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兵庫県道路最高地点の旅

県内自粛

 新型コロナウイルス感染症によって、都道府県境をまたぐ移動の自粛という、今までにない発想による、意識上の仮想関所が構築されるようになった。移動制限は解除されたものの、そこまでお気軽に移動できる感じでもない。しかし、我が兵庫県内、もう結構色々な場所に行っていて、知らない場所も減る一方。どこかに行きたいが、ここという場所が思いつかない。うーん。頭を捻って、思いついた。そうだ!いちばん高いところに行こう!小学生並の発想で今回の目的地が決まった。

兵庫県道路最高地点

 兵庫県の最高峰は、鳥取県との境にある氷ノ山1510m。道路の最高地点もこの氷ノ山の近くを通るところにある。但馬アルペンロード。国土地理院地図では、標高1260m。

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落石注意

 但馬アルペンロードは、砂利道と舗装路が混在している。横行渓谷から大段ヶ平までは舗装路という情報を得て、横行渓谷から山に入った。落石注意という看板が頻繁に見える。注意って言ったって落ちてきたらどうしようもないZE!HAHAHA!と車を進めると、まあ落石だらけ。ギリギリかわせる感じではあるが、直径10~20cmの石がゴロゴロ。中には50cmくらいある落石もあった。あんなもん降ってきたら死ぬ。更に落石でベコベコになったガードレールが不安を煽る。標高が上がるにつれて、広葉樹が減り、針葉樹も樹高が低くなる。山を登っている感じがする。

最高地点

 横行渓谷からの上りは、途中で二手に分かれる。大段ヶ平登山口からハチ高原へと続く道と、最高地点から宍粟市に下る道。今回は、最高地点を目指すため、宍粟市側へと進む。進むとすぐに砂利道になった。ところどころ舗装路もあるが、ほぼ砂利道。舗装路に石が落ちていれば避けるが、ぜんぶ石ならもう避ける必要はない。ある程度平らになっているので、落石のある道より気分的には走りやすい。ただ、沢のように水が流れ深くえぐれている場所もあり、二輪駆動では油断するとすぐにスタックしそうだ。スタックすると遭難確定。しぬ。
 ハマりそうなところは、少しスピードを上げて一気に越えつつ、慎重かつ大胆に進む。10分くらい進んだところで、看板が見えてきた。

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 林道山頂駅。但馬アルペンロードでは、要所要所に「駅」という名称が付けられている。看板によると1250m。空が近く見える。目標地点到着。やったぜ。この先もきっと砂利道だけど、ほぼ下りなので上りよりはスタックし辛いはず。あとは気をつけて下るだけ。

下るだけ

 林道は、文字通り木々の間を通る道だ。人間が整備をしなければすぐに自然に飲み込まれてしまう。そのため、道路の維持管理が大切だ。この日も、伐採作業注意という看板が立てられており、どこかで伐採作業が行われているようだった。そんな道を、スピードを緩めるとタイヤがハマりかねない道を下る。
 「この先伐採作業注意」。Uターンなど到底できそうにない道を下っていると、看板が見え、トラックが見え、ショベルカーが見えた。その先の道を埋め尽くす伐採された枝の山も見えた。細いものから直径5センチくらいのものまで、よりどりみどり。幾重にも積み重なり道は茶色と緑色で埋まる。
 止まるとハマる。進むと最悪車がぶっ壊れる。なら、行くしかない。

祈り

 免許を取るのが遅かったので、まだ3年くらいしか車を運転していないのだけれども、走行中の車の下からあんなに音が響いたことはなかった。バキベキベコガツンゴツンゴリゴリボゴンボゴン。明らかにあかんタイプの音が鳴り響いた。ああ遭難したかな。そんなことを思いながら、ただひたすら山を下る。位置エネルギーを駆使すれば、きっと下山できる。そうに違いない。こういうときは、祈ることと信じることが大切なのだ。きっとそうだ。知らんけど。

 朦朧とする意識の中、だいたい30分くらい進み、道が舗装路になり、下界の道が見えた。助かった。と本気で思った。

ダメ、絶対

 林道は、それはそれは、おそろしいところじゃ。軽い思いつきで、行くところじゃない。悪いことは言わん。もし行くなら、四駆の、SUVにせえ。ああ、車高が、車高が、

大団円

 その後、車が爆発炎上する妄想に囚われながら、大きい木を見に行った。

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 千種町にある中ノ宮神社。樹齢300年以上とされる欅と杉の巨木が2本並ぶ景色は圧巻でした。癒やされた。

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