騒音振動被害で訴えて儲けようとしても難しいって話
最近の環境調査で結構多いのが「騒音」や「振動」の調査なんですけど、
その調査対象のほとんどが公共事業だったりします。
これ、モメるんですよねぇ。
いわゆる、補償問題で。
実際、工事などの騒音や振動による被害ってのは結構キツくて、
「こんなのが毎日だと大変だろうなぁ。」
って現場も結構あって、
勿論、そんな現場はどうにかしないといけません。
なので、
そういった場合は騒音や振動の対策なりをするんですが・・・
「被害は大したことないけど、訴えて儲けよう!」
って考える人が一定の割合で出てきます。
でも、無理ですよ。
って話。
基本的に行政はお金で解決ってのを嫌がります。
考えてみれば当然の話で、
「何であの人は補償するのに、ウチは駄目なの?」
ってなっちゃいますから。
なので、
「お金を多く払ってでも、お金で解決はしない。」
という、よく分からない方法をとります。
例えば、ある建設工事の騒音苦情に対しては、
1.工期に間に合わなくなってでも、一旦、工事を止める。
2.実際に調査をして、被害があるかどうか調べる。
3.被害が抑えられるように物理的な対策(遮音壁とか)をする
4.被害が出る時はすぐ止められるように、工事のモニタリングをする。
などなどの流れでした。
僕ら調査する仕事にとってみれば、ありがたいんですけどね。
無料で仕事するわけでも無いので、売上げが上がりますから。
でも、それって出処は税金なんですよ。
普段、
「政治家や公務員は税金を無駄使いし過ぎだ!」
なんて言う人いますけど、
そういう人に限って、お金目当てで苦情を言うんですよ。
酷い人になると、
「補償するように、あなたから言ってね」
なんて言ってきますから。
実際、そんなこと言われても無駄で。
というのも、僕らにくる依頼ってのは、
「被害があるかどうか調べること」
ではなくて、
「被害が出るとしたら、どうやったら被害が抑えられるか」
なんですよね。
ちなみに、最初から被害が出そうな場合は、事前に調査したりします。
で、
現況がどれくらいで、
予測でどれくらいってのをやってます。
しかも、影響をいくらか上乗せで予測してます。
その上で対策をしてるんですよ。
尚更、訴えて儲けようってのは難しい。
また、事前に調査をしてる場合は、
一番被害が出そうな家には、僕らが前もって伺ってるってことですので、
そういう家の人は知ってるんですよ。
「これは無理だな」って。
なので、やたら文句言ったり儲けようとするのはそれ以外の人が多いです。
もう1つ、別の観点から。
それは『環境基準』です。
詳しい説明は省きますが、環境基本法で定められた環境基準ってのがあるんですが、これが問題だったりします。
まず、田舎の方とか、基準が無かったりします。
正しくは、「地方自治体が基準を適用する地域に指定していない」です。
他にも、
「基準はあるけど、最初っから基準を超えてる」とか、
「指定されてる基準が高すぎて、基本的に基準を超えない」とか、
基準自体が意味をなしてないこともあります。
その上、この基準の評価方法ってのが、
『等価騒音レベル』
ってのを使うんですが、
ちょっと違うんですが、言ってしまえば平均みたいなもんです。
平均ってことは、
『多少うるさくしてても、他の時間静かにしてればOK』
ってのも事実上可能です。
みなさんご存知の通り、工事だってずっとうるさいわけじゃないですから。
いろいろ出来ます。
(ここらへんは、いろいろ議論になったりしてますが・・・)
で、別に規制基準ってのもあるんですが、(これも詳細は省きますが)
これは、事業者に対して規制をかけてるものなので、
例えば、その工事現場の敷地内に対して制限をかけます。
なので違反してても、
「ちゃんとしなさい!」
と業者が怒られるだけです。
被害を受けてる人達にはあまり関係がありません。
(因果関係はあったりしますが、
被害を証明するものではないということです)
もとより、環境基本法は、私達の生活環境を守る為の法律ですので、
『環境を守る為』に対してしか利用できないんですよね。
個人的に訴えて儲けようとするのには合わない法律なんです。
まあ、そうでないと困るんですけど。
最後にもう1つ。
工事業者の問題もあります。
ごく稀ですが、不誠実な業者ってのがいます。
「やり抜けてしまえ」
と言わんばかりにガンガンやって、指導等されるころには、
「すいませんでしたー。でも、もう終わりましたんで・・・」
みたいなことをするのもいます。
逆に、こういう方が訴えて勝てる可能性があるんでしょうが、
この場合、被害の事実関係を証明するのが大変なんですよ。
早めの適切な対応が大事ですね。
で、実際は、ほとんどがこのパターンになるんですが、
業者が誠実に対処するパターン。
いや、まあ、良いことなんですが。
公共事業の場合で、被害がどうのこうのってなれば、
行政が対処しなければなりません。
「騒音被害を出さない為に、これこれが必要なので作ります」
とか言われたら、やらないといけない。
でも、業者はタダではやらない。
お仕事が頂けるわけです。
業者からしてみれば、
「行政が住民にお金で解決してしまう」
より、
「騒音対策工事を発注してもらう」
方が得なんです。
しかも、予算組みがあるので、行政は追加でってのはあまりしません。
なので、最初から、そこらへんを想定した工事発注をしないといけない。
そういう流れが決まってるんです。
ちなみに、僕らのやってる事前調査とは
『そこらへんを想定』する為の事前調査だったりします。
「遮音壁が必要ですよ」とか、
「トラックはあっちの道が良いですよ」とか
予測して報告書にまとめます。
何か、裏でコソコソと税金で儲けてるように見えるかもしれませんが、
税金を無駄に使うことのないよう、
キッチリやっていく為の最小限のリスクだと思ってもらった方が良いです。
訴えられて、際限なく税金を取られるよりマシです。
正直、ここらの仕事の利益は薄いですしね。
あと、個人的にこういう調査は面倒なのでやりたくないです(笑)
ま、仕事だからやりますけどね。
改めて、
実際、騒音振動被害の現場ってのは、結構キツイです。
なので、ホントに被害があるのなら、それは解消すべきだと思います。
だからこそ、訴えて儲けようってのは出来れば止めて欲しいし、
多分、無駄です。
被害の感じ方は人それぞれです。
コンビニで騒ぐ子供を主婦が迷惑がり、
ファミレスで盛り上がる主婦をサラリーマンが迷惑がり、
呑み会帰りのサラリーマンを子供が迷惑がり。
「耐えられない!」と思い込めば、そうかもしれません。
難しいところです。ホントに。
今一度、冷静になって考えて欲しいです。
あ、
でも、耐えなくても良いんですよ。
無理はしなくていいです。ホント。
僕らの仕事も増えますし(笑)
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