結局シティーポップってさ

 洋楽をいかに翻訳できるか、っていうジャンルだと思うんですよ。大型シティーポップブームがようやく下火になってきたものの、未だにシティーポップ”風”を聴いて言葉にならないもどかしさにぐぬぬぬぬとなっていたのですが、先日ようやくこのぐぬぬぬぬから抜け出せそうになる瞬間がありました。

 バンド編成でのライブのために新宿にあるスタジオで深夜練に入りました。サポートメンバーには簡単すぎるコード譜のみ送り、音源が消えたからサブスクで聞いてほしいというひどすぎるお願いをして(本当によくないです。ごめんなさい。)あとはスタジオで!という感じでした。
 「BlinkEffect」という曲があるのですが、この曲は、ベンチャーズの「Hawaii Five-0」を意識して打ち込みを作っていたので、サポートメンバーたちに「ベンチャーズのつもりで作ったんで、ベンチャーズイメージでやってほしいです」とお願いして合わせてみました。練習終えて翌日電車で出勤しながら練習の録音を聴いてみたんですけど、「ハイティーン・ブギ」みたいになってたんですよ。これがすごくうれしくてテンション上がって、これは最高のバンドになったぞと確信したわけです。

 嚙み砕いていきます。「Hawaii Five-0」として作ったものが「ハイティーン・ブギ」みたいになったわけです。洋楽として作ったものがちゃんと歌謡曲っぽく完成したということが言いたいんですけど。これがちゃんと洋楽の翻訳に成功したなと思ったわけです。と同時に、いままで言われたことのある「歌謡曲っぽいけどちゃんと今風になってていいね」というありがたいうれしい感想にも合点がいったというか。「ベンチャーズ」というディレクションに対して日本人として出力してくれるサポートメンバーと、日本人として歌える自分によって、「ハイティーン・ブギ」のような曲が生まれた、という、これこそが自分が求めていた「洋楽の翻訳」であり、それこそシティーポップなんじゃないかなと。一つの答えを手に入れることができたなと。思いました。

 この成功体験によって、しばらくは「Stay with me~真夜中のドア」を「Stay with me~真夜中のドア~」「真夜中のドア」「Stay with me」と表記していてもブチギレずに済みそうですし、シティーポップバンドを「少数派のイロモノ」と自称するバンドが出てきてもニコニコしてあげられそうですし、ナイトテンポだけは絶対一生許さないけど、「もっぱら」を聴いてシティーポップだねと言われてしまってもそっすね~と穏やかに返せる気がします。

 という話を当日MCでしたら時間がなくなるので先に書いておいたよっていう、話でした。

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