
アガベ沼に落ちた話1
正直、最初は「ふーん」って感じだったんですよ。
正直、最初は「なんかアロエとどう違うの?」って感じだったんですよ。
正直、最初は「なんか高いよね」って感じだったんですよ。
正直、「アガベより断然ビカクシダだよね!」って感じだったんですよ。
でもいつからだろう頭の中で「ア~ガベ、アガベ、ア~ガベ、アガベ」とまるでバ〇ラのようなメロディが流れ出したのは。
発端は去年2024年10月20日に妻と初めてジョイフル本田瑞穂店に行った時のことだった。ビカクシダという名前を始めて知ってなんだかキャベツみたいでかっこいいなと思いつつも2万、3万という価格に高くて手が出せなかった。妻はリドレイというものが好きなようだ。
その日にアガベというものが最近、人気のようだと言われていろいろとジョイフル本田内を眺めてみるけど「ふーん、へー、これならビカクシダの方がいいな」という感想だったのである。でもなんとなくかわいいなと思った『王妃兜蟹錦』の子株を780円で買ってみた。これが記念すべき僕のファーストアガベとなろうとは知る由もなかったのである。アガベ沼に落ちる第一歩であった。
その後、なんとなくこの王妃兜蟹錦を多肉植物と同じ棚に置いて放っておいたのだった。最初から葉っぱが開いているのは、光が不足しているからだよとかアガベに詳しい人に教えてもらったりはしたけど、では適当に光にあてておけばみるみる葉っぱが閉じるというものでもないようなのだ。アガベって動きがあまりないなという印象。
でも別に葉っぱが開いていてもいいんじゃないかな、閉じさせる意味も分からないし、葉っぱが閉じるとはどういことなんだかもよくわからなかった。がしかし後日ふと葉が閉じてボール型になっているアガベをみて、なんとなく「え、これかっこよくない?」と思ったのが、アガベ沼に落ちる第二歩であったようだ。
その頃からボール型になってるアガベかっこいい、かわいいと思うようになってきた。どうすればなるんだろうか、やはり光が必要なのか、Youtubeや書店に行きアガベについての情報を収集するようになってきた。最初からボール型の立派な大株も売っているが値段がとんでもないことになっているではないか。10万、20万とよくわからない世界である。カメラのレンズに比べれば安いけど。
そしてネームド株というものもあり、中二病感全開な名前がついているのである。「黒帝斯/ハデス」「凱撒/シーザー」「白鯨(はくげい)」「赤猫/レッドキャットウィーズル」「魔丸(ままる)」とか。でもなんかそういうのいいなとも思ったのだった。
この頃からアガベが本格的に気になってきて、2025年新年早々オザキフラワーパークに行くことにした。ここでアガベの魔丸の子株、熊猫(ぱんだ)の苗、コンパクトタイプのブルーを新年20%OFFセールにて買ったのである。3株で1万円程であった。だが正直、オザキフラワーパークには僕のアガベ欲を満たせるほどの株数はなかった。
そして色々なネームド株の名前が気になって知りたくなってきて、オザキフラワーパークの書籍コーナーでいいなと思って買った本が『アガベ・チタノタ -表情豊かな株の個性と美しく仕上げるための育成- (栽培の教科書シリーズ)』であった。その中でアガベショップが何店か紹介されていて、ライセンスプランツという店が目に留まった。川崎の宮前平の駅前にあるようだ。僕は町田市民なのでそう遠くはない場所である。そしてこの店の主人がこの本の監修をしているようだ。
早速、次の日にライセンスプランツに行ってみた。そこはアガベの楽園だった。様々なネームド株と思われるアガベたちが所狭しと並んでいた。初心者の自分には若干、敷居が高かったが、店主がなんでも聞いてくださいといろいろと教えてくれたのであった。そこで新年セールだったアガベたちをいくつか購入。オザキになかった赤猫のネギ(苗)も買えた。その他、ホリダのネギ、海王のネギ、マルモラータパピリオプラタノイデス(子株)、ローズ(子株)の5株を購入。全部で9,100円程であった。
帰り際にホームセンターシマホの植物コーナーを覗くとなんとアガベが並んでいた。おそらく今思えばメリクロン株(TC株)だと思うが、シーザー、南アフリカダイヤモンド(SAD)、シャークソード、ジャガーノートの4株を買ってしまった。1株3,828円であった。多分、2年前くらいから考えればSADは10万円くらいしたようなので、とんでもなく安いのだろう。
その後、プラネットロックプランツという御茶ノ水にあるアガベショップにライセンスプランツが出店しているようなので、妻と二人で行ってみたのである。店に入るやいなや店の関係者の女性と常連客らしき人々が奥のレジの方で大きな声で話しているのに辟易しながら、コミュ障な僕は、店に入ってすぐ左に出店していたライセンスプランツの株たちを眺めるのであった。
そして事件が起こった!
えっと、トニー産白鯨のネギ(8,800円)、白銀甲蟹のベアルート株(8,800)、このダブルヘッドのかわいい株(4,980円)をくださいと僕。値段が全部30%引きになりますので「45,000円」になりますと主人。目を丸くして、「あれ、値段、一桁間違えたかもしれません…」と焦る僕。なんとダブルヘッドのかわいい株は4,980円ではなく49,800円だったのである。「ごめんなさい、まだアガベ始めたばかりで1万円以下のしばりで買っているもので…」と言うと主人は笑顔で「全然、大丈夫ですよ、また店の方にいつでもあるので!」とせっかくしたトイレットペーパーの梱包を剝がしてくれたのである。
うーん、悪いことしたな代わりに何か買おうかな。ふと目に留まった2025年の2025円セールの夕映を買うのもなぁ。でも待てよ、また店に行ったときにこのダブルヘッドのかわいい株がなかったら少し哀しいかもしれない。そして主人に「えっと、やっぱり行っちゃいます!」というと主人は笑顔で「えーー!」とびっくりしていたのであった。再びトイレットペーパーに巻かれるダブルヘッドのかわいい株。手渡された際に「1万円以下の縛りも一回、破っちゃえばあとはね」と主人と妻が不穏な会話をしていた。
・・・次回に続く