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【タカマ二次小説】月と星のセレナーデ#3 トナカイと淡雪のロンド 

――ごめん、気づくの遅れた。
従姉だよ―― 

翌日になって、
ようやく颯太からメッセージが届く。

クリスマスの朝、
気怠さを抱えながら、

那智はベッドでスマホをいじる。

(イブに会う従姉ってなんなんだよ・・・・・・)

毒気づく那智の気持ちには気づかずに、
メッセージが続く。

――それより、明後日会えないか?
話したいことがあるんだ――

(それよりってなんだよ、それよりって・・・・・・)

自分にメッセージを返すより、
「従姉」と過ごすことを選んだのだ、彼は。

そんな彼が話したいこと。

彼女ができたことの報告だろうか。
そんなもの、聞きたくはない。

既読スルーを決め込む那智に、
再びメッセージが入る。

――明後日、那智の家に行くから――

(なんで、今日じゃないんだよ・・・・・・)

24日でも25日でもなく、27日。

(昨日は塾だって言ってたくせに・・・・・・)

イブが無理なら、
せめてクリスマス当日に会おう。

そう思っていたのに、
そのどちらも蔑ろにされた。

那智はベッドに横になったままで、
机の上に置いた包みを見やる。

――今日じゃ、ダメ・・・・・・?――

そんな言葉を打ち込んでみたものの、
送信をタップできない。

一度文字を全部消して、
もう一度同じ文字を叩く。

けれどやっぱりタップできなくて、
全て消し去る。

「颯太のバカ・・・・・・」

枕に顔を埋めて呟く。

違う。そうじゃない。
バカなのは自分なのだ。

現実に向き合うことが怖くて、
逃げてばかりいる自分なのだ。

――今日なら良いよ。神代公園で待ってる――

そんな言葉を打ち込んで、
ようやく送信をタップする。

(明後日までなんて、待てるかよ・・・・・・)

決着は、今日つける。

那智はおもむろにベッドから立ち上がると、

机の上に置いた包みを掴んで、
トナカイのストラップがついた鞄に入れる。

(今日が、最後かもしれない――)

今日で、葬り去らないといけないかもしれない。

何度消しても降り積もる、
この胸の中の想いを――。


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