのではなく、既存のデータやルールに捉われすぎず、「これやったらどうなっていくのかな?」ということをどんどんやってみることを大切にしています。

なぜなら、これまで人間が知見や経験を積み重ねてきて出来た「既存ルール」というものは、今後、生成AIが難なく人間同様に(人間以上に)こなせるようになっていくだろう時代になっていくことを以前より予測しているからです。

私たち人間が、人間としての喜びや生きる実感、豊かな気持ちを持ち生きるためには、既存ルールにとらわれたり、合理的で効率的な生産にとどまるのではなく、自分たちの手と目と頭をフルに使いながら、さまざまな「異端」と言われることをやってみる中に、活路があるのではないかと考えています。(私たちは「AIが二度見することをやる」ともいいます)

いま、もし「AIによって正直自分が今後何をして生きていけばいいかわからない」と思う方々がいるならば、既存のやり方や正しさに捉われず、どんどん「わからないこと」にチャレンジしていくことが大切だと考えています。

かてい農園プロジェクトは、野菜を作ることを超えて、生物と日々向き合う大変さや手間と向き合うからこそ、見失いかけている人間的感性をも手繰り寄せることができる場になると、私たちは感じています。

次の世代のほうれん草たちの様子はまたこの通信等を通じて皆さんにもお伝えしていければと思っています。


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