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50歳のノート「物語がくれる道標 『ロード・オブ・ザ・リング  力の指輪』」

昔々、小説が好きで読んでいた頃、「世界の法則」を物語から見つけていた。
自分のモヤモヤは何だろう、何故こんなことが起きたのだろう、という何らかの解答のようなものを物語に求めていた。
いつしか、手に取る物語からそれを見つけることができなくなった。

手に取る小説はある種のショウになっている。
その場はわあっとなって楽しめるが何も残らない。言葉にならないモヤモヤを消してくれたりはしない。
何某か、行動に踏み出せる勇気をもらえることも無くなった。

心を描きこむより面白さを描きこんでいるのだろうか。
物語のメタファーに埋め込まれた、謎を解き明かす鍵みたいなものをやはり求めてしまう。

そんな消化不良の中、「ロード・オブ・ザ・リング」のスピンオフドラマ「力の指輪」を見始めた。
ファンタジーがもともと好きである。期待大の心持ちでシーズン1見始めるが、なんとなく物足りない。
ファンタジー世界が豪華に展開されるが「あれ、こんなもん…」と思う。
ところがである。シーズン2を見始めたら驚いた。シーズン1 の予定調和にみえたものが伏線となって畳みかけてきた。
(伏線が見どころなのでネタバレしないでおく)。
ファンタジーのお約束ですやん…と思えていたものがどんどんひっくり返される。

シーズン2の圧巻の終わりに気づきがあった。
「そろそろお互い別の道を行かなきゃ」という別れのシーンだ。
小さな勇気を振り絞って旅を共にしてきた仲間。相手を助けるために運命ではなく相手を選んだほど。けれどお互いを大切に思いながら別れを受け入れる。
別れを選択することの罪悪感や一緒にいなければならないという義務感もなく。
お互いを感じ合っての別れが生まれていた。

そのシーンを観た気持ちの高まりをテコに、ずっと宙ぶらりんだった居場所と関係を終了した。

また、登場人物がもがいて探していたものがふと手元に転がり込んできたラストシーンが秀一だった。
〇〇をしたから手に入ったのではない。
当初の目的と離れた方を選択して進むうちにまるで偶然のように求めていたものを受け取った。
陽気な森の賢人ボンバディルが「探していたものの方があんたを見つけるのさ」と言う。

この解釈をまだ自分の人生に落とし込めていない。けれど何か重要な鍵がありそうで胸が高鳴った。

もがくことが目的(手段)ではない。
けれど、もがいてその人らしさに合った選択の先にあるべきものが降ってくる。

そんな世界のことわりの片鱗を見せてくれた。

そういう隠されたことわりに気づいて体験していくことにワクワクする。
本のページをめくるようにまだまだ知らないことがたくさんある。

ワクワクをくれた「力の指輪」シーズン3 が待ち遠しい。

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