学習者の学びをどう支援するのか
AHAコースを受講する学習者が揃って声にするのは,”どこを読んでおけばいいのかわからない””中身が膨大だからわからない”という声を頻繁に耳にします.テキストを購入後は,意気揚々と封を開け,いざ読み始めると途中で頓挫した経験の方は多いのではないでしょうか.事前学習をどのように支援していくか.その当会の取り組みから,教育の転換期を示しているAHAのResuscitation Education Science の一部を紐解いてみます.
2018年6月”Resuscitation Education Science に基づく 科学的な提言”が示され,革新的な教育戦略(教授戦略とも思います)が必要であり,その中心にあるのはインストラクショナル・デザイン(以下,ID)というものでした(8つの要素の1つ).(阿部 2016)は,シミュレーションにおいて, ID 的構造化の必要性,デブリーフィングの活用等,学習者中心のアクティブ・ラーニングを提案しており,まさにその教授設計が重要と考えることができます.昨今,ITの発達が著しい中,eラーニングを活用した教授戦略,従来のコースの補完こそ,当会に工夫できる学習支援のひとつと考えていました.
これらからも,当会のAHA-ACLS1日コースや,PEARSコースは事前学習を支援することで,少しでも余裕を持って学習者に参加頂き,アクティブ・ラーニングの要である”対話と協働”をファシリテーションしていくことを目指しています.学習者同士の発達メソッドをどのようにサポートするかが肝であり,デブリーフィングも含め,その手法は創意工夫しながら発展させていく必要があります.
今ではブレンド型研修やコースは主流となっています.一方,学習者がそれを求めるかどうかは議論が待たれますが,事前学習を経験した学習者は揃って”良かった”との所感を頂いています.今後も,特にインフォーマルな部分で,どのように学習者支援をしていくべきかを追求していきたいと思っています.