句具ネプリ 秋
良かった句、好きな句について書いてみます。
☆紅葉を脱ぎ散らかしたやつ誰だ
前回も載っていた、恐るべき7さい。
擬人法は好まれないと言われるけど、この表現をおもしろいと思わない人はいないでしょう。
☆十一月三日きらきらの反対語
スペースでもインタビューがありました。文化の日を言い換えるのが良いですね。そしてきらきらの反対語については読者に考えさせるところもいい。
☆秋声や回つてゐれば倒れない
「転がる石は苔むさない」の言葉を想起させると同時に、倒れないためにも回っていなければいけないという強迫観念にも似たような意識を感じました。秋声に踊らされるのか、心とらわれないように立ち止まらないようになのかは人それぞれなのかもしれない。
☆唇に淡き色のせ秋彼岸
秋彼岸に薄化粧して行くのは墓参かもしれない。マスクをしたらリップはあまり構う必要はないかもしれないけど、それでもしたくなるのは、その相手だからこそなのでしょうか。此岸から手を振る時に、私は元気だよ、と見せたい間柄なのかなぁと想像が広がりました。
☆天の川訳者で違ふ二人称
最近翻訳にも興味があるので気になった句です。翻訳は第二の創作と言われるのは、人称など表現の差異で原文が全く別の味わいになるからなのでしょう。天の川といえば引き裂かれた恋人たち、シェイクスピアかな。
☆この星で最後の朝の芒原
「この星で最後の朝」はずるいなぁ、と思いながら、朝の芒原はびっくりするほど眩しくて、それを地球の思い出として行くのもなかなかに乙だなぁと思わされたことでした。
☆木犀のぐるりに金の魔法陣
落花した金木犀の喩えが素晴らしいと思いました。秋の魔法がまさに今ひとつ生まれたようです。