怪盗執事パンテール・ヴェルト番外編〜TRPG『大英博物館攻略の依頼』前編
(この作品は、つきのふね様制作のTRPG「PHANTOMISM」で作者が体験したセッションのリプレイを再構成・潤色して、キャラクター達が遊んだという設定になっております)
(コメディテイストになっておりますので、CDのキャライメージが壊れると思われる方は回れ右をしてくださいますようお願いいたします)
【登場人物】
塔野 航(とうの わたる)
帆塚 洸平(ほつか こうへい)
ドク
オペレーター
プロローグ
ここは緑光館──古い洋館だが、持ち主が変わるたびに改修されている。
その一室に集められたのは、怪盗集団パンテール・ヴェルトのメンバーたち。
彼らの目前のテーブルには、いくつかのコマとダイス、そして建物の見取り図らしきものとチェス盤が置かれていた。
オペレーター「じゃあ、はじめる。……コホン、怪盗諸君。今日は集まってもらってありがとう。
今回の仕事は別の怪盗組織“エレガント”から依頼を受けた仕事だ。
大英博物館から『自由への賛歌』という絵を盗み出してほしい」
洸平「いつもと口調が違うな、オペレーター」
オペレーター「今日の僕はGMだから」
航「ターゲットは絵なんだ。なんか、洸平の時(「怪盗執事パンテール・ヴェルト」vol.2参照)みたいだね。あの時は大変だったよね、船が……」
オペレーター「……いいから、とりあえず自分の選んだ流派と軽いキャラクター紹介から始めて」
洸平「アジリティの技能が高いドクからでいいんじゃないか」
ドク「わかりました。私の選んだ流派はゴースト。『隠れて素早く任務をこなす隠密タイプ』で、歳は○○歳で……」
航「えっ、これリアルに寄せんの?」
ドク「……じゃあ20歳でホームは日本、職業は医療従業者です」
航「専門なんだ(笑)」
ドク「専門です、いけませんか」
航「いやいや」
洸平「かまわねえよ。よろしく。じゃあ次は俺か? 俺はジャック、『相手を圧倒して場を支配するパワータイプ』だ」
オペレーター「あ、そうだ。みんな、この中から一つ自分のキャラに合ったコマを選んでね。ごめん、続けて」
洸平「じゃあ、俺はこのコマにする。……とりあえずスニーキングと地形順応と突破、分析、剣術と見切りとスマッシュができて、やる気まんまんなのでよろしくな。
壁を壊す特技を持ってるから、みんなぶっ飛ばしてやるぜ!」
オペレーター「ぶっ飛ばしてみんな壊さないでよ」
航「オペレーター、さっきから口調いつものに戻ってるけどいいの?(笑)」
オペレーター「うるさいな〜」
ドク「洸平のキャラクター年齢は?」
洸平「歳は……微妙なところだから……。永遠の17歳教に入ってる」
航「って、アイドルか!」
洸平「怪盗では武闘派を気取ってるという感じだ、よろしくな」
ドク「さすがは元外人部隊……というところですね」
洸平「仕事はえっと……。職業は主に……豆の蔓を切っている」
航「えっ? 豆? なんで?」
洸平「他には、金の卵を産むガチョウを盗んだりしてる、かな」
ドク「なるほど、『ジャックと豆の木』ですね」
航「そっか、このコマ斧持ってるしな(笑)
あっ、次は俺の番? ふっふっふ、俺はファントム、『どんな状況でも動けるバランス志向タイプ』てことで。歳は21歳の男で、出身はイギリスだけど、口癖は『トレビアン』!」
洸平「なんだそれ」
航「いいだろ? 思いついちゃったんだから!」
ドク「確かに航はイギリスにいましたからね」
オペレーター「じゃあパンテール・ヴェルトはなんでフランス語なの」
航「俺に訊くなよ! ……職業は、普段は俳優やってます。どうぞお見知り置きを」
(一同、拍手)
調査パート
オペレーター「……みんな互いに紹介しあった感じで、とうとう大英博物館に到着したよ。
マップはAのエントランスで買うことができるから各自確認して」
航「オッケー」
オペレーター「博物館が開いてるのは10〜17時だから、自分たちの技能を使いつつ調査を始めてほしい。自分の技能を使いたい時がきたら、20面ダイスを振って自分の技能値より低い目を出して成功させること。
ではエントランスから正々堂々と入ってもらいたい。一階の監視カメラがエントランス前には見えるかなと思う」
ドク「この地図だとどこに?」
オペレーター「入り口とメインホールに入ったところ。カメラ以外を探すのに使いたい技能はある?」
洸平「洞察か?とりあえず入り口で使ってみるか」
航「じゃあ誰が使う?」
ドク「ここは洞察のあるファントムに、馬車馬のように働いてもらいましょうか(にっこり)」
航「えっ、馬車馬?!ひでー……じゃあ振るよ、8。成功だ」
オペレーター「すると諸君はエントランスで赤外線センサーが仕掛けられていることに気づいた」
洸平「夜の侵入は難しいな」
オペレーター「メインホールは中央にある大きな部屋で、二階部分が吹き抜けになっていて天井には半球状のガラスから日光がさしている。
ここには特に何もない」
航「一応洞察やる……20、うわ、失敗した!」
洸平「えっ……20って出るのかよ!」
ドク「そういうこともありますよ」
航「俺、絶対ギャンブルはやんねー……」
オペレーター「Cは警備室と書かれてる。関係者以外立入禁止だけど、技能によって中をこっそり覗くことはできる」
洸平「スニーキング……俺か! よし、14。成功だ」
オペレーター「室内を覗くと警備員がモニターを見ている。警備マニュアルも見ることができた」
ドク「この部屋には常に警備員が一人いるということですね」
航「じゃあ二階へ上がろう」
洸平「なるほど、二階の回廊からは一階ホールが見渡せるな」
航「ここでまた洞察! ……15、成功だ」
ドク「天井の一部が開けられるようになっているようですね」
洸平「地形順応できれば、登れるってことか?」
航「ふむふむ、上から行ける感じかな? 俺ワイヤーアクションの技能持ってるから、びろーんって行けるかも」
ドク「ミッションイン○ッシブルですね」
洸平「待てよ、そしたら俺たちは外でロープ引っ張って航を支えてるのかよ!」
ドク「ロマンがありませんねぇ」
オペレーター「それは映画の観すぎじゃない?監視カメラが左上の階段と二階ホールの入口にあって、両方の展示室が範囲に入ってる。よく見てね」
航「ちぇ、やってみたかったのに〜」
ドク「二階ホールってのはHってことですね」
オペレーター「……Dの第一展示室、警備員がいるが目当てのものはないようだ」
航「オッケー」
オペレーター「第二展示室、まるで美術館になっている。目利きの技能があればこれが本物だとわかる」
洸平「目利き……誰も持ってねえ!」
ドク「仕方ないですね」
航「洞察はいるかな……8、オッケーだ」
オペレーター「入口足元に赤外線センサー、室内に非常用のブザーがある」
洸平「よし、機械工作の出番だな」
ドク「でも今は警備員がいますから……」
航「こっそりやることができるんじゃない?」
オペレーター「隠密の技能があるなら」
航「じゃあ隠密と機械工作で合わせて振ろう」
ドク「TECですよね……5。機械工作も……10。成功ですね」
洸平「これでブザーを鳴らないようにできたわけだな」
ドク「ええ。次の機械管理室も、見つからないように忍び込まなくては」
洸平「俺の番だな。スニーキング……14、成功だ」
オペレーター「センサーを作動させないようにすることはできるけど、警備員に戻されてしまうから気をつけてね」
航「なら、タイマーかけて作動できないようにできればいいんじゃない?」
ドク「また機械工作で……いきます、12」
洸平「夜の準備ができたってことだな」
オペレーター「Gは警備休憩室」
洸平「スニーキングか……よし14、成功だ」
オペレーター「室内には警備員の予備の服がかけられている」
航「おっ、これ使えそうじゃん」
洸平「閉館時間中に侵入者を見かけたらブザーを鳴らすように……か」
ドク「ブザーは夜に切れるから心配は無用ですね。脱出経路は確保できました」
オペレーター「もうすぐ閉館時間だから、それまで中にいるか一旦外に出るかを決めて」
洸平「中に残っていた方が楽じゃないか?」
ドク「でも、隠れられるでしょうか」
洸平「隠密か、それともデコイを使うならどうだ?」
ドク「デコイが使えるのは戦闘パートだけだそうですよ」
航「あ、俺の擬態は調査パートでも使えるんだね。これ使えば隠れられるかな」
洸平「じゃあ、あとは隠れる場所だな。展示室か土産物コーナーでどうだ」
オペレーター「みんな、ちゃんとプランBも考えておいて」
洸平「制服を盗んで、展示室に隠れておくか?」
ドク「第二展示室は既に三人いますから、見つかると怪しまれそうです」
航「じゃあ……制服を着てから擬態しておく! 振るよ、14! 成功だ」
洸平「置物にでもなって第一展示室に潜んでおくか」
ドク「第二展示室は絵ばかりですから、その方が上策ですね」
オペレーター「さて、閉館時間になった……戦闘パートの始まりだ。入り口はここ、敵の警備員は絵の前に1人、ブザーと奥のオブジェの近くに1人ずついる。
敵の索敵範囲に入ると敵は声を上げて動き始める。警備員が全滅か、絵を持って脱出できれば勝利となる。警備員はAGIが11だからゴーストの次に動く」
航「そっか、アジリティ上げとけば良かった!」
洸平「まあ仕方ない」
航「警備員の制服着ておいて、鉢合わせたら交代にするっていうのはなし?」
オペレーター「戦闘パートでは変装は使えない」
航「えっ、使えないの?!」
さて、緑の若豹たちは大英博物館にどう挑む?
(次回、戦闘パートに続く)
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