見出し画像

【タカマ二次小説】宿り木の果てに#2 戻ってきた日常

「あら、結姫、起きたの?
今日はずいぶんゆっくりだったのね」

居間に降りると、
母親が柔らかに笑う。

新聞を読んでいた父親も顔を上げる。

「どこか体調でも悪いのか?
無理はするなよ」

その隣では、いつものように
弟たちが取っ組み合いのケンカをしている。

「お母さん、お父さん……。
光介、陽一、陽二……」

気づけばまた泣き出していた。

当たり前の毎日。
当たり前の日常。

それがこんなにも大切で、
こんなにも愛おしくて。

(隆臣が、救ってくれた……)

大切な日常。

これからは
自分が守らなければいけない日常。

急に泣き出した結姫を、
皆が心配そうに覗き込む。

慌てて手の甲で拭っても、
零れ落ちる涙は止められなくて。

「ごめんなさいっ……。
怖い夢を見ただけなのっ……」

そう言って取り繕おうとした結姫を、
母親がぎゅっと抱きしめる。

大きくて柔らかなぬくもりが、
とてもあたたかかった――。


いいなと思ったら応援しよう!