【タカマ二次小説】取り残された世界で君と見たものは#27 龍の言の葉
「サンちゃんっ……!?」
不意に現れた人影に、
伽耶は思わず声を上げる。
懐かしい幼馴染の幻影が、
ゆるやかに目の前に舞い降りる。
――伽耶。心配かけたな――
そう言って笑う。
おまえが無事で良かったと、
世界が無事で良かったと、そう言って笑う。
――みんなにも、心配かけちまったな……――
そう言って、
きまり悪そうに皆を見回し、
そして覚悟を決めたように口を開く。
――いいか、おまえら。
これが最初で最後だからよく聞いとけ。
オレはおまえらと出会えて、
すっげー楽しかったぜ!以上!――
そう言って、
そそくさと帰ろうとする。
空へ、と見せかけて、
巨大な樹木の前で足を止める。
そして愛おしそうに樹の幹を撫でて、
とびきりの笑顔を浮かべる。
やがて、樹と同化するかのように、
その姿が見えなくなった――。