夕立

降り出した雨が
君を走らせる
絶望のままで
立ち尽くす僕を
置いて…

アスファルトに
雫が描く
暗闇と

白いシャツの
背中が遠ざかる
恐怖で

何を言えば良かった?
何が僕に言えた?

君はもう
未来を見つめているのに

閃光を放ち
響く雷鳴が
君の名を叫ぶ
僕の声を
掻き消した…

髪を伝う雫が
頬を滑り落ちる

遅れて伸ばした手が
一瞬で凍りつく

どうすれば良かった?
何が僕に出来た?

過去を振り払いながら
足掻いてた君に

風が黒い雲を広げ
染めてゆく

闇にこのまま
取り込まれてしまうの?

降り出した雨が
君を走らせる
絶望のままで
立ち尽くす僕を
置いて…

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