親父の面白い所

僕の親父はtraditionalな地方公務員だ。
爺ちゃんが大工だから工業高校に進学し、色々あって地方公務員として働き何故か一級建築士を取り、夜間大学に進学して僕に科学的思考を植え付け、早稲田の理系に行かせ、なんとか社会人をやらせることに成功している。

性格診断でいうとISTJという性格で家父長制をやっている。
この親父はなかなか人を褒めない。しかし他人を褒めているところを中学生の時に遭遇したのでここに書いておく。

僕と親父は家のリビングでTVを見ていた。親父はドキュメンタリーと映画とお笑いが好きで、その日はドキュメンタリーを見ていた。アマゾンの奥地だったか、淡水の魚をBowfishingしている部族の話だった。
その頃僕と親父と爺ちゃんは釣りにハマっていて、親父は自分のほうが釣りができるだろう予想を立てているみたいで、完全にナメていて

「どんなもんや」

とその部族の男性の釣りの成果を眺めていた。38歳男性公務員の親父。
何度も仕留める男性の腕前を見て黙ってみていたが、ナレーターが語る

「この男性はこの技術で3人の息子と妻と年老いた母親を食べさせていますーーーー」

親父が突然声を出す

「すごい!!!!」

何も知らない部族の男性の釣りの評価が突然爆上がりし、ソファーで寝ていたのに起き上がった。この親父という当時38歳男性も年老いた父と母、妻と出来の悪い2人の息子を四苦八苦しながら食わせている。

この瞬間僕は奇妙なビッグマック指数のようなグローバル価値観を獲得した気がする。親父のその地球の裏側でBowfishingする男性へのリスペクトは確実に年老いた母親と出来の悪い息子に手を焼きながら食わせる労働を本気でするというところでソウルリンクしているのだ。

僕はまだ子供はいないけど、親父に「すごい!!!」と言われるぐらい仕事をできているだろうか。

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