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ウクライナ〜ロシア国際問題をホフステードモデル×システムアウェアネスで紐解く 『新理事就任記念セッション』受講者(大学生)の受講レポート

CQとシステムアウェアネスで世界情勢を理解する

 今、世界はウクライナ・ロシア問題を巡って、二極化と対立が進んでいます。そんな状況だからこそ、考え方の違う他者と協働する力であるCQは重要度を増しています。今回のワークショップはCQを向上させ、システムアウェアネスを組み合わせることで、この問題への理解を深めることを目指しました。

 この講座の前半では、ホフステード6次元モデルを用いてさまざまな国の文化を相対的に分析し、文化間の差異についての理解を深めました。これは世界中の文化を、「社会と個人の関係性」「権力/不平等への対応」「未知への対応」「動機づけ原因」「過去/現在/未来の捉え方」「人生の楽しみ方」という6つの基準に従って分類する考え方です。

 後半には、前半に学んだホフステード6次元モデルとシステムアウェアネスを組み合わせ、いろいろな立場にいる人々の気持ちを想像し、彼らを演じてみることで、ウクライナ・ロシアを巡る国際情勢について実際に考えていきました。

ひとまとめにされがちな国家群の中にも文化の違いがある

 ホフステード6次元モデルに沿って世界中の文化をみていくと、各国の意外な側面が見えました。また、ひとまとめにされがちな欧米やアジアの中でも文化には違いがあることに気付けました。例えばフランスは個人主義的で、自由なイメージがあります。しかし実は欧米では珍しく階層志向であり、人々の間の権力格差を受け入れる傾向があります。この特徴はウクライナとロシアに似ているため、フランスはこの2国の仲介役ができるのだと聞いた時は目から鱗が落ちました。私が特に面白いと思ったのは、ウクライナとロシアは現在敵対していますが、集団主義で、権力格差を受け入れる傾向があり、未来のために今我慢することができるなど、意外と文化は似ているということです。

 ホフステード6次元モデルは各国の文化の特徴や違いを把握するのに役立ちますが、重要な点は「違う」ことと「おかしい、間違っている」ことは別だということです。私たちは自分の「正しさ」を信じるあまり、自分とは違う論理で動いている他者の「正しさ」を否定し、衝突してしまいがちです。そのような衝突を回避し、自分と違う人たちと協働し、論理の違いをパワーにする力こそが、CQなのです。

プーチンとゼレンスキーのロールを演じることで文化の違いを実感

 ロシアとウクライナの文化について理解した上で、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の立場になって論争をしてみると、この対立は階層的な秩序を重んじるロシア側と、自由を大切にするウクライナ側という文化的な側面があることに気付きました。また、ロシアに中国などが味方する理由の一つは、文化的に似ているという事があるのだということを実感しました。

 イベントの中ではウクライナやロシアだけでなく、幅広い立場の人が登場しました。例えば私はインドのモディ首相の立場になって、ロシアとウクライナの仲裁に入ったりしました。インドはウクライナ・ロシア問題を巡って対立する国々の中間の立場におり、対立する両者を冷静に俯瞰できましたが、どのようにこの問題に関わるかが難しいと感じました。彼らの視点から世界を見て、彼らがどのように考えているかを想像することで、自らの視点を相対化できました。

 その中で気付いたのは、私たちの立場から見れば間違っている人にも、その人なりの正しさがあるということです。他者の論理を理解することの大切さを実感できました。

 このイベントを通じて、世界の多様な文化を整理して学ぶことができました。また、今の世界情勢の裏側には文化の違いがあり、誰にでも自分なりの論理があることがわかりました。その中で誰が正しいかを決めるより、他人の正しさを理解することの方が重要なのだということが、このイベントで学べた一番大切な事です。

受講者プロフィール
大学1年生。男性。現在は教養課程に在籍。今後は人文科学系の専攻に進みたいと考えている。大学では新聞部、ゲームサークルで活動中。


CQラボのロゴには以下の想いが込められています。


「私の一部をあなたの一部として共有する。あなたの一部を私の一部として共有する。手を差し伸べる。そんなシンプルなアクションが共感、思いやり、そして協働に繋がっていきます」

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