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【タカマ二次小説】宿り木の果てに#3 訪問者

結姫が遅い朝食を食べ終えた頃、
不意に玄関からチャイムが鳴り響く。

いそいそと玄関に向かった母親が、
パタパタと戻ってくる。

「結姫。お友達よ」

促されるままに玄関に行くと、

そこには、ふたつの世界の記憶を共有し、
ともに旅をした仲間たちがいた。

「結姫っ!!!」

彼女の登場を待ってましたと言わんばかりに、
4人の少年たちが声を上げる。

「みんなっ……」

(よかった……。
みんな、無事だったんだ……)

思わずまた涙ぐみそうになるのを
必死にこらえて、

彼らを家に上げる。

「あ、そういえば、みんなお昼は?
……私はついさっき起きたばっかりだから、
朝ごはん兼お昼ご飯食べたばっかりだけど……」

思い出したように口にすると、
皆口々に「え?もうそんな時間?」と焦り始める。

「しくった……。
さっきコンビニで何か買えばよかった……」

泰造が意気消沈とばかりに呟き、
颯太が申し訳なさそうに詫びる。

「こんな時間にごめん……。
早く結姫に会いたいと思って、つい……」

時間を改めてもう一度来るからと、
帰りかけた彼らを、

結姫が慌てて呼び止める。

「そういう意味じゃないのっ!
私もみんなと早く会いたかった!
来てくれて嬉しいの!
……ねえ、お昼は出前取るとか、
後で一緒に買いに行くとかしよう?
だから帰らないで。
話したいことがいっぱいあるの」

そう言って、
彼らを自分の部屋に招き入れる。

話したいことはいっぱいある。
けれど何から話せばいいのだろう。

そこまで考えて、
ふと思いなおす。

きっと何だっていいのだろう。

心を許し合える、
仲間なのだから――。


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