50歳のノート「K-POPサバイバルオーディション祭り スターライトボーイズに圧倒」
韓国のK-POPオーディション番組が同時並行していて忙しい。
現時点で3つ並行して見ている。
・SCOOL
・Project 7
・スターライトボーイズ
いずれも男子グループのオーディション。
けれどかなりカラーが異なっている。
⚪︎ SCOOL
SCOOL は台湾と韓国の合同オーディション番組。
特徴的なのは練習生たちを指導するメンター陣の具体的な指導だ。
裏声と地声の切り替え方など、なるほど、と思う。韓国のメンター陣と台湾のメンター陣両方がいて、双方のアドバイスが指導の厚みや心使いがありつつシビアで面白い。
ボーイズプラネットでお馴染みの振付師、チェ・ヨンジュンも熱血指導する。
(ヨンジュン先生を見たいがために見てるところもある)。
練習生たちは韓国、台湾、その他とグローバル。
韓国勢が少なめである。
面白かったのは、強烈なダメ出しフィードバックを受けたチームの反応だ。
落ち込むでもなく仲間割れするでもなく、ここぞと自分だけ目立とうとポジション取りしようともせず、前向きに「やろやろ!」と、一致団結して淡々と言われたテーマに繰り返し挑む。
その姿が理知的で驚いた。
もちろん練習生たちのご容姿もずば抜けているのだけど、加えてとても理知的。
賢さ? 素直さ? 地頭の良さ? 底知れないポテンシャルがある。
安心して見ることができるオーディション番組だ。
⚪︎ Project 7
一方で、見ていて胸が苦しくなるほどドラマドラマしているのがProject 7。
この表現は推している方には申し訳ないけれども、全般的に何やら庶民的。
異次元の美貌や歌やダンスなど、ずば抜けている人って誰だっけ…と目を凝らして探すほど。
(そういう意味ではビジュアルも歌もダンスもできる練習生たちが勢揃いしていたボーイズプラネットこそ別格だったのだろう)。
身近にいる中学高校生に見えてしまう。なので、そこが逆にリアル感を盛り立てる。
与えられたテーマに対し、チーム分けしてそれに取り組む。取り組み方はリーダーに任されている。練習風景も放送されるのだが、リーダーの作戦があきからに裏目に出そうだ。
「それ、まずいんじゃ、、」と、ハラハラして見守っていると、中間審査でメンターにめちゃくちゃ怒られる。リーダーの責任だ。
リーダーはメンバーに比べて、ずば抜けて経験値やセンスがあるわけじゃない。メンバーと五十歩百歩である。
なのにうまくいかないとメンターに怒られ、メンバーからも不満を言われるリーダー。
ご苦労をお察しして胸が痛い。
さらに、歌もダンスもほぼ未経験でオーディションに来てしまった面々が多く、課題に間に合わない焦りを生む。リスクしかない…。
そんな中、他の人より少し経験値があるメンバーが、他のチームに出張して手助けしてあげていた。
宝石の原石どころか、宝飾店でほんの少しのカットの違いを見比べていたようなボーイズプラネットと明らかに違う。
原石の山なのだ。ただし、きらめきはまだほんの少し…。
Project 7は例えるなら高校の文化祭の準備を見ているようだ。
できないなりに、できることの精一杯を尽くしている。
けなしているのではなく、そういうリアルなノスタルジーを感じた。
文化祭の準備をしていくうちにあの人ちょっとかっこいい、と思い始めるような。
高校の文化祭からスターが誕生して欲しい。
⚪︎ スターライトボーイズ
中国と韓国の合同オーディション番組である。
こちらもメンター(番組ではガイダーと呼ばれている)のコメント目当てで見始めた。
振付師ヨンジュン先生がこちらにも出演さていたのと、ボーイズプラネットに練習生として出ていたペンタゴンのフイ君がメンターで出演するとのこと。
ヨンジュン先生の熱血指導と、フイ君がどんなコメントをするのか楽しみで見始めた。
第1話のクラス分けのため小グループや個人で披露した舞台が終わると、ビジュアル、歌唱力、ダンスと際立った人たちがしっかり目に残った。
中でも、ビジュアルが可憐な少年たちが、歌とダンスの経験が浅く、たどたどしいステージを披露した後、メンターから手厳しい講評をもらう。
「アーティストなら歌と踊りが必要。それができないのに何を評価したらいいんだ?」。
その中の一人、初心者クラスに振り分けられたスン・ジアヤンに胸打たれた。
シグナルソングという番組のテーマソングに合わせた歌とダンスが課題になった。
全体での合同練習でざっと振付を習った後、レベル別クラスに分かれ、ダンスのお手本動画をタブレットで渡される。
レベル別にレッスン室に分かれて各自が練習し始める。
経験者ぞろいのレベルが高いクラスではもう振付が頭に入っており、皆で一緒に踊りながらディテールを合わせ始めた。
一方で、初心者クラスは、自分で振付を再現できなくなり、わからなくなって諦め始めた。
初心者クラスのレッスン室から人が減り始め、寝転んで諦めている人もいる。
けれど、そんな中、置き去りにされたタブレットで繰り返し動画を見てたった一人で練習している小さな姿があった。
ビジュアル可憐だったけど他が未熟でダメ出しをもらったグループの一人、スン・ジアヤンだ。
彼はたった一人で動画を見て独学で振付を真似てやってみて、を繰り返していた。
その後、メンターたちの前で中間審査を行った時、ヨンジュン先生に成長を褒められ、スン・ジアヤンは涙をこらえていた。
自分が勇気を出さなきゃ、というときに、うずくまってタブレットの動画を見るひたむきな彼の姿を思い出しそうだ。
一人で諦めないで努力し続けた彼、これから報われてほしい。
第2話の放送が終わった今、若干物議を読んでいる。
第二話の課題でそれは起きた。
練習生たちが、支給されたレベル別に色が違うジャージに着替え、一斉にシグナルソングの歌に合わせて踊る。
巨大な3階建てのセットが組まれている。
ブースに分かれ、個人のスペースで受かるまで踊り続けるという企画だった。
68名が挑んで56名が生き残ることができる。12名が脱落になる。
社交ダンスのプロの試合を見たことがあるけれど、フロアで一斉に選手たちが踊り、審査員たちがあっという間に審査して当落が決まる。
そんな感じでどんどん合格者が出るのかなと思っていた。
ところが、最初の一曲が終わっても合格者は出ない。
2回めでやっと1人合格した。全部で56名選ばなければならないのに…。
その後、曲が繰り返され、練習生たちが踊り続ける中、わずかずつしか合格しない。
同じ曲がまた繰り返され、練習生たちは無限にシグナルソングを踊り続けるように見えた。
曲が繰り返され、目に留まるような実力者たちが大体合格したあと、残るは「その他大勢たち」だ。初心者たちもいたが、その中にはベテラン勢もいた。
ノンストップで曲が繰り返される。
踊り続ける彼らは汗だくだ。
途中で講評をもらえないので、彼らは何が引っ掛かって合格できないのかまったくわからないまま、ひたすら同じ曲を踊り続ける。
3階建ての非現実感あふれるセットのせいか、映画「イカゲーム」を連想させた。
まるでデスゲームである。
合格者の出ないまま曲を繰り返す中、先に合格した練習生たちが踊り続ける仲間たちを見つめて目に涙をためている。
そんな中「STOP!」という声が上がった。
合格した練習生のスン・インハオだった。
目に涙をためつつも、冷静に状況を理解する言葉を述べ、
「私たちは人間でマシーンではない」
という。
サバイバルオーディション番組で課せられる過酷なミッション。
これまでのオーディション番組ではその「システム」側に物申すシーンはなかった。必死で無茶振り課題についていくのみだ。(「イカゲーム」もしかり)。
しかも、自分がやらされているのが嫌だから、ではなく、自分は受かったけど、無限ループで終了条件も見えずに踊り続ける他の練習生のために、である。
スン・インハオは少女漫画から抜け出したような優美な美貌の持ち主。そんな彼は初回に俺様キャラで印象づけた。
そんな彼の仲間を思いやって「システム」に挑む熱さとのギャップに驚いた。
その場はメンターのイ・スンギの大人回答とまだ合格していない練習生からの負けん気のコメントで場を納め、無限ループは続いた。
そもそもシグナルソングは番組の顔だから繰り返し放送される。なんならその番組からデビューした練習生たちがファンの前で踊ることもある。
だがしかし、あのシグナルソングのデスゲームを思い出してしまいそうだ。
まだ第2回なのに波乱が過ぎる。
ドキドキソワソワしていると、TikTokでもあの無限シグナルソングにどよめくコメントが見られた。
ふとボーイズプラネットを振り返ると、そういばフイ君のチームも朝まで繰り返し練習していたことがあった。
同じ曲の完成度を上げるために繰り返し。
それがどれだけのことかを噛み締めつつ、今回のデスゲームと何が違うんだろうと思った。
ボーイズプラネットは自ら自主的に長時間、本番までの残り少ない練習時間を惜しんで踊り続けた。
スターライトボーイズは「システム」にやらされていた。そこに練習生たちの向上心や頑張りなどの意志が無かった。
映画「イカゲーム」のように悲壮なサバイバル感があった。
まだ2回しか放送してないのに5回分くらいの密度がある。
もはや「イカゲーム」を見る思いで「誰か生き残ってぇぇ!」と祈っている。
今後も彼らのサバイバルを見届けたい。
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