【タカマ二次小説】それは蛍のように#15 邂逅
〔第15話〕
「……確かこの辺りなんだけどな……」
空遊機(エア・オート)から降りた颯太は、
辺りを見回して呟く。
淡く揺らめく碧い光。
そして脳裏に響く懐かしい声。
……確信があったわけではない。
けれど、あの声は。
(那智に……似ていた……)
都(リューシャー)にいる"彼女"の声よりも
1トーン低い、少年の声。
(嫌な予感がする……)
天珠宮から降り注いだ
時の石(ツァイト・ストーン)の欠片。
異なる時空を引き寄せるというその石と、
川に棲むという鬼女。
そして、本来ならば聞こえるはずのない声。
それらが一本の糸で繋がっているような気がしてならない。
そんな颯太の不安を見透かしたかのように、
川面から岸に向けて急に強い風が吹いた。
あまりの突風に、颯太は思わず目を伏せる。
風が止み、顔を上げた瞬間。
そこには見覚えのある人影が立っていた。
彼は水の上に佇み、颯太を見つめている。
まるで、幽霊のように。
「那智……」
颯太が名を呼ぶと、
少年は嬉しそうに笑う。
「颯太……。やっと逢えた……」
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