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【タカマ二次小説】廻り舞台と紡ぎ歌#92 生ける手がかり

高天原。
時は遡り、皆が柊の部屋に集う前のこと。

離れでは、圭麻、那智、泰造の3人が
作戦会議を開いていた。

「欠片を使う以外で、
橋姫が成仏する方法はねーのかよっ!?」

それがなけりゃ、颯太は一生幽閉の身だぞと、
泰造がまくし立てる。

「何せ、橋姫の生みの親である
漆黒の奏者(ハル・シテナ)は、
もう百年以上も前の人間ですからね……。
颯太から話を聞く以外には、手がかりが……」

そこまで口にして、圭麻ははたと気づく。

皆も同じだったのか、一斉に顔を上げ、
すかさず那智が叫ぶ。

「いるじゃねぇかっ!!
当時を知っている人物がっ!!」

かつては暁降の巫女(テル・アシナ)として
この村を率い、
今でも大巫女として存在感を放つ老婆。

彼女なら、橋姫が成仏する手がかりを
握っているかもしれない。

「そうと決まれば、早く行こうぜ、
あの婆さんに会いにっ!」

那智の勢いに押され、皆で母屋へ出向く。

当代の暁降の巫女(テル・アシナ)である
柚希の許可を取り付けて、

彼女とともに、齢百二十を超える老婆、
柊のもとへと向かう。

「大巫女様。――連れてまいりました」

「入るがいい――」

開かれた襖の先に座る老婆に、
圭麻たちは縋るようにねだる。

橋姫について、
漆黒の奏者(ハル・シテナ)について、
美舟について。

どうか、知っていること全てを、
話してはもらえないかと――。



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