見出し画像

【タカマ二次小説】陽炎~玉響の記憶~#18 予定調和のアンサンブル

颯太と那智が
レインボー・ファンタジアランドに
行った翌週の土曜日。

ついに合唱コンクールの
全国大会が本番を迎えた。

ホール内の空気は
ピンと張りつめていて、

痛いくらいだ。

「なんか見てる方が緊張しちゃう……」

さっきからそわそわしている
結姫の隣で、

隆臣がそうか?と呑気に口にする。

やがて、開演のブザーが鳴り、
開会式が始まった。

地区予選を見事突破し、
全国から集まってきた精鋭たちに、

実行委員会が
これまでの健闘を称えるとともに、

今日、このステージで
思う存分力を発揮し、

今までの集大成を見せてほしいと、
挨拶を述べる。

そしてついに、
最初の出場校がステージに現れ、

ゆるやかにピアノ伴奏が始まった。

「うちの学校、何番目だ?」

泰造の問いを受け、
圭麻がプログラムを辿っていると、

7番、と颯太がすかさず割って入る。

「……さすがですね」

「那智から散々聞かされたからな」

覚えたくなくても覚えるよ、と
語るその声からは、

そのステージを
今か今かと

心待ちにしている様子が
伝わってくる。

その様子がなんだか
微笑ましくて。

青春ですね、と、
圭麻はそっと呟いた――。


いいなと思ったら応援しよう!