【小説】 ダブルピースで決めっ! 5
(あらすじ)
偽名を使いアルバイトを始めた主人公。要領がよく作業が早いため、博士君先輩やチャーリーおじさん社長に気に入られ、次々と新しい作業に就く。しかし、その工場で作られているものには秘密があった。くだらなさ満載のナンセンスSFです。
以前のものは下記から
五日目
五日めもベタレンナインと一緒にナレノハテラ投げだったんだわさ。前の日に髪の毛をちぎったせいか、ベタレンナインは誰もワタシと目を合わせてくれなかったけどね。それでね、午前中にナレノハテラを三十一往復させたところでね、朝からずっとワタシの仕事ぶりを見てた博士君先輩がね、「ハジメ君ほんと早いねー、ピーガガガ。社長に報告してくるよ、ボッボッボボボ」って言ったと思うとすぐに、チャーリーおじさん社長を連れてきたのさ。
チャーリーおじさん社長のこと話したっけ? してない? チャーリーおじさん社長って人がいてね。あっ本名じゃないよ。社長は本当だけどね。でもね、いかにも〈チャーリーおじさん〉って感じなんだよ、見た目がね。もみ上げがこう長くってね、鼻の下のひげがモワッとしてて……、うん? チャーリーの話しなんかいい? そうなの……。でもひとつだけ。ね。チャーリーおじさん社長っていつも言葉の最後に「タケノコ、タケノコ」って言うんだよ。
「君がハジメ君かね、ご苦労ご苦労、タケノコ、タケノコ」
「竹が伸びるくらい作業が早いんだってな、君は。タケノコ、タケノコ」
「竹田君の子供は元気かね? タケノコ、タケノコ」
「先週北海道行ってきたんだよ、おみやげの数の子だ、タケノコ、タケノコ」なんてね。
おもしろいでしょ、えっ? おもしろくない? だってタケノコだよ。今さら。今さら? サラサラ。えっ、やっぱりおもしろくないんだ。変わってるね、君は。笑いのポイントがずれてると、ろくなことにならないよ。友達やめちゃうよ。なんてね。ああ、ボタンの話ね、そうそう赤いボタンの話しないと。ねねね。
「明日は別の作業してもらうよ。タケノコ、タケノコ」ってことで、六日めはね、また違う部屋に行ったんだよ。