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【タカマ二次小説】宿り木の果てに#11 旅立ちの日に

やがて訪れた卒業式当日。

体育館で盛大に
執り行われた式が終わり、

皆が教室に戻ってくる。

これから、
最後のホームルームが始まるのだ。

皆、式の余韻を胸に、
涙目で語り合ったり、

卒業証書を筒に入れたり、
卒業アルバムを懐かしそうに眺めたりしている。

「さあ、皆さん。
これから最後のホームルームを始めますよ」

長門先生が教壇に立ち、
皆を見回す。

そして黒板に向き直ると、 白いチョークで丁寧に
「門出」という文字を書いていく。

「皆さんは、今日、この神代小学校を卒業します。
この学校の門をくぐるのは、今日が最後です。
門を出たら、きっとそこには、
新しい世界が広がっていることでしょう。
楽しいこと、辛いこと、たくさんあるかもしれません。
けれど、忘れないでください。
この6年間、この学校で学んだこと。
出会った仲間たち。そして、私たち教師が、
いつでも皆さんを応援していることを」

教室の至るところから、
すすり泣く声が聞こえてくる。

不意に、学級委員の但馬(たじま)と
大隅(おおすみ)が立ち上がり、

教壇の前に進み出ると、
長門先生に色紙と花束を手渡す。

「先生、今まで、ありがとうございましたっ……!!」

その言葉に続くように、
皆でありがとうございましたと声を揃える。

まさかこんなプレゼントが用意されているとは
思ってもみなかったのか、

目を丸くした長門先生が、
涙交じりの笑顔で応える。

「みんなっ、ありがとうっ……!!」

やがて、感動的なホームルームも終わり、
皆が名残惜しそうに教室を出て行く。

校門の前で、
めいめいに写真を撮ったり、
雑談を交わしたりした後で、

一人、また一人と、
保護者や友人とともに学校を後にする。

那智もまた、母親とともに、
神代小の校門を後にした――。


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