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【タカマ二次小説】陽炎~玉響の記憶~#17 航路に沈むGuirty

「負けたって、いったい、何に……」

颯太の言葉に、
那智はとつとつと語る。

彼が高天原で体験したことを。

そして再び、
自責の念を口にする。

「オレのせいなんだ……。
“アイツ”は、オレを逃がすために……」

オレを安心させるために
嘘をついたんだと、

そう語る那智の言葉に、
颯太は静かに首を振る。

「おまえのせいじゃない。
だからそれ以上、自分を責めるな……」

今にも泣き出しそうな
那智の手を、

そっと握る。

むしろ責められるのは
自分の方だと、

颯太は思う。

颯太が那智を
傷つけなければ、

こんなことには
ならなかったのだから。

「話してくれてありがとう。
これでようやく、少しは謎が解けた」

新たな疑問も生まれたけれど、

高天原(むこう)で
何があったのかの片鱗は掴めた。

「なあ、那智。せっかく来たんだからさ、
そろそろまた、アトラクションに乗らないか?」

一拍置いて那智が頷く。

先ほど那智が乗りたいと騒いでいた
ウォーターライドの搭乗口に向かって、

ふたりは歩き出した――。


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