【TECH BLOG】メールマーケティングにおけるSalesforce Einstein機能
はじめまして。C&R社岩佐です。
Marketing Cloud製品の運用支援を業務の柱とする私には、悩みがあります。それは、メルマガ施策に対する提案内容のマンネリ化です。現状を打破すべく、消費者が企業に何を求めているのか、再度ニーズを掴むところに立ち返りました。模索の中で目に留まったのは、SalesforceのAI機能である通称 Einstein(アインシュタイン)…
今回はMarketing Cloudで使えるEinstein機能を3つ紹介します!
1.メルマガでのAI技術の必要性
2022年のSalesforceによる調査によると、88%の顧客が「変化の時代にはより信頼が重要である」と考えています。
では、信頼とは何から生まれるのでしょうか。
① 正直かつ透明性のあるコミュニケーション
② 顧客を数字ではなく人間として扱う事
③ コミュニケーションを積極的にとること
④ 問題を積極的に解決すること
⑤ 顧客情報を責任を持って扱う事
特に ① , ② , ③ からは、企業と顧客の関係性強化の必要性が感じられます。つまり、顧客を集団ではなく一人ひとりの人間として捉えることが求められています。Salesforceを通じて、これらを実現していく方法はあるのでしょうか…
(参考文献はこちら)
2.Marketing CloudのEinstein機能
調べていく中で、SalesforceにEinsteinと呼ばれるAI機能が搭載されている ことに気が付きました。AIにはハードルを感じてしまいますが、思い切ってEinsteinへの扉を開けてみると、”顧客とのより良いコミュニケーション”に繋がる光が見えてきました!
〈機能1〉 Einsteinエンゲージメント頻度
★IPレピュテーションの改善に期待!
各個人へのメール送信量を最適化し、顧客と企業の繋がり(エンゲージメント)をより強化する機能です。IPレピュテーションとは、送信元IPアドレスの信頼性を評価するものです。IPアドレスは住所を想像してください。第三者機関が「この住所から配信されるメールが多すぎ、、、」と評価した場合、迷惑メールと判断し、勝手に顧客の迷惑メールフォルダに直行させてしまう恐れがあります。
「Einsteinエンゲージメント頻度」の活用で、各個人ごとに今までのメール送信量が適切かを判断、”未達”、”達成”、”超過”の3象限に分類します。
また、3象限を基にメールを配信することができ、「”超過”の人にはメールを送信しない」といった制御をかけることができます。
【考慮すべき点】
一人の顧客につき少なくとも28日間の送信データが必要です。判断に至るデータが無い個人は「残りのユーザー」という表現で扱われます。
【Marketing Cloud Account Engagementでの使い方】
オートメーションルールにて、「超過」の人をダイナミックリスト(条件に合致する人を保管するリスト)へ格納。該当リストを配信時の除外リストとして設定すると効果的に使用できます。
〈機能2〉 Einstein 送信時間最適化(STO)
★メルマガ開封率の増加に期待!
過去90日間の顧客のメールへの反応を分析し、一人ひとりに合った開封時間にメールを送信します。
Einsteinの判断を基にした配信が可能で、「○時間のうち一番開封確率が高い時間に送る」といった設定を行うことができます。
【注意すべき点】
設定にて「有効化」ボタンを押して72時間で使用できるようになります。判断のためのデータが足りない場合は「すべての連絡先を解析して、Einsteinが最適と判断された時間に送信」または「直ちに送信」から設定することができます。
【Marketing Cloud Account Engagement(通称MCAE)での使い方】
MCAEでは送信の期間指定を3~168時間(7日間)のうち1時間単位で指定することができます。例えば、送信をPM7:00にスケジュール、期間指定を”14時間”とすれば、PM7:00からAM9:00の間のうち一番開封確率が高い時間に送信されることになります。
同時に、真夜中の開封率が高い顧客にはその時間に配信される可能性がありますが、「真夜中の送信は失礼かな」と判断したい場合は、事前に定めた「送られてほしくない時間」を考慮しながら配信時間を設定してください。
〈機能3〉 Einstein Content Selection(ECS)
★より一人ひとりに合ったメール内容作成に効果的!
ECSとは、事前にひとまとめにした写真などのコンテンツ郡の中からメール内のリンククリックに一番貢献しているコンテンツを見つけ出します。
画像はメール送信時ではなく、購読者が開封する時点で一番最適なものが選択されます。上図ではクリック率18%のコンテンツ(格子柄の写真)が一番開封されやすいと判断されているため、AI解析以後に開封した人のメルマガには格子柄のコンテンツが表示されるようになっています。
【注意すべき点】
ECSの対象DE(配信対象者リスト)は1つしか設定することができません。例えば新品書籍を購入した人のDE、古本を購入した人のDE、ブックカバーを購入した人のDE、それぞれのECSの対象としたい購読者が複数のDEに散らばっている場合は、購読者をひとまとめにしたDEを作成する必要があります。
3.まとめ
ここまで3つのEinstein機能を見てきました。苦手意識のあったAIですが、意外にも理解しやすくハードルが下がったように思います。また、機能有効化の手軽さと使用にあたっての配信ミスのリスクも低いことから、積極的に導入を進めていきたいと思います。
近年、Salesforce社はAI分野に力を入れています。時代に後れを取らないためにも、情報収集を進めていきたいと思います。