見出し画像

「クラフトりんご」とは

少し記憶を辿ってみてください。一番最後にりんごを食べたのはいつ頃だったでしょうか?そしてその時、どんな風にりんごを食べましたか?

画像1

「生で食べた」
「ジュースを飲んだ」
「アップルパイを食べたのは」
「レストランでシードルを飲んだ」

いろんなりんごの楽しみ方があります。しかし、りんごには、私たちが想像できないほどたくさんの楽しみ方があるのです。
そのことを知っている人はあまり多くはないでしょう。

現在日本で栽培されているりんごは、主としてそのまま食べることを目的とした品種が多数を占め、近年やっとクッキングアップルとして「紅玉」や「ブラムリー」等の品種が認知され始めてきました。実は、欧米ではりんごは古くから身近な存在で、多くの品種があり、生で食べることにとどまらない様々な用途に使われています。
日本でも国産シードルが増えてきました。こだわりをもったメーカーも出てきて盛り上がりつつあります。アップルパイも広く認知され、タルト・タタンなどのお菓子も少しずつ広がりを見せています。しかし、シードル用品種やお菓子向けのりんごの栽培はまだまだこれから、ということ感じのように思います。

画像2

「生で食べるだけ」ではなく、そして「生食用の訳ありB級品=加工用りんご」でもないりんごをもっと知ってもらいたい。

そんな思いで私たちは、多機能に利用できる、様々な可能性を持ったりんごを「クラフトりんご」と呼び、新たなジャンルを確立しました。

「クラフトりんご」は、既存のいわゆる加工用ではない、より良い製品を作るために選ばれて生産された品種のりんごのことです。以下、分類をご説明していきます。

「パティシエ  専用りんご」

紅玉、ブラムリー、紅の夢、はつ恋ぐりんなど、特に稀少でパティスリー用に適した品種。海外の品種であれば、カルヴィル・ブラン、レネット・デュ・カナダなど。

画像3

※ブラムリー


「サイダーアップル」

訳ありりんごや生産余剰品を利用して作るシードルではなく、味にこだわった本格的なものを作るために適した品種。ヴァージニア・クラブ、バルマーズ・ノーマン、スミスサイダー(柳玉)、ジェネバなど。

画像4

※バルマーズ・ノーマン


「ジュースりんご」

訳ありりんごや生産余剰品利用とは別の、美味しく個性的なジュースを作るのに適した品種。ローム・ビューティー、コックス・オレンジ・ピピン、ワインサップなど。

画像5

※ロームビューティー


「機能性りんご」

切り口が褐変しない、ビタミンCが特に多い品種。千雪、カルヴィル・ブラン、ブラムリーなど。

画像6

※カルヴィル・ブラン


「赤果肉りんご」

ジュースやシードルなどに加工すると、きれいなピンク色になる赤い果肉のりんご。紅の夢、HFF60、ジェネバなど。

画像7

※紅の夢


あれこれ多機能に使える品種が多いので、きっちり分ける必要はないと思っています。新旧様々な品種を栽培・活用することによって、より専門的で多彩なジュースやお菓子、シードルができるはずです。

大量消費向きではなく、あくまでもこだわりを持った生産者・加工者・消費者向けの情報を発信していきます。素材にこだわりのあるパティシエ、本格的・個性的な製品を作るクラフトサイダーメーカー、ジュースメーカー等向けとしてのりんご品種を紹介し、それらのりんごにまつわるあれこれも、併せてご紹介していきます。


最後に

「クラフトりんごラボ」は、仏蘭西菓子研究所〈オフィス・ミカ〉主催の三久保美加を代表として運営しています。フランス古典・地方・行事菓子の歴史・文化的研究、国内外を問わない現地取材を重ねてきた経験をもとに、専門性の高い情報をお届けしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。


クラフトりんごラボ 代表 三久保美加

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?