大規模修繕工事②~12年周期説は事実でない
管理会社の説明により「大規模修繕工事」が「国交省により法で定められたこと」であるかのように理解している人がいるかもしれない。これについては法律などで定められた決まりではなく「大規模修繕工事を実施しなくても特に問題ない」と言える。
この件については、以下のような過去記事があったので抜粋する。
マンション大規模修繕工事は「12年周期」が決まりという誤解 ダイヤモンド 2018.04.27
※抜粋:あなたのマンションの長期修繕計画では、大規模修繕工事の周期を何年と設定されているかご存じだろうか? 多くのマンション区分所有者は、法で定められたことであるかのように「マンションの大規模修繕工事は12年周期で行うもの」だと考えている。しかしそれは、そのことで利益を得る人々によって広められた“都市伝説”のようなもので、決して常識でも事実でもないのだ。
それは簡単にわかることだ。東京の山手線から外を眺めてみよう。沿線には鉄筋コンクリートで造られたビルが林立している。その多くはオフィスビルとマンションだ。よく見るとマンションには「大規模修繕工事をやっているな」と思われる足場や覆いがかかっているものもある。しかしオフィスビルなどのマンション以外の建物でそんな状態のものを見つけることはまずできない。なぜマンションだけなのだろうか? マンションだけが壊れやすいのか? そんなバカな話はないだろう。
以前、古い商業ビルの調査をさせてもらった事があるが、いずれのビルも大規模修繕工事を行った形跡が無い。ましてや、12年周期の大規模修繕など、まともな経営者やビルのオーナーはやらないだろう。ビルのオーナーは、コストにシビアで、無駄なことを一切やらないという人が多い。だから、お金持ちなのだろう。ところで、大規模修繕工事を提案する管理会社のオフィスビルは、大規模修繕工事をやったことがあるのだろうか?
インフラの補修を計画する際、ライフサイクルコストを念頭に置いた費用対効果の判断を求められることがある。ライフサイクルコストとは、構造物などの企画、設計に始まり、竣工、運用を経て、修繕、耐用年数の経過により解体処分するまでを建物の生涯と定義して、その全期間に要する費用を意味する。共用以降は「どの時点での補修が費用対効果が高いか?」を算定するわけだが、「劣化の少ない段階で、こまめに補修し回数を増やすケース」は「最も割高」になることが多い。管理会社から提案される「予防保全は、ほとんどのケースで周期が早すぎて不経済」と考えられる。つまり、過大な予防保全なのである。