
【タカマ二次小説】宿り木の果てに#5 告白
狭い一室で、結姫が語る言葉に、
皆、静かに耳を傾ける。
必ず帰ると、また会おうねと、
そう口にした言葉は、実は「嘘」だったこと、
天照さまの代わりに、
自分がスサノヲに
食べられるつもりだったこと、
けれど隆臣は、
自分を食べることも、
天照さまを食べることも、
選ばなかったこと、
隆臣が燃え盛る太陽に身を投じて焼かれ、
世界を救ったこと――。
とつとつと語る結姫の言葉に、
皆が愕然とした表情を浮かべる。
「嘘、だろ……?
そんなの、嘘、だよな……?」
すがるような那智の言葉に、
結姫は涙ながらに首を振る。
語った言葉は、
何一つ、嘘偽りのない真実で、
けれどその真実が、
皆を悲しませている。
「ごめんなさい……。
本当に、ごめんなさいっ……」
泣いて謝る結姫の肩を、
那智がぎゅっと掴む。
「なんでおまえが謝るんだよ……!?
おまえは命がけで世界を守ろうとしたんだろ……!?
大事なものを失って、それでもここに帰ってきたんだろ!?
だったらっ……!!」
謝らなければいけないのは、
自分たちの方だと、
そう言って涙をこぼす。
「そーだよ……!!
オレたちが、気づけなかったからっ……」
泰造も声を上げ、
圭麻と颯太も頷く。
「ふたりの言う通りです。
オレたち、ずっと一緒にいたのに、
それなのに、気づくことができなくて……。
ただ奇跡を祈ることしかできなくて……」
「本当にごめん!!何もできなくてごめん!!
オレがもっと早く、真実に気づいてたらっ……!!」
そう言って、
皆、口々に謝罪の言葉を口にする。
やがて、
部屋中が「ごめん」の大合唱になって、
結姫の胸に、
じんわりとあたたかいものが込み上げてくる。
帰ってきてよかったと、
生きていてよかったと、
そんな思いが込み上げてくる。
「みんなっ……。ありがとうっ……。
またみんなに会えて、よかったっ……!」
口々に自分をねぎらい、
いたわり、謝るみんなに、
結姫は精いっぱいの感謝を伝える。
やがて溢れる涙は、
笑顔へと変わっていった――。