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【タカマ二次小説】夢で逢えたら(初版)#10 あなたへのラブコール
「もしもし、那智?」
受話器の向こうから颯太の声が聞こえる。
那智の心臓は今にも破裂しそうだ。
隣にいる結姫が口パクで「頑張れ」と言っている。
「あ、あのさ、明日、暇か?」
「え?暇だけど……」
「じゃあさ、遊園地行かないか?」
「遊園地……?」
「結姫が招待券をくれたんだ。
だから……その……ふたりで行かないか・・・?」
「え?ふたりでって・・・?」
「……だからっ、オレとおまえのふたりで。
……いいだろ?」
しばしの間、沈黙が流れる。
那智は緊張と不安で胸がいっぱいになる。
「ダメか……?」
断られるのが怖い。
でも沈黙はもっと怖い。
不安で張り裂けそうになりながらも、
返答を待つ。
すると、意外な言葉が返ってきた。
「ダメじゃないけど……。なんでオレなんだ……?」
「え……?」
「他に誘いたいヤツがいるんじゃないのか?」
「どういう意味だよ……?」
「だから、隆臣と一緒に行きたいんじゃないのか?」
「な、なんでいきなり隆臣が出て来るんだよっ!?」
極度に緊張していた那智は、
突然思いもしない名前を出されて、
半ばパニックになる。
「なんでって……。好きなんじゃないのか……?隆臣のことが」
「オレは……」
好きなのは、隆臣じゃない。
颯太なのに。
そんな想いが素直に言葉にならない。
「おまえと一緒に行きたいんだよっ。
だからこうやって誘ってんだろ?文句あんのかよ?」
「え、あ、いや……」
歯切れの悪い返事にやきもきしながらも、
明らかな拒絶が無いことに、那智はほっとする。
「じゃあ、明日の朝10時に結姫の家の前で待ってるからっ。
絶対来いよ!いいなっ!?」
わかった、という颯太の言葉を聞き届けて、
勢いよく受話器を置くと、
那智はへなへなとその場に座り込んだ。
「よかったね」
振り返ると、結姫がにこにこと笑っていた。