【タカマ二次小説】陽光の届かぬ塔の雲雀#26 無力な姫君
「いやぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!」
私は声の限りに叫ぶ。
この世界がそのまま残ってほしい。
叔母様が死ぬのも、自分が死ぬのも嫌だ。
恐ろしくてたまらない。
けれど、だからといって、
こんな結末を望んでいた訳じゃない。
彼女の犠牲を望んでいた訳じゃ、
決してない。
「結姫さんっ!!!!!」
(ダメよっ!!ダメっ!!
そんなの、絶対にダメっ!!)
駆け寄ろうとしても、
足がすくんで動けない。
動けたところで、
何ができるわけでもない。
本当に自分は無力だと、
そう思う。
ただ、見ていることしかできない。
ただ、黙って見ていることしか、
それしかできない。
(せめて……)
時間を止めることができたらいいのにと、
強く思う。
時間を止めて、全てを夢に変えて、
そうして朝を迎えたい。
あれは全て夢だったのだと、
笑って言える明日がほしい。
そんな奇跡が起こればいいのにと、
心の底から強く願う。
(お願いっ……。どうか、どうか、
奇跡が起こらんことをっ……)
必死にそう祈ることしか、
私にはできなかった――。