異文化理解に欠かせない指標「ホフステードの6次元モデル」とは<6次元モデル①>
国際経営で最も広く使われ、活用されている、異文化理解のための指標「ホフステードの6次元モデル」。国民文化によって、人の価値観がどのように異なるかを6つの次元でスコア化したものです。
この連載では、ホフステード博士の6次元モデルとは何か、そして各指標の詳細についてご説明します。
国民文化をスコア化したホフステード博士
ヘールト・ホフステード博士は、職場における価値観が文化によってどのような影響を受けるかについて研究し、世界で初めて各国の国民文化の価値観を視覚化したオランダの社会心理学者です。
ホフステード博士は、文化を「ある集団と他の集団を区別する心のプログラム」と定義しました。
文化の表出レベルの、最も核となる部分にあるものが「価値観」で、価値観は人生の早い時期に無意識のうちに形成され、内面化されます。
自分自身でも意識せずに存在し、変革が難しいものです。
ホフステード博士がつくった国民文化の違いを相対的に比較できる指標を「ホフステードの6次元モデル」といいます。
これは、各国の価値観の違いを理解するためのツールです。
IBM従業員意識調査をきっかけに生まれた国民文化モデル
ホフステードの6次元モデルは、1967年にIBMヨーロッパの人事リサーチマネージャーだったホフステード博士が設計した従業員意識調査をきっかけに生まれました。
この調査は1967~1970年にかけて11万6,000人のIBM社員を対象に72ヶ国、20言語で実施されました。
そこで、ホフステード博士は従業員の意識や行動の違いが国の文化の違いによって起きていることを発見したのです。
その後、ホフステード博士はこの研究を続け、最初の著書『Culture’s Conseduance』のなかで国の文化を初めてスコア化しました。
ホフステード博士の6次元モデル
各国の相対的な文化の違いを、次元ごとに0~100で数値化したのが、ホフステードの6次元モデルです。
ホフステード博士は、人間社会にある普遍的な6つの課題に注目しました。
それが、6次元モデルのベースとなる以下6つの次元です。
1.権力格差
2.集団主義・個人主義
3.未知への対応
4.女性性(生活の質)・男性性(達成志向)
5.過去現在未来への対応
6.人生の楽しみ方
次回から6回に分けて、各次元についてご説明します。
ホフステードの6次元モデルについてもっと詳しく知りたい方は、『多文化世界 違いを学び未来への道を探る [原書第3版]』G.ホフステード/G.J.ホフステード/M.ミンコフ 著 岩井八郎/岩井紀子 翻訳、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著 をご覧ください。
一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。
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