プラスチックゴミを資産へ-新ブランド「PETUP(ペタップ)」のご紹介-
使い終わったペットボトルからできたウイスキーグラス[PETUP]
元の素材はキリンのやわらか天然水の空きペットボトル
https://products.kirin.co.jp/softdrink/softdrink/detail.html?id=5310
他、PETUP作品
クレイジータンクの覚悟から生まれたPETUP
クレイジータンクでは以前、こんな覚悟を記事にしました。
これは地球環境に対して自分たちにできることを、小さくてもいいからやっていこうというメッセージでもありました。この想いは揺らぐことはなく、子育てをしているメンバーが多いクレイジータンクは、常に次の世代のためにできることを模索し続けています。
そして LEXUS DESIGN AWARD 2021の最終審査に残ったUPCYCLINGという作品を契機に、アップサイクリングをテーマにした作品作りに着手してきました。
UPCYCLING発表から約1年。皆様にご紹介できる作品が作れるまで試行錯誤を続け、ついにペットボトルを使った作品ブランド「PETUP」が誕生いたしました。下の画像はブランドロゴとなります。
まずペットボトルに着目した理由
LEXUS DESIGN AWARD 2021でUPCYCLINGを発表した時、私たちは色々なゴミを使った作品を制作していました。
ハンバーガーの包装資材を使ったブックカバー。
有名カフェのスリーブとペットボトルで作った照明。
その中にあったのが、ペットボトルを使ったお猪口の制作でした。
そこからこのペットボトルをアップサイクリングしていくこととなったのですが、ペットボトルに着目した第一の理由は"一番身近に存在するゴミだった"からです。
UPCYCLINGという作品の大切さは、作品を作るために素材を買わないという点です。作品の本質は地球環境のことを考るきっかけを作ったり、次世代に残すべき環境やマインドを作り出すことで、作りたい作品を作ることでもなければ、売れることを最大の目的にしているわけではありません。
必然的に一番身近にあるゴミだったペットボトルを使って作品を作ることとなりました。
さらに...
悲しいことではありますが、ニュースで目にする環境問題に心を痛めていたことも大きな理由となっていました。
こんな衝撃的な言葉があります。
プラスチックでできた薄いスープ
これはプラスチックゴミで溢れかえった海の様子を見た海洋環境調査研究者チャールズ・モア氏の言葉だそうです。
プラスチックの生産量は1950年には200万トン(年間)だったのが、2017年時点での総生産量は80億トンを超えています。年間生産量は4億トンを超える事態になっており、3億トン以上が破棄処分されているそうです。さらに衝撃的な事実が、総生産量で破棄処分されたうち約80%が埋立処分もしくは投棄されたというのです。このままいけば2050年には120億トンものプラスチックゴミが自然界に埋め立て・投棄されると言われています。
そして...2050年には海に流れるプラスチックゴミの量が魚の量を超えるという恐ろしい指摘もあります。
2017年に中国がプラスチックゴミの廃棄物輸入を禁止するなど、世界で環境問題に対して動きはあります。日本でもビニール袋が有料化したり、実はアフリカはもっと厳しい対策を早くから講じているそうです。先進国は有料化、途上国は禁止という流れが一般的だそうです。
日本は海に囲まれた自然に近い感覚を持つ国であるにもかかわらず、容器包装プラスチックゴミ総量世界第二位で、まだまだ環境問題に対して意識が高いわけではありません。一般的な家庭から出るプラスチックゴミの総量も400万トンを超えています(2017年)。
プラスチックとは...
プラスチックは英語でplasticsまたはplasticと書きますが、その語源はギリシャ語のプラスティコスで、“生長する”“形づくる”“発達する”などの意味があります。原料は石油で世界で普及してからまだ70年ほどしか経っていません。しかし、「腐らない」という特性から今でも海や陸で問題あるゴミとして存在し続けてしまっています。
そしてプラスチックは、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分かれます。
チョコレートとホットケーキに例えられることがあるそうですが、熱可塑性樹脂はチョコレートのように一度形を作っても熱を加えればまた液状になり、熱硬化性樹脂は一度形になると熱を加えても元には戻らない性質があります。PETUPの材料となるペットボトルは熱可塑性樹脂となります。
PETUPもこの性質を利用して、クレイジータンクオリジナルの形を作り出しています。
マイクロプラスチック
最近ニュースでもよく目にするようになったマイクロプラスチック。これは腐らないプラスチックが品質の劣化によって細かくなっていき、5mm以下の大きさになったプラスチックのことを意味します。そうなる前のプラスチックゴミですら魚は餌として食べてしまうのに、そこまで小さくなってしまうと体の中に入ってしまうのは防ぎようがありません。特にマイクロプラスチックの大きさはプランクトン並みとされ、プランクトンを餌にしている魚は見間違えるはずです。
そしてマイクロプラスチックは世界の海になんと推定5兆個も存在しているそうです。特に驚きだったのが、洗顔料や化粧品にも含まれており、アメリカやイギリスでは生産が停止されています。
海鳥の90%がプラスチックゴミを餌を間違えるとされ、全世界300種類のうち3分の1が絶滅の危機にさらされています。
このマイクロプラスチックの問題は魚や鳥だけの問題ではありません。それらを食べてしまった魚を人間が食べているのです...。
プラスチックのリサイクル方法
プラスチックのリサイクル方法には大きく分けて3つの種類があります。
1.マテリアルリサイクル
マテリアル(物)からマテリアル(物)へと再利用(リサイクル)することをいいます。服や文房具に至るまで色々な物にリサイクルされています。
2.ケミカルリサイクル
使用済み資源を化学的に処理し、他の化学物質に転換して再利用するリサイクル手法で「化学的再生法」ともいわれています。
3.サーマルリサイクル
廃棄物の処理の際に発生する熱を、エネルギーとして回収して利用することです。
日本ではマテリアルリサイクルが全体の23.4%、ケミカルリサイクルが4.4%、50%以上がサーマルリサイクルで、まだまだエネルギー回収率が低いのが現状です。
第四のリサイクル「UPCYCLING」
私たち一般人がマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルと聞いて、すぐに何かできることがあるとは考えにくい現状があります。もっと一般の人たちにでも、今日からできるリサイクル方法が必要だと考えました。
それがPETUPの始まりです。
実はカッターとハサミ、接着剤、家庭用アイロンがあれば誰でも簡単に制作が可能です。
そして誰でも料理と楽しんだり、花瓶としてお部屋を彩るなど、多様に楽しむことができます。PETUPを使った食事会も開催しました。
今後、YouTubeなどを通して「How to PETUP」を公開していこうと考えています。
プラスチックはゴミではなく資産になる時代
全世界に存在してしまっているプラスチックゴミ。私たちの活動は自分たちがPETUPを作って評価されたり、それが売れることが最大の目的ではありません。途上国やお金がなく困っている人たちや子どもでも環境に寄与できる、そしてそれを経済活動に展開できる日を夢見ています。
LEXUS DESIGN AWARD 2021では、世界中の人たちがゴミを使った作品を掲載できるWEBシステムの提案でもありました。
ゴミが資産になれば途上国はお金持ち...
石油大国には石油王と呼ばれる人がいます。それは石油が誰もが必要とする地球資源だからです。そしてその資源を資産として活用したことから、王と呼ばれるまでの存在が生まれました。どこかで聞いたことのある名前だとは思いますが、ロックフェラー氏も純度の高い石油精製会社を立ち上げたことから莫大な資産を持つに至り、政治など多くの分野に影響力を持つこととなりました。
当時、石油がここまで莫大な資産になることに気付けていた人はどれくらいいたのでしょうか。
世界は今、次の資産を探している状況が続き、仮想通貨や新しいIT技術に投資が続いています。
その中で、私たちクレイジータンクはゴミに着目し、"ゴミが資産になるようなものづくり"を目指していきたいと考えています。
PETUPのロゴに込めた思い
PETUPのロゴには空白が存在します。矢印の右側に製作者の名前を入れていただくことで、その人の思いが化学変化を起こす、ことをイメージしています。例えばクレイジータンクのPETUPであれば...
誰でもこのロゴを使うことができます。そして、右側の空白に皆様の名前を書き足して、オリジナルPETUPをぜひ作ってみてください。
皆様の一歩が、より良い世界を創造し、子どもたちなど次世代に明るい未来のバトンを渡せると信じています。
クレイジータンク一同