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OEDO[2-8] 防衛隊のソフトパワー

前回は「地球防衛隊」のハード面、C-2輸送機を「タイガーモス号」にして、イージス艦を「バラクーダ号」にして、10式戦車を「悪役一号」にして、自衛隊を子どもが憧れるヒーローにブランディングする戦略を展開しました──すみません、チョイスがマニアックすぎますね。

オタキングこと岡田斗司夫さんにしか通じないような古いジブリ作品、いやジブリを設立する前の宮崎駿監督のアニメ作品から引用してみました。今や世界に通用するジブリアニメですが、地上30mのロボノイドを建設しても誰にも見向きされないかな。やっぱり。

しかし以前、その岡田斗司夫さんは「日本のアニメが最大の防衛になり得る」という旨の発言をされていました。海外で知り合った空軍パイロットが「日本だけは爆撃できない、クリィーミーマミを生んでくれたアニメーターは殺せない」と言ったのを受けての主張ですから、80年代? ずいぶんと昔ですね。

しかしその日本アニメの影響力は90年代、ゼロ年代を経てますます強くなり、広範に渡っています。宮崎さん以降の若き才能も多数生まれました。今や日本のアニメを見ずにして育つ子どもは世界にいません。大人も夢中になっています。岡田さんの言う通り、ソフト面からも切り込まない手はないのです。

しかし、自衛隊ではコンテンツ化は難しい。別に自衛隊が悪い訳ではありません。時代が悪いのです。昔は戦意高揚映画を筆頭に、戦争はエンターテイメントなり得ました。’80年代の「ランボー」あたりからおかしくなって、戦争映画が描くのは兵士のPTSDなど、暗い側面ばかりになったのです。

「怒りのアフガン」で少し高揚させようとするも、その後の湾岸、イラク、シリアとなるとまたダークな映画ばかり。もう戦場にヒーローは現れず、子どもの憧れにもなりません。違憲を問われる日本の自衛隊ならなおさら。これだけのマンガ大国でありながら、自衛隊を描いた作品はあまり見当たりません。

時代が変わってしまったのです。植民地主義も、奴隷制度も、共産主義も過去のものとなった現代です。大戦中の戦意高揚映画の英雄のように、ロシア人や北朝鮮人や中国人を殺しまくって活躍する自衛官を描いてみせても、誰もそんな映画やマンガに血湧き肉躍らせません。マインドが違います。

今の時代、消防士や海上保安官や救急救命ヘリの物語の方が、マンガ化、ドラマ化、映画化されてヒットするのです。敵を壊滅させて喜んでいたころの世界からは民度が上がっているのです。そして命を尊ぶ時代のコンテンツ足り得るのが我が「地球防衛隊」──世界を救うヒーローたちです。

彼らなら無理なくマンガ化、映画化できます。シリアスドラマにもなりますし、萌えキャラ、ゆるキャラ、擬人化キャラ──もちろんロボットアニメにもアレンジできます。歌って救えるアイドルグループを結成させても良いですし、本物の隊員を使って2.5次元に展開しても良いでしょう。

日本のマンガ家、アニメーターは天才揃いです。そのままゲームコンテンツにしてメディアミックス。フィギュアやコスプレやキャラクターグッズの商品化。聖地巡礼のインバウンド。ちょっとした経済効果も望めます。でもそれより大切なのはハッピーセット効果。

子どもの頃からマックフライポテトの味をインプリンティングするファーストフード店のように、全世界の子どもたちに「地球防衛隊」を、彼らの心に「正義の国家日本」を刷り込むのです。彼らが成長するにつれて、それが自然にサブカルチャーの趣味、ポリティカルスペクトラムへと移行していきます。

いえ、そんな深刻に考えなくても、せっかくホジティブでピースフルなムーブメントなんですから、POPでCOOLに、なおかつHOTでありながらCHILLYに盛り上げたいものです。「世界平和」となれば賛同してくれるアーティスト、ミュージシャンも多数いらっしゃるはずです。

一時の「U.S.A. for Africa」や「Band AID」のように複数のミュージャンが集まって(海外からも)、「地球防衛隊のテーマ」を高らかに歌い上げ、アートやモード展開も。うまくいけば世界各地に「地球防衛隊ランド&シー」や「地球防衛隊スタジオJAPAN」も開園できるかもしれません。

世界中の若者から大人、ローグネイションと呼ばれる国の人まで、コンテンツの力、ソフトパワーで皆の心を掴むのです。独裁者たちも思わず口走ります。「彼奴はとんでもないものを盗んでいきました──あなたの心です!」と。まさにポケットに入れるには大きすぎる、人類の宝ってやつになります。

※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。

第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。

敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。批判、反論のコメントも大歓迎です。

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