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【小説】 ダブルピースで決めっ! 2

(あらすじ)
偽名を使いアルバイトを始めた主人公。要領がよく作業が早いため、博士君先輩やチャーリーおじさん社長に気に入られ、次々と新しい作業に就く。しかし、その工場で作られているものには秘密があった。くだらなさ満載のナンセンスSFです。

1がまだの方は下記よりどうぞ。


二日めは何やらセンサーの検査でね。工場の中は、幾つもの部屋に区切られてるみたいだったんだけどね、人が二人並んで歩けるくらいの通路が、その部屋の回りをクルリンとしてて。どの部屋にも窓がないんで中は見えないんだわさ。

二日めに行った部屋は、通路の突き当たりにある部屋で、中に入ると細長く天井の低い部屋だったんだよ。そこには、長い長机と、少しだけ長い長椅子があってね、そこに顔の長い人が三人座っていたんだ。三人とも同じような顔だったよ。

挨拶したけど、その三人はみんな無口でね、何も教えてくれないんだわさ。それでね、仕方なく見よう見まねで検査をしたんだよ。椅子に座ったり座らなかったりしてると横にある丸い筒状の箱からコローンってな具合にセンサーが落ちてくるんだわさ。それを机の上に置いてる機械で検査するの。そのセンサーからはね、2本の線が出てて、その1本を機械のボッチに引っ掛けて、もう1本を機械から飛び出てる〈飛び出てるのか棒〉にひっつけると、電気が流れれば機械がピカッてオーケーサインを出したり出さなかったりなんかするんだ。よ。そのとき自分にもビリッって電気が流れて、これがもう快感でたまりませーん。アッハーン。

うん? ボタンね、そうボタンの話ね。

そのピリッってのが快感でどんどんスピードアップアップしてたら、博士君先輩が来て、「ハジメ君は仕事が早いねぇ、ピーガガガ」ってね・・・・・・。
博士君先輩のこと話したっけ? 博士君先輩って人がその工場にいて、あっ本名じゃないよ。でもね、本当に「博士君」って感じなんだよ、見た目がね。いつも大きなチェックのコートにメガネをかけて髪は六・三分け(残り一)なんだわさ。動き方がなんかぎこちなくって、ガクッとしてるんだよ、雰囲気的にね。

そう、博士君先輩ったら、スクーターで出勤してくるんだけど、エンジンがいつもかかってないのさ。足でこいできててね、「やあ、ハジメ君おはよう、ピーガガガガガッ」って後ろからやってくるんで、「おはようございますます。どうしてエンジンかかってないんですか?」って聞いてみると「これハイブリッとするスクーターなんだ。環境にやさしーのだよ、ピロンピロン」「そうですか、それはすごいすごい」ってなことがありまして。

そうそうそういえばさあ、この前仕事の帰りに、博士君先輩が「牛丼でも食べに行こうか、ピロンピロンガガーッ」っていうんで一緒に行ったんだわさ、牛丼屋に。ハイブリッとするスクーターに乗せてもらってね。もちろん二人乗りは危ないからって、博士君先輩は普通に歩いて、ワタシが足でこいだんだよ。

そしたらさ、博士君先輩ったらお店に半分ぐらい入った所で、「牛丼並をご飯とハーフ&ハーフで、ピロリロリー、ガタン」って頼んでね。何ですそれは? って聞こうかなどうしようかなって間もなく、「会計お先にいいですか、ピーヒョロ、ピーヒョロ、ピロピーッ」って言って自分の分だけ先にお金払っちゃってさ、席に半分だけ座って、出てきた牛丼を半分だけ食べて「じゃあねハジメ君、ピーッ、ガッ、ホッホーホッホー」って先に帰っちゃうんだよ。まだ注文してないんですよ、って言う間もなかったんだよ。

まあね、ワタシって牛丼は食べないからさ、いいんだけどね。外に出ると乗ってきたスクーターが半分だけ置いてあったんだ。仕方ないからハンドルのないスクーターを足でこいで帰ったんわさ。

えっボタンの話? ボタンって? ああ、ワタシの押しちゃったボタンね。そうだよその話をしなきゃ。ね。

博士君先輩は、「ハジメ君は仕事が早いねぇ、ピーガガガ」って検査していたワタシに言ったあと、一旦部屋を出ていって、しばらくすると戻ってきて「ハジメ君、明日は違う仕事してもらうね、ピョロピョロ、ガホ」って言ってすぐ出ていっちゃったんだよ。それでね、三日めは違う部屋へ行くことになったんだ。わさ。会話はできなかったけど、三人には「お世話になりました」ってハイタッチと見せかけて頭を叩いたふりで、髪の毛をプチプチってちぎってお別れしてきたんだよ。いや。話してくれなかった仕返しじゃないよ、単なる調査だよ、世論調査とか、捕鯨調査とかさ、そんな感じ。で。ね。

3へ続く

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