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2024年個人的ベスト映画ランキング続きモノ賞+特別賞

はじめに

昨年に引き続き、「前作を観ていないと分からないかも」の“続きモノ賞”、そして、諸事情でランクインはしないけど、面白い一作として“特別賞”をご紹介したいと思います。

ランクインレベルの豊作もチラホラ。

続きモノ賞

2024年に公開された、おすすめの続きモノたちをご紹介。
続きモノ”という言葉は個人的な用語なので悪しからず。

①『アクアマン/失われた王国』

「かつては敵同士だったお前と共に。海のお調子者、アクアマンによる大スペクタクル・アドベンチャー」

【あらすじ】
南極の氷河に眠る邪悪な海底王国に、海の生物を操るアクアマンが、5億の海の仲間とともに立ち向かう!監督×主演を『ワイルド・スピード』の最強コンビで放つ海中から陸、空へと広がる完全未体験のアクション・エンターテイメント!はるか昔、氷河の奥深くに“失われた王国”が封印された。世界を滅亡させる力を持つ古代兵器、ブラック・トライデントとともに——。しかし今その封印は解かれ、かつてない邪悪な力が解き放たれてしまう。立ち向かうのは、海の生物を操る海底アトランティスの王であり、ユーモア溢れるお調子者、アクアマン。5億の海の仲間とともに、かつてない脅威から海と地上の世界を守れるのか!?

アクアマン/失われた王国 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

【この作品を観る前に】
・アクアマン(2019)

【総評】
1作品目は、ジェームズ・ワン監督、『アクアマン/失われた王国』!

バットマンやスーパーマンで有名な「DCコミックス」から誕生した、あらゆる海の生物を操ることのできるヒーロー、“アクアマン”シリーズの2作品目であり、第一期DCユニバースの最終作。とてもキュートな大男、ジェイソン・モモア演じる“アクアマン”が、陸海空と派手なアクションを繰り広げる、2024年開幕直後の映画館映画です。

「前作の敵であったキャラクターが、今作では味方に」、「1作目の伏線を回収する2作目」、など、お決まりで分かりやすい、まさにハリウッドが作る、“コミックス”の実写版。前作よりも、エンタメの面では格段に面白くなっており、スケールもパワーアップ。

中でも“アクアマン”の象徴、トライデント(槍)のアクションが、前作よりも勢いよく、迫力が増して面白い。作品後半の戦闘シーンは、手に汗握る出来になっていますので、是非。

2025年には新しく、ジェームズ・ガン監督による『スーパーマン』の公開が決定してるので、そちらも楽しみなところです。

②『デッドプール&ウルヴァリン』

「不死身✕不死身と、愛すべきクソ野郎たち。20世紀フォックスに送る盛大な感謝のお祭り映画」

【あらすじ】
普通のヒーローに飽きてない?戦う動機は超個人的、破天荒でなんでもアリの“クソ無責任ヒーロー”デッドプールに世界の命運は託された!?予測不可能なミッションのカギを握るのは…よりにもよって“あの爪野郎”。クソ真面目で“キレるとヤバい最恐アウトロー”ウルヴァリンに助けを求めるが…。 全く異なる個性の“混ぜるな危険”なR指定ヒーロー2人が暴れまわる!

デッドプール&ウルヴァリン - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

【この作品を観る前に】
・『X-メン』(2000)
・『X-MEN 2』(2003)
・『X-MEN:ファイナルディシジョン』(2006)
・『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)
・『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)
・『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)
・『デッドプール』(2016)
・『LOGAN ローガン』(2017)
・『デッドプール2』(2018)
・『ロキ シーズン1』(ドラマ・2021)
・他、MAVEL作品

【総評】
2作品目は、ショーン・レヴィ監督、『デッドプール&ウルヴァリン』!

この作品は、もう2024年夏、思い切り楽しませていただいた作品の一つです。最高のオープニングアクトから始まり、「やっとこの二人が絡み、そして共闘に至ったか!」と感動もしてしまいました。

【この作品を観る前に】欄には、おびただしい量の作品数を上げさせていただきましたが、それもそのはず。今作は、観る前にどれだけの作品を予習できるか、で面白さが変わってきてしまう作品です。なので、主観だとこれだけの作品は、最低でも予習しておくと100%が200%面白くなること、間違いなし。

自分の世界と大切な人を守るため、残虐さと不死身のアドバンテージで敵に立ち向かう、ヒーローっぽくないヒーロー達。MAVELにケンカを売り、かつての『X-メン』シリーズなど、数々のアメコミ実写作品を配給していた、20世紀フォックス社への感謝を存分に込めた、ドタバタムービー。

意外な奴から、ビックリするようなゲストキャラまで勢ぞろいの、お祭り作品となっています。

③『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』

「生と死の狭間で振り回される珍道中。一級品アクションへ参戦するは、史上最強の“殺し屋”」

【あらすじ】
殺し屋協会に所属するプロの殺し屋コンビ、杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)が宮崎県に出張。到着早々ミッションをこなし、バカンスを満喫していたが、ちさとはあることに気づく。今日は相棒まひろの誕生日、しかしこの後は次の殺しが入っていてプレゼントを用意する暇もない。内心の焦りを隠しつつ、ターゲットがいる宮崎県庁に向かう。チンピラを一人消せば終了する簡単な仕事のはずだったが、指定された場所にいたのはターゲットに銃を向けている謎の男。たった一人で 149 人の命を奪い、150 人目を手にかけようとしている“史上最強の敵”が、ちさととまひろを絶体絶命のピンチに追い詰めるのだった・・・。

ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

【この作品を観る前に】
・『ベイビーわるきゅーれ』(2021)
・『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023)

【総評】
3作品目は、阪元裕吾監督、『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』!

2023年には2作目、続けて2024年には3作目が公開され、インディーズから始まったシリーズも、もはやメジャーの風格を身にまとい、今や、邦画アクションの楽しさと素晴らしさを体現する作品の一つとなりました。

『ベイビーわるきゅーれ』シリーズが確立させた、日常描写のグダグダ感から一転、殺しのアクションに切り替わる、そのジェットコースターのような緩急が、今作でも遺憾なく発揮されています。さらに今作は、これまでのガンアクションに加え、ナイフアクションがパワーアップしていた印象。より相手を近くに感じる、ハラハラとした面白さが割り増しに。

今作のゲストキャラは、池松壮亮さん演じる、“史上最強の殺し屋”。敵ながら、どこか何か、常識が抜けているシリアルキラーの演技が光ります。ゲストキャラも増え、映画としてのボリュームもアップし、ますます盛り上がる『ベビわる』シリーズ

2024年はドラマ、『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ』も放映されましたので、そちらも是非。

④『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

「強烈で劇的な誕生を果たした“ジョーカー”。世界各国で賛否両論、監督と彼がたどり着いた帰結点」

【あらすじ】
理不尽な世の中の代弁者として時代の寵児となったジョーカー。彼の前に突然現れた謎の女リーとともに、狂乱が世界へ伝播していく。孤独で心優しかった男の暴走の行方とは? 誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界——彼は悪のカリスマなのか、ただの人間なのか。ジョーカーは一体誰なのか?衝撃のラストに備えよ。

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

【この作品を観る前に】
・『ジョーカー』(2019)

【総評】
4作品目は、トッド・フィリップス監督、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』!

2019年に、その残虐さとカリスマ性で映画界に一大ムーブメントを起こした、『ジョーカー』の最新作であり、結末の物語。恐らく監督が導き出した、“ジョーカー”と成った男の終着点は、世界で賛否がはっきりと分かれる、まさに問題作となりました。

前作からの続編である、ホアキン・フェニックス演じるアーサーは、5年前と同じ体躯、表情で観客である我々を迎えます。その時点で、ホアキンの今作に対する役作りが、素晴らしすぎると感じることができる。そして、今作は、レディー・ガガ演じる“リー(ハーレイ)”がアーサーの前に現れ、アーサーは彼女に深い愛情を持ち、心酔していきます。

自分が感じたこととしては、この作品は、世間の求める大多数に対しての『ジョーカー』という作品では決して無い、ということ。1作目の『ジョーカー』は、誰が観ても良すぎた。良すぎたからこそ、監督は、アーサーという人間を改めて描き、そしてこの作品によって終結させたのだと感じました。

その反骨精神が、個人的には賛成で有り。期待のし過ぎは禁物です。

⑤『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』

「血が沸き立つ、コロセウムの激闘が再び。瓦解し、衰退したローマ帝国を復興へ導くために」

【あらすじ】
ローマ帝国が栄華を誇った時代―。ローマを支配する暴君の圧政によって自由を奪われたルシアス(ポール・メスカル)は、グラディエーター(剣闘士)となり、コロセウム(円形闘技場)での闘いに身を投じていく。果たして、怒りに燃えるルシアスは帝国への復讐を果たすことができるのか。

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

【この作品を観る前に】
・『グラディエーター』(2000)

【総評】
5作品目は、リドリー・スコット監督、『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』!

2000年にアカデミー賞作品賞を受賞した、ラッセル・クロウ主演、『グラディエーター』の正当な続編。20数年の歳月をかけ、昔は表現が難しかった描写や戦闘が目新しく、ただ、過去の『グラディエーター』の熱量と興奮はそのままに。過去作を知っていても知らなくても楽しめる超大作です。

何と言っても、前作からかなりの歳月が経っているので、CG技術に関しては目を見張るものがあります。オープニングアクトである、要塞に攻め込む何隻もの船や、戦闘シーン。さらに、どう猛な動物たちの複雑な動きなどは、前作を観てから今作を鑑賞すると、確実に進化している点と言えるでしょう。

そして、ストーリーは前作よりも分かりやすくなったような気がします。前作の古代ローマのドロドロした、どちらが正義か、敵も悪いやつではないよな、といった雰囲気から、今作は敵である皇帝2人が圧倒的に頭が悪いので、誰が観ても「うわ、こいつら最低だわ」と感じ、主人公サイドの正しさと、後半にかけての爆発力が観る側に爽快感を与えてくれます。

R-15指定なので、バイオレンスやグロテスクが少しありますが、このぐらいやってくれた方が、歴史における現実の正確な残虐さが出て、個人的には全然良い、やりすぎでも全然無いと感じました。むしろ最高です。


以上が、2024年、5作品の続きモノ賞でした!

特別賞

続いて、諸事情によりランクインこそしないものの、ランクインするレベルで面白い、興味深かった作品を、“特別賞”としてご紹介。

➊『傷物語-こよみヴァンプ-』

「これは、誰も救われることの無い物語。地獄へと足を踏み入れる、男子高校生の現代怪異譚」

【あらすじ】
高校二年生と三年生の狭間である春休み。阿良々木暦は、血も凍るような美女と遭遇する。彼女は自らを、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと名乗った。四肢を失い死に瀕していたキスショットは、暦に助けを求める。恐怖と混乱、そして葛藤の末に、暦は彼女を救うため自らの血を与え──そして次に目が覚めたとき、暦はキスショットの眷属となっていた。 暦は吸血鬼から人間に戻りたいと望む。だが、そのためにはキスショットが力を完全に取り戻す必要があった。交渉人をつとめる忍野メメが間に立ち、暦は失われた彼女の四肢を奪い返すべく、吸血鬼退治の専門家三人に挑むことになる。高校生活最後の、地獄のような春休みは、このときまだ始まったばかり──

傷物語-こよみヴァンプ- - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

【総評】
特別賞1作品目は、尾石達也監督、『傷物語-こよみヴァンプ-』!

特別賞である理由は、再編集版であるという点からです。
過去、『傷物語-熱血篇-』(2016)、『傷物語-熱血篇-』(2016)、『傷物語-冷血篇-』(2017)、と劇場三部作で公開された作品を凝縮し、一本にまとめた本作は、西尾維新氏原作の『物語』シリーズのエピソードゼロ

『物語』シリーズは、その設定の面白さと、西尾氏による巧みな言葉遊びが魅力的な人気シリーズですが、その内容は、言うなれば“現代版怪談話”です。今作は、主人公である男子高校生が、死にかけの吸血鬼に出会い、恐怖と痛みを伴う、地獄のような日々を体験していくこととなります。

ストーリーは小説が原作であり、“怪談話”がメインなので、内容も会話がメインです。ただ、この作品は、その会話の魅せ方が上手い。ただ話をしている中に、細かくサブリミナルで小説の一文を入れたり、暗転や心理描写を入れるなど、観客側に飽きを与えずに、作品を鑑賞させる工夫が随所に差し込まれています。

そして、“怪談”なので、人間が恐怖を抱くような対象が、映画内にいくつも散りばめられているのも、面白い点の一つ。急な静寂や暗転などの現象、長いエスカレーターのような物的恐怖、そして、傷つき流血するような痛み。この作品は、根源的恐怖をアニメーションで描くことで無理やりポップに映している怖い作品です。

総じて今作は、アニメーションとしての新境地を楽しめる作品です。観た事の無いアニメ、を観たい方は、間違いなく楽しめると思います。

➋『どうすればよかったか?』

「このタイトルは果たして誰に向けられたものか。突きつけられるは、20年間をカメラに収めた現実」

【あらすじ】
面倒見がよく、絵がうまくて優秀な 8 歳ちがいの姉。両親の影響から医師を志し、医学部に進学した彼女がある日突然、事実とは思えないことを叫び出した。統合失調症が疑われたが、医師で研究者でもある父と母はそれを認めず、精神科の受診から姉を遠ざけた。その判断に疑問を感じた弟の藤野知明(監督)は、両親に説得を試みるも解決には至らず、わだかまりを抱えながら実家を離れた。 このままでは何も残らない——姉が発症したと思われる日から 18 年後、映像制作を学んだ藤野は帰省ごとに家族の姿を記録しはじめる。一家そろっての外出や食卓の風景にカメラを向けながら両親の話に耳を傾け、姉に声をかけつづけるが、状況はますます悪化。両親は玄関に鎖と南京錠をかけて姉を閉じ込めるようになり……。 20 年にわたってカメラを通して家族との対話を重ね、社会から隔たれた家の中と姉の姿を記録した本作。 “どうすればよかったか?” 正解のない問いはスクリーンを越え、私たちの奥底に容赦なく響きつづける。分かりあえなさとともに生きる、すべての人へ向けた破格のドキュメンタリー。

どうすればよかったか? - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

【総評】
特別賞2作品目は、藤野知明監督、『どうすればよかったか?』!

特別賞である理由は、私自身、この作品に順位をつけたり、評価をすること自体がおこがましいと思ったからです。
2024年末に突如として話題となった、実際の家族に起きた物事を、その生活風景とともに「そのまま」映した、衝撃のドキュメンタリー作品

私は、恥ずかしながらこの作品を鑑賞するまでは、「統合失調症」という病気がどんなものか、全くの無知識でした。ただ、そんな何も知らない私でも、この病気がどんなものか、この病気の症状でどういったことが起きるのか、そして、その病気を抱える人物はどうなっていくのか、画面を通して、リアルを突き付けられ、知ることができました。

鑑賞する中で誰しもが感じる、症状が発症した家族の在り方の異質さ。症状が出た姉を、両親は医療機関に何度も診せず、発症した姉を外に出さぬように、家に監禁状態にしていきます。「うちの子は病気なんかじゃない」、「そんな病気であるわけがない」。家系と家柄、世間体を気にする両親のもと、姉の症状は、どんどんと悪化していきます。

夜中に意味の分からないことを叫び出し、暴れだす姉。
頭を抱え、娘の病気をそれでも認めない両親。
両親に何度も説得するものの、説き伏せられてしまう弟。

「どうすればよかったか」

タイトルにもなっているこの言葉は、監督でもあり、症状が発症した姉の実の弟である彼の言葉です。
この言葉は、監督が自分自身に向けて放ったものか姉を閉じ込めた両親に向けてのものか症状を発症した姉に向けてのものか、それとも、作品を観ている我々に向けられたものか

テレビでなく、映画館でこの作品を公開する意味を、作品を通して、一度感じていただきたいです。

各賞総評

以上が、2024年の続きモノ賞、特別賞でした。
続きモノは他にも、『ヴェノム』シリーズの新作、『SAW』や『エイリアン』シリーズの回帰作など、話題になった作品もたくさんありました。
特にオススメなのが、上記に挙げた5作品なので、是非。

また、特別賞作品は、本来ならランクインしてもおかしくないレベルの作品たちなので、そちらも是非。

以上、番外編でした🦀

【くらぶ】


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