見出し画像

【タカマ二次小説】宿り木の果てに#8 羨望のまなざし

「なんか最近あのふたり、
妙に仲いいよね」

結姫の言葉に、圭麻が頷く。

かつては犬猿の仲だったはずの
颯太と那智が、

気づけばいつも一緒にいるようになったのは、
いつからだったか。

相変わらずケンカは絶えないようだが、
けれどあれはどう見ても痴話げんかだ。

本人たちがどれほど気づいているのかは、
定かではないけれど。

「颯太が私立に行けば、
離れ離れになりますからね。
別れがたいんじゃないですか?」

圭麻の言葉に、
結姫がだろうねぇと頷く。

「那智、いっつも颯太の邪魔ばかりしてるもんね。
颯太が私立に受かったら、どうするんだろ」

「さあ……。そうさせまいと、
頑張っているようにも見えますけどね……」

那智のかまって攻撃に対し、
結局何だかんだで相手をしてしまう颯太を見て、

結姫も笑う。

「颯太も、
なんだかまんざらじゃなさそうだもんね」

いいなぁと、そんな呟きが、
不意に漏れる。

「結姫……?」

まさか聞かれているとは
思っていなかったのか、

結姫が誤魔化すように、
慌てて問い返す。

「えっ?なにっ?」

「……いえ、何でも」

ここは知らないふりをするのが
良さそうだとそう踏んで、

圭麻は穏やかに微笑む。

颯太と那智を遠目に見やる結姫の顔が、
どことなく寂しそうに見えた――。


いいなと思ったら応援しよう!